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翠くんの卒業

αとΩの同性の両親をもつΩに見えるαの楓は、幼い頃に助けてくれたヒーローの、αの両親を持つαに見えるβの翠に初恋を拗らせていた。


※オメガバース作品ですが作者の個人的解釈が含まれています。


※糖度高め版は、アルファポリスさんにて更新しております(年齢注意)


「俺たちが知らないうちに色んな事が有ったんだな……」


そう話す空くんが、なぜか泣きそうな顔をしている。


「言えなくてゴメン……」


空くんは僕を抱き締めると、俺……楓の親友なのに何もできなくてゴメンと呟く。


――空くん、そんな風に思ってくれていたんだ……僕がΩだと思われていた時から変わらずに一緒に居て支えてくれていた。


「空くんには色々と支えてもらってたよ、だから……これからもよろしくね。」


翠くんが卒業するまでは、僕たちの関係は他言しないこと。


それが父さんとの約束だった。


Ωになった翠くんは、まだ不安定な事もあり大人のフォローは必要不可欠だったから、先生には話が通された。


そして、今日は翠くん達3年生が卒業する。


一緒に暮らしてはいるけれど、もう一緒の学校で過ごすことは今日で最後。


胸が締め付けられるように苦しい。


そんな僕に、空くんが心配そうに声をかけてくれて今に至る。


「楓くん、僕はビッチングって都市伝説だと思ってた、それほどまでに2人の気持ちが強いからこそ、2人は運命の番だったんだね。」


えっ?運命の番?


光くんは驚きを隠せないのか、僕の顔をまじまじと見上げている。


「えっ……楓くんマジで分かってないの……」


冷やかな目をした光くん……Ωなのに、なんでこんなに怖いのか分からない。


助けを求めるように空くんに目をむけると、空くんも信じられないといった表情を浮かべている。


背中がゾクゾクする。


光くんは、僕の胸ぐらを掴むと聞いたことがない声色で僕に話しかけた。


「さすがに翠先輩が可哀想だ……運命の番はΩにとっては唯一の希望なんだ、それなのに楓くんは何も分かってない……Ωの事を分かろうとしない……怠慢だよ……」


なんで……なんで光くんは泣いてるの……


僕たちの、やり取りを見ていた空くんが僕を掴んでいる光くんの手を取りながら、楓はまだ勉強中だからと諭すように声をかける。


重々しい空気を変えたのは、全てを終えて僕を迎えにきてくれた翠くんと先輩達だった。


「光くんはなんで泣いてるの?」


翠くんの質問に、光くんは答えなかった。


「僕が卒業するのが、そんなに悲しいのかい?」


要先輩の自意識過剰な質問、それは重い空気をかけたかったのかもしれない。

そんなに事に気付いていない光くんは、ありえませんと即答すると、要せんははそれは残念と笑っていた。


「翠先輩は、こんなに何も分かってないαの楓でいいんですか?」


翠くんはにこりと笑った。


「光くんも空くんも俺の事を聞いたんだ……そうだね、俺は昔から楓の事が好きで……でもバースの事があって諦めていたんだ。楓がΩと偽っていた時から俺の心には楓しか居なかった、別の人を作っても楓の変わりにはならなかった……だから今、俺は経験したことがないほどに穏やかな気分なんだよ、もちろんΩになったばかりで戸惑う事はあるけどね。」


その言葉を聞いた光くんは大きく深呼吸をすると翠にたずねた。


「翠先輩、幸せですか?」


翠くんは、僕を引き寄せると。


「凄く幸せだよ。」


そう答えた。


光くんは、運命の番なのに僕があまりにもバースの事を分かっていなくてΩとして苦しくなってしまい、楓くんに対して凄く嫌な態度をとってゴメンねと頭を下げた。

光くんだけが悪い訳ではないし、きっと誰も悪いわけではない……。


バース関係なく、空くんと光くんとは仲良くなった。

僕たちが高校を卒業しても、関係は切れることはないと確信を持っている。


僕はまだまだαとして未熟だ、きっと周りにも危なっかしく見られる事も有るとおもう。

それでも、翠くんを好きなことは誰にも負けないし、負ける気もしない。


卒業後、翠くんは教育学部のある大学に進学が決まっている。

幼稚園の先生を目指すと聞いた時は驚いたけれど、翠くんなら子供達に寄り添える先生になれそうだ。


僕が大学を卒業して、就職が決まるまでは入籍はできないけれど、それまでは父さんに教えてもらいながら翠くんの婚約者として恥ずかしくない自分でいたい。


「楓」


翠くんに名前を呼ばれて、これからは本当にもう学校で僕の名前を呼んで貰える事が無くなると思うと、抑えていたものが溢れそう。


「俺たちの関係は変わらないから、これからもよろしくな楓。」


そう言って、翠くんが自分のネクタイを外し僕の首へと巻いてくれた。


うちの学校の伝統、好きな人にネクタイを贈るまたは、ネクタイを貰う。


僕は翠くんのネクタイをギュッと握りしめながら、抑えようとしても溢れる涙を止めることは僕には出来なかった。


声にらならないかもしれない。


それでも、翠くんに伝えたい……


「翠くん卒業おめでとう!」


途中、更新が出来ない時期がありましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます。

遂に完結となります。

また余裕ができましたら、2人の結婚後も書きたいなと思っています。


ブクマ&評価ありがとうございます、凄く嬉しいです。


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