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エピローグ

 遠い昔、人類と魔物での大規模な戦いがあった。


天地は割かれ、土地は枯れ、数百の命が刹那の間にたった一つの大魔法によって消える、そんな時代。


 魔族は高い身体能力と豊富な魔力量、高度な魔力操作技術によって圧倒的な暴力を用い、人類は格段に違う戦力差に張り合いの余地なく少しずつ追い詰められていた。



 しかし、一人の選ばれし男、俗にいう「勇者」と呼ばれるものが誕生する。


 彼は女神によって生み出された四体の火、水、木、風をつかさどる精霊たちとともにたった一人で魔王群を押し返していく。

彼が体にまとったとされる聖なる光はあらゆる魔物を薙ぎ払う、人類の希望の光となった。


 勇者が誕生して数十年後、ついに魔王城にて勇者と魔王による人類と魔族の最後の戦いが始まる。


 二人の実力は拮抗しているように見えたが、勇者の放った攻撃が魔王に傷を与えてから、魔王に対して優位に出始める。


 「このままでは負ける」と感じた魔王は、ついに自身の魂を次世代に転送する禁術を魔族の全魔力を用いて、自身に対して使用した。


 「次の機会にまた会おう!人類の希望、勇者よ!まあ次の機会はないだろうがな!ガハハハハハ!」


そうして、この世代の魔王は息絶えた。

 魔王の魂が薄れていくのを見て、勇者は悲痛の叫びをあげた。

自分のせいで、悲しみを生む戦争がまた繰り返されてしまう。

自身の目の前で起こった現実を走馬灯のように思い出す。


自分が到着した時には、平和であったころの面影が残らないほどに焼けこげ、荒廃した村。

自身の親がいたぶられるのを舌を噛んで眺めることしかできなかった子ども。

自分の手を握るその小さく、血に汚れた手が小さく震えていたのを覚えている。

涙と血が瞼の上で混ざり合って、視界がかすむ。


自分は力を持っているはずなのに、何も守れなかった。

力を持っていても、助けを待っている人には手が届かない。

次こそは、次こそは誰も死なせない。

自分の心に刻み込む。


「アゴーニ、ヴァダー、、、ヂェリーヴァ、、、、、ヴィータル、、、、、、、、、俺の前に集まれ」


 世話になった精霊たちの名前を一語一語、噛みしめながら呼ぶ。

一体一体に数えきれないほどの、大切で忘れられない思い出があった。

だからこそ思う、つくづく申し訳ないことをするな、と。

自嘲気に笑う。

もう感覚がほとんどなくなった手を前に出してつぶやく。


「輪廻還元の術。」


途端、先程に魔王が使用した時と同じような巨大な魔方陣が展開され、精霊たちの魔力を強制的に吸い取られていく。

それは精霊たちの許容量をはるかに超えていた。


「ゆ、勇者様、、?」


「な、なんだこれは!?」


「く、、くるしい」


「おのれぇ!私をだましたのか!覚えておれ!」


精霊たちの姿がどんどん小さくなっていくのがぼんやりと見える。

薄れていく意識の中で、声になっているのかわからないくらいの声量で声を絞る。


「最後まで、自分勝手なやつでごめんな。」


魔法陣がまるで終わりを告げるように閉じる。


 そうして俺、勇者は次の世代に魂をつないだ。

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