二千二百二十三話 魔神たちとの戦いと暴虐の王ボシアド
すべてをか……。
キスマリの言葉に頷いて、
「ありがとう、キスマリの言葉は素直に嬉しい」
「はい!」
「「ふふ」」
ヴィーネとエヴァたちも微笑む。
そこでヴァスガと拘束しているイフドを見て、
「ヴァスガと皆も立ってくれていい」
「「ハッ」」
「イフドだが、説得は可能か?」
「……しばらくは無理かと思います」
ヴァスガは正直だな。
「了解した」
そこで<破邪霊樹ノ神尾>で拘束してあるイフドに近付く。
すると、「『――何を悠長に語り合っている!』」と宙空から神意力を有した言葉が響いた。実際の心にも強く響いた。
確実に最上級神――。
<隻眼修羅>発動をしたが、氣付いたら、無数の黄金の鎖がイフドの回りに突き刺さり、薄い黄金色の膜が百八十度張られ、俺の<破邪霊樹ノ神尾>の拘束が解かれ、イフドが解放されていた。
ヘルメの「させません!」と伸ばしていた<珠瑠の花>は、黄金色の膜に触れると一瞬で溶かされてしまう。
「にゃご!」
「閣下――」
相棒は大きい黒虎で俺の左前に立ち、ヘルメが右前に立つ。
背後にいたヴィーネたちもそれぞれに距離を取る。
「きゅっ」
シルの鳴き声が背後から響く。
一瞬で、光霧的な薄い膜状の魔法防御フィールドが、俺を含め皆に展開される。ミトリ・ミトンの<聖なる膜>だろう。
しかし、黄金の鎖の出元は、視えない。
魔夜世界からいきなり出現しているようにしか視えないが――と、目の前に、その黄金の鎖が飛来した。
黒虎とヘルメと共に、バックステップして黄金の鎖を避けるが、ヴァスガたちに黄金の鎖が刺さっていく。
「「ぐぁぁ」」
「ざ、ザンスイン様……」
ヴァスガたちが苦悶の声を上げ、その場に膝を突く。
黄金の鎖が彼らの体だけでなく、その魂の経絡にまで強欲に絡みついているのが<隻眼修羅>の視界に生々しく映り込んだ。
一旦、王氷墓葎を消し、
「ザンスイン、俺の前で虐殺はさせるつもりはない!」
次の黄金の鎖が宙空から出現し、ヴァスガたちに向かう。
右手に無名無礼の魔槍を召喚――。
蜻蛉切的な大笹穂槍の柄から墨色の炎を噴出させ、<風穿>を繰り出す。
ヴァスガたちへ追加で伸びようとしていた黄金の鎖の束を弾く、次も<豪閃>、左手に聖槍ラマドシュラーを召喚し、<双豪閃>――で黄金の鎖を弾きまくる。
ヴァスガたちにも拡がっていた黄金の膜のような物を<血穿>で貫く。
膜を貫いた時に違和感のようなモノがあるが、構わず、<双豪閃>――。
聖槍ラマドシュラーと無名無礼の魔槍を振るい回し切断していった。
ミトンの<聖なる膜>とシルの魔法防御フィールドが、ザンスインの放つ絶大な神威の残響をバチバチと火花を散らしながら弾いてくれている。
精神的な負荷を受け止めてくれる家族の絶対的な命綱があるからこそ、定命の人の心のまま、この最上級神の威圧の只中でも戦術盤を冷静に動かせる。
ヴァスガたちを狙う黄金の鎖を弾いていく。
イフド以外にも六眼魔族たちを囲うように展開していく黄金の膜も切断していった。
「ルリゼゼ、キスマリ、皆を守れ、エヴァ、術式の固定と空間防御を頼む! ヴァスガたちをこれ以上侵食させるな!」
「承知!」
「ハッ!」
「ん、シュウヤ、任せて!」
ルリゼゼが四腕にシザヨイ、シギルア、シアババ、シトトメの四魔剣を構え、一斉に突き出す。その魔刃の切っ先が黄金の膜と衝突し、キィィィンと強烈な反発音を響かせた。だが、彼女の卓越した剣技と魔力は屈しない。強引にねじ込むようにして、魔剣の刃が黄金の膜を内側から切り裂き、その浸食を食い止めていく。
中にいるイフドは、あまりの光景に驚いているのか、呆然としていた。
同時に、エヴァの操る白皇鋼の超微細な金属粒子が、宙空に描かれる神咒の魔線と複雑に絡み合い始めた。それは物理と魔術の境界を埋めるように、空間そのものに強固な金属の鎧を縫い付けるように固定していく。
相棒の黒虎が、神獣猫仮面を装着。
背から橙色の魔力翼を激しく明滅させ跳躍――。
低い唸りを上げ、「にゃごぁ」と紅蓮の炎を、何もない魔夜世界の宙空に吹いていくと、大氣が揺らぎ、魔法陣と共に欲望の王ザンスインの姿が露見した。
巨大な、おぞましき蛙の幻影を背負った大柄の人型。その腰には、無数の黄金の鎖が蛇のようにのたうちながら巻き付いている。
彼の周囲には、古代の壁画から抜け出してきたかのような、奇怪な形象文字を象った魔印の群れが円環を成して漂っていた。それらの一部が遠方で展開する闇神リヴォグラフの軍勢へと矢のように飛来し、衝突するたびに夜空を赤黒く染める大爆発を引き起こしている。
すると、他の六眼魔族と、蛙の頭部を持つ四眼六腕の魔族たちが、闇神リヴォグラフ側の戦力たちを倒しながらこちらに近付いてきた。
ザンスインは、
「『ほぉ……やはり、槍使いと同様に、ただの神獣ではないな――』」
「にゃごぉ」
「にゃごァ」
黒虎と銀灰虎が唸り声を上げた。
「相棒、行くぞ、銀灰虎は皆の近くに――」
「にゃご」
「にゃァ」
黒虎と共に欲望の王ザンスインに飛翔していく。
「『――我に近づけるとでも?』」
ザンスインの嘲笑とともに、視界を埋め尽くすほどの黄金の鎖が押し寄せる。
網膜が黄金一色に染まるまま、体内の全魔力を沸騰させた。
即座に<血道第五・開門>――心臓が爆発的な鼓動を刻む。
<霊血の泉>から無尽蔵の力が溢れ出す。
<月冴>を発動。視界に半透明の『月冴』が浮かぶ。
<水神の呼び声>――発動させ、祈る。
<滔天神働術>――。
<滔天仙正理大綱>――。
水神アクレシス様の知覚を感じた。
精神の鏡面を研ぎ澄ますように<魔仙神功>を実行。
仙魔の理が「神座」の領域を大きく引き上げる。
――耳鳴りが響いたが、身体能力は、倍増したと理解。
<血道第一・開門>のまま膨大な<血魔力>を放ち――。
<血鎖の饗宴>を発動した。飛来してきた黄金の鎖を喰らうように、無数の血鎖が衝突――血鎖の群れが押されかかるが、神々しく輝くと黄金の鎖と対消滅を繰り返しながら押し込むが、また押された――。
神意と血魔力の相克が、虚空で連鎖的な魔力爆発を無数に引き起こしていく。
爆風のただ中、更にギアを上げる――。
<血道第四・開門>――<霊血装・ルシヴァル>。
<血魔力>の面頬を装備し、間髪入れず<血道第五・開門>――。
<血霊兵装隊杖>と<霊魔・開目>を発動。
全身を闇と光の運び手の髑髏が刻まれた禍々しい外骨格甲冑が包み込む。〝紅蓮の竜翼膜〟と〝炎竜鱗骨鋼〟の素材が活かされた胸当て類に、鈴懸、不動袈裟風の衣装が融合した鎧が展開した。
<血道第六・開門>――。
<血道・明星天賦>を発動。
<血道・九曜龍紋>を発動。
<煌魔・氣傑>を発動。
爆風を感じつつ<魔闘術>系統の発動を重ね、<血鎖の饗宴>を続けた。
ほぼ相殺しながら、欲望の王ザンスインの横を旋回していく。
相棒には黄金の鎖は向かわず、巨大な蛙が実体化し、口から七色の波紋を放ち、相棒の紅蓮の神炎を防いでいる。
《氷竜列》を念じるが、即座に消えた。
<神殺しの塵芥>は健在、<血鎖の母衣暗網>を意識し、発動しながら<雷光ノ髑髏鎖>を意識、両手首の<鎖の因子>から<鎖>を射出し、<光条の鎖槍>を五発放つ。
白光の魔力を纏った太い鎖の槍が、爆音を置き去りにしながらザンスインへと殺到した。だが、ザンスインの周囲に浮かぶ形象文字の魔印が一斉に巡り、多重の幾何学障壁を形成する。キィィィン! と硬質な高音が夜を裂き、<光条の鎖槍>は黄金の魔印に次々と衝突しては激しい火花を散らして弾かれた。
その隙を突くように、ザンスインの背後の巨大蛙が、ぎょろりとした四つの眼球をこちらに向ける。粘着質な笑い声のような波動が耳膜を揺らし、七色の波紋がさらに拡大され、空間そのものを強欲に引き絞るようにして四肢へと迫る。
「ンンン――」
肩の竜頭装甲ハルホンクがピカピカと紅光を猛らせ、警告音を鳴らした。
『思考共鳴の魔導輪』を意識し、空間をねじ曲げるように展開――。
反時計回りに七色の波紋を反転させていく。
「『ハッ、神々の魔法力、式識の息吹に依存しない<古代魔法>とは、また、こそばゆい、知恵の神イリアスやレフォトが愛する人型なだけはある――』」
と、七色の波紋が内から瓦解すると同時に『思考共鳴の魔導輪』自体も消え、――速い! 視界がブレたと思った瞬間、凄まじい衝撃が腹部を突き抜けていた。
「が、はっ……!」
肺腑の空氣をすべて搾り出され、地面へと叩きつけられる。
岩肌が砕ける衝撃のなか、見上げれば、すでにザンスインの巨大な魔槍の穂先が、俺の眉間を貫かんと迫っていた。
八咫角を置いた刹那――。
ギィッと音が響くと同時に、八咫角が押され、顔と衝突しそうになった刹那、<仙魔・龍水移>で、ザンスインの背後に転移したが、ザンスインの黄金と赤黒い魔力を放つ魔槍の薙ぎ払いが左に迫っていた。左手に<握吸>で引き寄せた無名無礼の魔槍で<御槍・無音突き>、魔槍の薙ぎ払いを弾き、<超能力精神>で、「ぬ?」とザンスイン自体を後退させることに成功した。
「『やるではないか――』」
一瞬で槍圏内――。
<血魔力>を魔槍杖バルドークと神槍ガンジスに込めながら<魔闘術の仙極>、<黒呪強瞑>、<源左魔闘蛍>、<魔銀剛力>、<無方南華>、<無方剛柔>、<月影血融>、<刹那ノ極意>を順繰りに発動し、ザンスインの突きを避け、両手首の<鎖の因子>から<鎖>を射出。
同時に、ザンスインへと神槍ガンジスで<魔皇・無閃>。
「『なかなかに素早い――』」
神槍ガンジスから放った神速の一撃<魔皇・無閃>は、ザンスインの障壁に阻まれる。だが、その凄まじい衝撃波は奴の魔槍の螻蛄首を粉砕し、そのまま片腕へと直撃した。だが、硬質の巨岩を力任せに削り取るような手応えが伝わってきた。
攻勢を緩めず、左手の魔槍杖バルドークで極大の点突き<刃翔刹穿・刹>を突き出す。しかし、奴の頭部前面に展開した幾何学魔法陣に阻まれ、火花を散らして防がれた刹那、足元から大地を這うような魔刃が放たれ、同時に腰から黄金の鎖が蛇の如く襲い来る。
<仙魔・桂馬歩法>で変則的な軌道で斜め左、次いで右斜めへと瞬時に跳躍してそれらを回避する。だが、その着地際を狙い、右から巨大な斧刃の魔刃が弧を描いて迫る。魔槍杖バルドークの堅牢な柄を交差させてそれを受け止めるが、凄まじい質量と神意の圧が体を押し潰さんときしんで、何かの影響で体が重くなった。
更に嫌な予感――。
すかさず<仙魔・龍水移>で後退――。
体が軽くなった。なんらかの精神攻撃、と、先ほどまでいた宙空をザンスインの巨大な右足が力任せに踏み抜いていた。神魔山シャドクシャリーの強固な岩肌が容易く陥没し、巨大な足跡が刻まれるほどの破壊力だった。
ザンスインは見上げる。
「魔力操作にその動き、我も毒婦の八蜘蛛王審眼を持っていればな……」
と、呟くと、周囲に浮かぶ形象文字の魔印が一斉に赤黒く猛る。
途端に、それらの魔印が飛来――。
途中で、赤黒い魔槍、魔剣、あるいはのたうち回る大蛇のような武器へと形状を変化させ不規則な軌道を描き、包囲しながら飛来した。
――逃げ場のない弾幕。
冷静に『思考共鳴の魔導輪』を発動。
<仙魔・暈繝飛動>も発動――。
<トガクレの魔闘氣>と<魔技三種・理>を重ねて意識し、自身の存在を陽炎のように揺らす<水月血闘法>、そしてその派生である<水月血闘法・水仙>を展開した。
残像と実体を幾重にも入れ替え、赤黒い武器の暴風を紙一重で避けていく。
そして、避ける動きそのものを予備動作とし魔力の流れを操作――。
ザンスインの巨体を逆にこちらへと引き寄せることに成功した。
視界の端では、エヴァたちが構築した強固な障壁のなかで、ヴァスガたちが無事に保護されているのが見え、確信を持って槍を握り直す。
「にゃごぉ」
背後から、相棒が放った極大の紅蓮の神炎がザンスインへと襲いかかる。
俺に意識を向けていたザンスインは回避が遅れ、その背中に神炎が直撃した。ジュウウウ! と激しい音を立てて、奴の漆黒のマントと頑強な鎧がドロドロに溶け出していく。「チッ、我が肉体に、傷を――!」
ザンスインが怒りに満ちた声を上げ、俺に魔槍を荒々しく一閃した。
それと同時に死角の逆方向から、俺の首元を狙って鋭利な魔刃が殺到する。
挟撃――。
即座に<仙魔・龍水移>を発動し、転移。
横に移動し、避けたと思ったが、出現した先はザンスインの真正面。
奴の六つの眼球が不気味に煌めいた。
「死ねぃ!」
視界を焼き尽くすような破壊の怪光線が放たれる。
網膜に焼き付く光線を、<ブリンク・ステップ>による真横への超高速転移で回避。更に追尾するように放たれた二撃目を、再び<仙魔・龍水移>で下方へと転移して躱し、その上昇慣性を利用して、右手の魔槍杖バルドークを全力で<投擲>した。
「ぬん――!」
迫る魔槍杖バルドークを、ザンスインは左腕の甲で力任せに弾き飛ばす。
ザンスインの真正面に、六眼が煌めく。
怪光線が飛来した。<ブリンク・ステップ>で真横に転移、また飛来したから<仙魔・龍水移>で下に転移し避け魔槍杖バルドークを<投擲>。
「ぬん――」
弾かれるが、槍の軌道とザンスインが体勢を崩した一瞬を狙う。
真上へと、<仙魔・龍水移>で転移した
ザンスインを見下ろす頭上から、右手に「神座」の権能、そして光魔の魔力を極限まで収束させる。
<神聖・光雷衝>――。
黄金と白銀が混ざり合った、神罰の如き光雷の衝撃波が、ザンスインの脳天へと真っ直ぐに叩き込まれた。
「ぐぇあぁぁっ!?」
神座の適格者としての威光を載せた一撃は、最上級神の強固な防御障壁を完全に突き破った。
ザンスインは初めて苦悶の絶叫を上げ、弾丸のような速度で斜め下へと吹き飛び、神魔山シャドクシャリーの頑強な岩肌に背から激突した。
凄まじい地響きと共に土煙が舞い上がり、岩山が大きく揺るぎ、砕け散る。
が、「『ぬごぁぁぁぁ――』」神魔山の岩が吹き飛ぶ。
途端に転移してきたザンスインは俺を凝視し、
「『見事な光雷、衝撃だったが、お前は光神ルロディスの眷属の力も有していたな……』」
そう神意力を有した言葉で聞いてきたが、先程ぶち当てたばかりの<神聖・光雷衝>の傷がない。
「だからなんだ……?」
と聞くと、六眼を煌めかせ、半笑いで、
「『……お前は使える――』」
と言った直後、周囲を三百六十度囲むように、逃げ場のない黄金の膜が展開された。
閉じ込められた、と思った瞬間――遥か遠方の虚空から、世界を裂くような漆黒の雷鳴が轟いた。
「ぬご、ァァァ――!?」
ザンスインの頭部と上半身の右半分が、何の前触れもなく消し飛んでいた。
俺を拘束していた黄金の膜が、術者の損壊によって一瞬で霧散する。
「『我の得物と遊ぶとはな、ザンスイン――』」
魔夜世界の左上の虚空。
そこに、圧倒的な闇の波動を従えた闇神リヴォグラフが、泰然と浮遊していた。
その闇神リヴォグラフに黄金の鎖が無数に飛来していくと同時に、「『闇神、なかなかの<闇神皇波>だな――』」とザンスインが転移し、魔槍と魔剣を振るい上げ、背後に転移してきた巨大な蛙も、虹色の波紋を闇神リヴォグラフに向けていた。
闇神リヴォグラフの回りに闇霧が発生すると消えた。
<隻眼修羅>でも捉えきれない。同時に右上に魔界騎士らしき存在と闇賢老ヴェテルノから放たれた紙片が、虚空に拡がってザンスインと巨大な蛙の攻撃を消し飛ばす。闇霧が霧散すると、ザンスインの右横に現れた闇神リヴォグラフの左腕が魔大剣に変化しながらザンスインに向かう。ザンスインは無造作に右腕を、奇怪な魔法陣に変化させると、闇神の魔大剣を黄金色に変化させ、己の右腕に引き寄せ黄色い閃光を放ち、闇神リヴォグラフを吹き飛ばす。
チャンスと思ったが、闇神リヴォグラフと欲望の王ザンスインの全身に無数の巨大な魔槍が突き刺さって、神魔山シャドクシャリーに磔にしていく。
二柱の神を同時に貫き、神魔山に磔にした巨大な魔槍の群れの威力は凄まじい。
それを遥か上方から見下ろすようにして放った、大柄の魔族――いや、その身から放たれる禍々しい魔力は間違いなく「魔神」の領域。
額から突き出た歪な角、そして闘争のみを渇望するような赤い眼眸。
鬼神の如き上半身は筋肉の裸に近い。
魔神は、磔にされた神々を一瞥もせず、ただ俺だけを凝視した。
「『お前が、光魔ルシヴァルのシュウヤか』」
声だけで周囲の大気がびりびりと震え、神魔山の岩肌が砂となって崩れ落ちる。
魔槍を構え直し、
「たしかに、シュウヤだが、貴方は?」
魔神は獰猛に牙を剥き、己の名を告げた。
「我は、暴虐の王ボシアド」
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