1/6
プロローグ
想晶を狙う想晶専門の怪盗は、後を絶たない。連日、新聞を賑わせる彼らの犯行は、世間を騒がせ続けていた。
それは、量産はできず、ひとつとして同じものはない。その希少性と美しさは、人々を魅了し、時に狂わせた。
そんな中で、最も有名な怪盗がいた。
怪盗リアム・ノワール。
『華麗なる怪盗』と呼ばれる男について、世間の噂は尽きない。
曰く、全身黒ずくめの装い。
曰く、美しい顔立ち。
曰く、盗んだ想晶はすぐに市場に出回る。
曰く、人は決して殺さない。
その正体は謎に包まれ、誰一人として捕まえることはできない。
今宵もまた、彼はひとつの想晶を手にし、屋根の上に立っていた。
「────これも違うか」
探しているのは、ただの想晶ではなかった。
怪盗リアム・ノワールは、まだ見ぬ目的の『想晶』に辿り着くまで、夜を翔け続ける。




