二千百五十四話 絶対結界の崩壊と交差する裏の歴史
上空では、ヴィーネやキサラ、ルマルディ、そしてヘルメたち精霊陣がすでに各々の判断で猛攻を仕掛け、飛空艇や空魔法士隊を次々と撃ち落としていた。激しい爆発と閃光が空を彩り、戦況は目まぐるしく動いている。
ベリーズとフー、それにママニも見えた。
屋根の上に滑るように着地し、隠れていた射手を豪快に拳で殴り飛ばしている。
相変わらずママニは強い。元虎獣人の女性らしさを見せるように後転からの踵落としから裏拳を兵士に浴びせては、<血魔力>を込めた大型円盤武器アシュラムを<投擲>し、空魔導師の一人の魔法陣を破壊し、突き抜けた大型円盤武器アシュラムで、その魔導師を腹をぶち抜いて倒す。
沙・羅・貂たちも飛翔しながら、それぞれの得物で、ロルジュ公爵側の空魔法士隊の人族たちに、急襲、攻撃を繰り返している。
後退してきたハイグリアが、
「シュウヤ、ルマルディたちは強いぞ! 前進しないのか!」
「おう、こちらももうすぐ地下に向かう」
と、俺たちが出てきた巨大な穴を見る。
「ふむ、そうだった、ここからシュウヤたちは、地下から王都に入ってきたんだな」
「おう、ロルジュ公爵が大規模な魔法を展開したおかげで、それを破りに行くところでもある」
「了解した! 我らはシュウヤたちと共に動くべきか?」
ハイグリアの背後には、リョクラインとダオンをはじめとする古代狼族の部隊が並んでいく。
俺がダオンとリョクラインへ視線を向けて軽く会釈すると、二人も「「ひさしぶりです、シュウヤ様」」と深く頭を下げてくれた。
「おう、二人ともハイグリアをよく支えてくれたようだ――」
と複数の魔矢が飛来――。
大きい駒の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を前進させて、それらを防ぐ。
そして、
「ハイグリアたち、今はルマルディとヴィーネたちの動きに合わせて、地上のロルジュ公爵の兵士たちを倒しつつ、瓦礫に埋もれた方々の救助もお願いしたい」
「ふむ、了解した」
「「ハッ」」
ハイグリアたちは直ぐに動く。
そこにガリウスは、
「――ライセー、ベサル、チモガ、聞いていたな、部隊を纏めろ。ミドランド家の撤退していく吸血鬼たちは氣にするな」
「「ハッ!」」
「承知!」
ライセー、ベサル、チモガの魔族たちは二眼二腕だが、顔と腕の一部に印があり、二の腕が太く、背の筋肉や骨格が異様に隆起しており、明らかに人族ではないと分かる屈強な体格だ。
その屈強な魔族たちがこちら側に集結してくる。
だが、周囲の廃倉庫街ではロルジュ公爵軍の兵士も多い――。
魔矢や魔法が飛んで来る――。
《氷縛柩》や《闇壁》で、対処していく。
ソーグブライト王太子派か不明なサーマリアの兵士たちもいるが、混戦だからな。
ガリウス側の魔族、邪道流の剣客、大海賊たちもいる。
逃げ遅れた一般の民衆を巻き込みながら未だに戦いが続いていく。
そして、エーグバイン家の爺さんは、戦場での戦闘行為を止め、俺たちの観察を強めていた。
そこに<霊血導超念力>を使い、瓦礫を移動させていたエヴァが、
「――お爺さん、ぼうっとしてないで! 瓦礫に埋まっている方々を助けるのを協力して!」
爺さんへ向けて強く叫んだ。
その真っ直ぐで凛とした声に、吸血鬼ハンターの爺さんはハッと我に返り、大きく肩を震わせた。
「お、おう! そうじゃな! ハンターたる者、民草を守らねば……わかった、任せておけ!」
爺さんは十字の聖鉄びしを懐に仕舞い込むと、すぐさま倒壊した倉庫の瓦礫の山へと走り出した。彼の聖なるオーラが、今度は破壊のためではなく、人々を救い出すための力として使われ始める。
「ん、いいお爺さん」
エヴァが小さく頷き、俺に向かって微笑んだ。
頷き返し、青白い魔剣を下げたガリウスへ向き直る。
「ガリウス。王城を覆うあの不気味な結界、大本は地下の遺物だな?」
「あぁ。古都市ムサカから運び込まれた『豹文文明の遺物』……。だが、あの防壁の魔力供給源となっている魔道具の弱点は、建国の血盟を継ぐ私なら分かる」
「よし。なら案内を頼む。俺たちは地下へ潜ってその遺物をぶっ壊す。そして、外縁で足止めを食らっているレオンたちと合流するぞ」
俺の言葉に、ガリウスは赤い双眸に強い光を宿し、力強く頷いた。
「承知した。ついてこい、シュウヤ!」
ガリウスが先導し、廃倉庫の奥にある隠された地下通路へと足を踏み入れる。ユイ、カルード、鴉さん、エヴァ、レベッカ、そして俺の足下に寄り添う黒猫がそれに続いた。
上空の敵は頼もしい眷族たちに任せておけば問題ない。
地下の空氣は淀み、王都の地下水脈を流れる冷氣とは違う、悍ましく濃厚な魔力が肌を刺してくる。
□■□■
一方、その頃――。
サーマリア王国の王都外縁部では、ソーグブライト王太子の軍が、王城の結界を前に防衛線を敷いていた。
燃え盛る『炎幻の四腕』を展開したレオンが、公爵軍の重装歩兵を次々と灰燼に帰している最中、背後から接近する新たな軍勢の氣配にアドルフ軍師が眼鏡の奥の目を細めた。
「殿下、武装した一団が接近してきます! あれは……ラスニュ侯爵の私兵です!」
「なんだと? ラスニュめ、我らの背後を突く氣か!」
レオンが炎の剣を構え直したその時、私兵の先頭から、脂汗を滝のように流したラスニュ侯爵と、漆黒の唐刀『無明唐草』を腰に差したリエガが姿を現した。
「待たれよ、ソーグブライト王太子殿下! 我々は敵ではない!」
ラスニュ侯爵が悲痛な声で叫ぶ。
「ロルジュ公爵は狂っている! あ奴、王都を戦場に変えるとは思ってもみなかった! こんな大規模な内戦だと馬鹿げている! そして、私をも暗殺しようと刺客を差し向けてきたのです。殿下、このラスニュ、今よりロルジュ公爵打倒のために、殿下の手足となって動く所存! 【黒薔薇の番人衆】の手勢は少なくなってしまいましたが、まだまだ貢献できまする」
ソーグブライト王太子が冷ややかに見下ろし、軍師アドルフと視線を合わせると、アドルフは事前に話をしていたように、かすかに頷いた。王太子は、片腕をあげ、
「……ふむ」
と指示を出す。
隣にいる軍師アドルフが君主に対して、礼儀正しく会釈し、一歩前へ出てから冷淡を醸しだしつつ、ラスニュ侯爵へと、
「ならば、貴方の私兵を今すぐ前線に回しなさい。空からの砲撃の盾くらいにはなるでしょう」
と、一切の感情を交えずに、冷徹に告げる。
ラスニュ侯爵は一瞬、鋭く二人を見てから、老獪さを顔に出し、
「……わ、わかった! お前たち、王太子殿下をお守りしろ!」
リエガが静かに唐刀の柄に手を添え、公爵軍への迎撃態勢を整える。
ラスニュ侯爵の合流により、王太子軍は辛うじて戦線を維持することに成功していた。
□■□■
王都の地下深層。
ガリウスの案内で進む俺たちの前に、分厚い魔鋼の扉と、それを守る公爵軍の精鋭地下守備隊が立ちはだかった。
扉の奥からは、ズゥン、ズゥンという、巨大な心臓が拍動するような不気味な重低音が響いてきている。
「あの扉の奥だ。遺物を制御している巨大な魔導炉がある。その核を破壊すれば、地上の結界は完全に消滅するはずだ」
「ご苦労。だが、そこを通すわけにはいかん!」
守備隊の隊長が魔剣を抜き放ち、数十人の重装兵が通路を塞ぐ。
ガリウスが、クリスタルを放る。
赤く赫いたクリスタルはサーマリア王国の紋章となった。
「なんだ?」
「「古い魔印?」」
「「「……」」」
「王族の魔印紋章か……」
ガリウスは、最後に発言した一人だけを注視し
「……この魔印紋章を知るのは、たった一人だけか……」
「王族だからなんだ、ここを通すな!」
「我の王はただ一人――」
「「「おう!」」」
重装兵たちが、ガリウスに向かう。
ガリウスは、冷静に、魔剣を振るった。
魔剣から迸る青白い魔刃が、
「げぇ――」
「え!?」
二人の重装兵の盾を切断し、手足を切断し、壁に突き刺さって止まった。
俺も前に出ながら<握吸>と<勁力槍>を発動。
力の、<破壊神ゲルセルクの心得>を意識、発動――。
前面に立ち塞がる重装兵の大きな盾を下からの<龍豪閃>で豪快に弾き飛ばす。
空いた胴の隙間へ返す刀――否、返す石突の<魔皇・無閃>を繰り出した。
重装兵の分厚い鎧を、石突が捉えた。
一瞬で、胴を潰すようにへしゃげ折る。
豪快に真っ二つに粉砕して倒した。
巨大な黒虎も前に出て、
「にゃごァ」
咆哮と共に、背から無数の触手骨剣を射出する。
強靭な骨の刃が、重装兵の盾と鎧を容易く貫き、最前列の敵を瞬時に串刺しにして吹き飛ばした。
その黒虎の背後に回ろうとしていた重装兵の横を、<雷飛>で取って<魔皇・無閃>で薙ぎ払う。
「ンン――」
相棒の喉声と共に、太い触手が俺の足下へ階段のように段々と並ぶッ。
その触手を力強く踏み台にして駆け上がり、相棒の巨体を飛び越え――。
前方で構えていた重装兵たちの上空から魔槍杖バルドークを鋭く振り下ろし――<血龍仙閃>を繰り出した。
複数の重装兵は盾を掲げた。その盾ごと複数人の頭部を潰すように倒す。
黒虎も横に滑るように横回転しながら、俺の前に出て後ろ脚を、馬が蹴りを出すように、複数人の重装兵たちに喰らわせて、追撃の触手骨剣を浴びせて、豪快に倒していた。
「遅い――」
ユイが<銀靱・壱>の神速の踏み込みで、混乱する敵陣の懐へ滑り込む。
アゼロスとヴァサージの双剣が白銀の軌跡を描き、悲鳴を上げる間も与えずに次々と首を刎ねていく。
「マイロードの道を塞ぐな! <血滅・虎牙>!」
カルードが流剣フライソーを振るい、下から跳ね上げるような斬撃で敵の胴体を十文字に斬り裂いた。
鴉さんも影から影へと移動し、的確に敵の急所へ暗器を突き立てていく。
ユイは相棒と共に、前進し、重装兵と対峙するや否や、迅速にアゼロスとヴァサージの魔刀を振るう。
重装兵の片腕を斬り、胴体を斬る。相棒は紅蓮の炎を吐いた。
周囲には広がらない紅蓮の炎は目の前の重装兵を包むと、その鎧ごと炭化させていた。
「燃えなさい!」
レベッカが<光魔蒼炎・血霊玉>を放ち、蒼い炎の勾玉が隊長格の男を飲み込んで灰に変えた。
「ん、道は開いた」
エヴァが<霊血導超念力>で分厚い魔鋼の扉を強引に捻じ曲げ、吹き飛ばす。
開かれた扉の奥に広がっていたのは異様な熱氣と禍々しい魔力に満ちた巨大な地下空間だった。
地下水脈の川が左右に広がっている。
中央には、赤黒い魔力を脈動させる巨大な『豹文文明の遺物』が鎮座していた。巨大な三つの頭蓋骨が重なって、巨人の頭部の幻影も浮かんでいた。
赤黒い魔力を放つ中心の遺物から無数の管が地下のあらゆる方向に伸びている。レベッカが、
「王都の地下に広がって魔力を吸収し、結界に魔力を供給しているようね」
「ん、心臓部は中心の遺物」
「ガリウスに皆、あれを破壊しても大丈夫なのか?」
「中心の遺物と、左右の循環を担っている巨大な魔機械と魔道具のコアを取り外せばいいだけだろう。問題は、三つの巨人の幻影の頭部だが、あれが防衛力を有しているかもしれん」
「了解した。頭部の幻影に俺が突っ込むから、その間に、皆で魔道具のコアの取り外しを行ってくれ」
「「了解」」
「ん」
「うん」
「相棒、あの幻影に向かうぞ」
魔槍杖バルドークを神槍ガンジスに変化させる。
「にゃご」
<魔闘血蛍>、<魔闘術の仙極>、<水月血闘法>を発動。
<血魔力>を神槍ガンジスに集中させるまま<雷炎縮地>で一氣に遺物を覆う巨人の頭部の幻影へと肉薄――。
巨人の頭部の幻影がこちらに氣付いた。
背後の遺物も振動し浮かび、頭部の幻影が覆っている遺物は俺たちに近付いてくる。幻影は口を拡げ、口蓋から閃光が発生、魔力のビームでも放つつもりだろう。
――構わず、<神槍・烈業抜穿>――。
<血魔力>が光の渦となり神槍の穂先に集束螺旋――。
神槍ガンジスと共に圧倒的な推進力で、巨人の頭部に向かう。
突き出た方天画戟と似た双月刃の穂先が、巨人が放った閃光を突き抜け、手から離れ突出した。
光の螺旋のような<神槍・烈業抜穿>の神槍ガンジスは、巨人の幻影の頭部と、遺物を容易く貫通――。
爆散する破片の横を<雷炎縮地>の神速で通り抜け――。
宙空で虚空を貫いて飛んできた神槍ガンジスの柄をガシィッと掴み取る。
振り返ると、遺物だった物が内側から異様に膨れ上がり形を変えていた。
巨人のような魔神、否、旧神だろうか、頭部が複数あり、腕と足も多数ある。
その幻影と遺物が融合したような、奇怪で禍々しい巨大なモンスターの顕現が始まるかと思いきや、形を成す前に蒼く燃焼してドロドロと溶け落ち、内側からの破裂を幾度も繰り返しては、為す術もなく爆発して散っていった。
刹那、ズゥンッと重低音が響くと神槍ガンジスから尾を引く光に満ちた烈業の力が、それらの残滓を蒼い光の塵に変えていく。
魔素が急激に萎む感覚のまま、空間の圧力のようなモノも消えた。
幻影の頭部と、遺物も、完全に消えたと分かる。
紅蓮の炎と光の魔力の奔流が周囲に溢れ出し、遺物と繋がっていた魔道具と魔機械にも浸透したように爆発していく。魔石の破片のような物が四散した。静かに地下水脈の音が響いてくる。
赤黒い魔力の供給が完全に途絶え、地下空間を覆っていた悍ましい重低音がフッと消え去る。
ガリウスが、その信じられない光景に息を呑んだ。
「……古都市ムサカから発掘され、建国の時代から厳重に秘匿されてきた絶対の遺物を、たったの一撃で粉砕するとは……規格外にも程がある」
「これで、地上の結界も消滅したはずだ。皆、崩落に巻き込まれる前に地上へ戻るぞ」
「「「はい!」」」
「にゃお」
崩れ落ちる地下施設を背に来た道を一氣に引き返した。
□■□■
同時刻、サーマリア王国の王城前――。
王城をドーム状に覆っていた不気味な半透明の防壁が、突如として明滅を繰り返し、ガラスが割れるような甲高い音と共に無数の光の粒子となって砕け散った。
「――結界が消えたぞ! ハハッ、やはりあの男がやってくれたか!」
燃え盛る四つの幻の腕『炎幻の四腕』を背に展開したレオンが、空を見上げて会心の笑みを浮かべる。
軍師アドルフも、眼鏡を押し上げながら口角をわずかに上げた。
「盤の外から現れた規格外の駒……見事な盤面の制圧です。殿下、今こそ!」
「うむ!」
ソーグブライト王太子が、手にした王家の剣を天高く掲げた。
「ロルジュ公爵の悪あがきもここまでだ! 全軍、王城へ突入せよ! 逆賊ロルジュを捕縛し、このサーマリアに真の平和を取り戻すのだ!」
「「「オオォォォォッ!!」」」
王太子の号令に応え、軍勢が怒涛の如く王城の正門へと殺到する。
その最前線には、寝返ったラスニュ侯爵の私兵たちを率いる、漆黒の唐刀『無明唐草』を構えたリエガの姿があった。
一方、王城の最深部、ロルジュ公爵の執務室。
ガシャンッ!
琥珀色の酒が注がれた高級なグラスが、床に落ちて粉々に砕け散った。
「な、ばかな……!? 王都の地下地脈と完全に接続されていたはずの遺物が、破壊されただと!?」
ロルジュ公爵が、血走った目で窓の外の惨状を睨みつける。
空を覆っていた彼の中型飛空戦団は、ヴィーネやルマルディ、精霊たちの圧倒的な猛攻の前に次々と火を噴いて墜落し、頼みの綱であった虚空の防壁も完全に消え失せていた。
「か、閣下! 王太子軍が正門を突破しました! 防衛線はすでに崩壊状態です!」
ドイガルガが顔面を蒼白にさせ、悲鳴のような報告を上げる。
背後の影から姿を現した【ロゼンの戒】の統括者プルトーも、苦渋の表情で首を横に振った。
「……ラスニュ侯爵も潰せず、空の部隊も得体の知れない怪物たちの集団に蹂躙されております。もはや、この城を守り切ることは不可能です。閣下、ここは地下の隠し通路から脱出を……」
「ええい、黙れェッ!」
公爵が机を激しく叩き、忌々しげに歯を剥き出しにした。
「この私が、六百年続いた公爵家の当主たる私が、あの青二才の王太子や、どこぞの野良犬どもに敗走するなどあり得ん! プルトー、奥の手を出せ! 城の地下に眠る『古きキメラ』をすべて解放しろ! 王城ごと、奴らを鏖殺してやる!」
「……御意に」
狂氣に憑りつかれた公爵の命令に、プルトーは深く一礼し、再び影の中へと沈んでいった。
□■□■
地下から地上へと帰還――。
空の制圧を終えつつあるヴィーネたちと合流するため、王城の正門方面へと飛翔していた。
眼下では、ソーグブライト王太子の軍が王城内へ雪崩れ込んでいるのが見える。
「やはりシュウヤ殿たち、ご苦労だった!」
炎を纏ったレオンが空へ舞い上がり、俺たちの傍らへ並走してきた。
「おう、レオン。そっちも順調そうだな。結界の元凶は地下で粉砕してきた」
「あぁ、助かった! だが、ロルジュのタヌキ親父がこのまま大人しく捕まるとは思えねぇ。城の奥で何かヤバいもんを起動させる前に、俺たちで首根っこを押さえるぞ!」
「同感だ」
「おう――」
並走してきたレオンが、ふとガリウスを見て会釈した。
ガリウスもそれに応える。互いに知り合い……というより、互いが背負う血脈と歴史を理解しているのだろう。
二人は無言のまま、互いの剣の腹を軽くカチンと衝突させ、不敵な笑みを見せて頷き合った。
その頼もしい姿と、集う皆の顔を見回し、
「では、ロルジュ公爵に会いに行こうか!」
「「おう」」
「「うん」」
王城の最深部を目指す――。
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