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転生①

 通常の家庭の人間ならまだ寝ている、もしくは意識の高い人なら朝日をあびて活動をし始める、現在の時刻、午前五時。

そんな一般市民よりも意識の高い人間はこの時間何をしているか。無論、、、、、、


「ヒャッホーーおおおおおおおお!!!!あ、ヤバイミスった。カバーほしい!カ、バ、ア!オイなにやってんだよ、、」


友人と深夜から今に至るまでネットゲームに浸り、この時間に奇声を上げ、自称Vlogをネットにあげちゃう意識高い系男性の姿を暗い部屋にただ一つ置かれたモニターの光が照らす。


「いやー今のは俺が悪いのか、、?絶対お前だろ!!」


そんな奇人に付き合うもう一人の奇人が納得のいかない荒々しい様子で答える。


「はーーーん。また俺と口喧嘩をしようっていうのか?上等じゃこれい!」


「言っとけ言うとけ。俺は今日は用事があってお前に付き合ってらんな、、やベ。もうこんな時間になってんのか!すまん!先に落ちる!」


「は!?ちょっと!」


さっきまで話していた友人が通話を切る音が聞こえた。


「言い逃げしやがってーーー!」


まだはらわたが静まり返らない奇人は乱暴に頭につけていたヘッドセットを置く。

自分の座っている椅子の背もたれに腰を掛け、モニターに照らされて青白く光る天井を仰ぐ。

何を考えるでもなく、こうやってボーっとするのが実は好きだったりする。何も生産性があるわけでもないが。。。

先程の出来事をぼんやりと振り返る。そして何も自分が悪いわけではないことを確認している最中。


「ぐうぅぅぅー」


静まり返った部屋に自分の腹の音が鳴る。


「あ、そういえばいつもより早めに夕飯を食べてからまだ何も食べてないわ、、」


思い出したようにつぶやく。

そうなることは日常茶飯事なので自宅の近くにあるコンビニによる準備をする。準備、と言っても上着を一枚被るだけだ。財布は持たなくでも電子決済がある。つくづくいい時代になったものである。



_____________________


「ありがとうございましたーー」


いつも通りの抑揚のない店員の声を背にして店を出る。


「今日もお気に入りのグラタンがあってよかったー。」


包装容器とふたを開けた途端に湯気が立ち上るグラタンを想像すると、自然と足が速くなるものである。

信号待ちをしていると、自分の横を通り過ぎる女子高生の姿が視界の端に映る。


「あ、、いいにおいだな、、」


頭に少なくない煩悩が流れたのち、ふっと我に返る。自分が気付かないだけだと思いもう一度信号の明かりを確認する。言うまでもなく、まだ赤色の危険信号を示し続けていた。


「おいあんた!まだ赤信号だぞ!」


大きな声で呼びかけるがスマホを片手に、集中しきっている女子高生は気づかない。


「チッ!マジかよ、、!」


不安と恐怖で足がすくみ、手汗が一瞬のうちに染み出てくる。


「自分は何も悪くない。明らかにこの状況であの女が車にひかれてもそれは自己責任だろ!!」


頭がひどくガンガンし、心臓の心拍も早くなっているのがわかる。

女子高生の右から車が走ってくるのが見える。

でも、、、、でも、、ここでやらなきゃ、、



「誰が助けるんだーーー!!!!!!!!!!」



絶叫にも近い叫び声で道路に飛び出す。

女子高生の背中に手を伸ばす。幸いにも短い横断歩道だ。少しでも押してあげれば大丈夫なはず。

必死で右腕を伸ばす。死に物狂いで足に力を入れる。地面を思い切り蹴り、走る。




が、、、、届かなかった。



次の瞬間、体の右側から今までで一度も感じたことのないほどの圧力が加わり、体が宙に浮く。

視界の端に先程の、自分が助けようとした女子高生が映る。彼女は車の角にあったのだろうか、吹っ飛びはしなかったものの、ひどい重傷を負っているのがわかる。

その後、少しの間もなく体が地面に押しつぶされる。腕を動かそうと力を入れるが、まるでもう自分の体じゃなくなったかのように重く、動かせない。

だんだんと視界が暗くなっていくのがわかる。最後の力を振り絞って目を見開こうとしたが、涙と砂利が混ざり合って自身の目を刺してくる。

遠くで人の叫び声と救急車の音が聞こえてくる。

文字通り、指一本動かせなくなった状況で俺は物思いにふけった。



人生の最後ってこれなのか、、

まあきっと残念な終わり方だろうし、本当につまんない人生だったなあ。。

今思えば何をしても全力になれない、本気で取り組んだことのない人生だった。


自分以上の屑がいるもんかと、声にならない声で情けなくつぶやこうとするが息が詰まり、余計に苦しさが増す。


俺がもう少し早く動けていたら、あの子をたすけられていたかもしれないのに!!!


勇気を振り絞って命を賭けても、かっこいいヒーローになりきれない自分を嘆く。


もし、もしも次の人生があるとするのなら、、その時は、、、全力で、、、生きたいな、、、、、


意識がもうろうとしてきたとき、思い出されたのは先程まで一緒にゲームをしていた友人だった。




「さっきのこと、謝りたかったな、、」





そうして、何も見えなくなった。

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