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我々青春同好会は、全力で青春を謳歌することを誓います!  作者: こりおん
我々青春同好会は、全力で新入生を勧誘することを誓います!

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3.ここから始まる、入学式……?

 陽碧学園の入学式。

 中学校では体育館に集まってやっていたが。

 陽碧学園は、各教室で待機し、映像越しで行われる。


『以上陽碧学園理事長の挨拶でした』


 少し長めの理事長の話が終わった。

 さて、次第通りに行けばこの次は……。


『続いて、陽碧学園生徒会会長鐘撞初衣の挨拶です』


 来た。

 初衣ねえの出番だ。


『新入生の皆様初めまして。陽碧学園生徒会会長鐘撞初衣です』


 お?

 朝の初衣ねえとは全然違って、生徒会長らしい威厳のある姿だ。

 朝の初衣ねえを見て、若干心配してたんだが。

 やはり初衣ねえ。

 凄い。


『部活や委員会、行事等、学園に関わるものは、生徒会が主体となり、生徒一丸となって作り上げていきます。一見自由に活動を行っているように見えますが、そこはとても重たい責任の上で成り立っているのです。自主性、という言葉を履き違えずに、今後のが……く』


 ん?


『が……く…せ…あ、あ………なにご……』

『い……そい……広報委員か………を』

『はい……せん、が…………げんい』


 ざわざわ。

 映像が突然途切れ始め、徐々に砂嵐が濃くなっていく。

 映像の奥から何かトラブルに巻き込まれているような声が聞こえてくる。

 段々とノイズが増えていく。

 そして画面がブラックアウトした。


「おい、御形。これってなんかのサプライズか?」

「初衣ねえに限ってそんな……」

「う、初衣ねえ? 誰だそれ」

「い、いや、多分トラブルだと思うぞ」

「だよな。水無瀬はどう思う?」

「……嫌な予感がする」


 水無瀬は暗い画面を見ながら、なぜか苦笑いを浮かべていた。

 なにか思い当たることがあるのか、と聞こうと思った瞬間のこと。


『えー、てすてす』


 突如として、『SOUND ONLY』と書かれた画面が現れる。

 数秒、静寂。

 そして、画面の奥から女子生徒複数の声が聞こえてきた。


『え、これもう聞こえてるの?』

『ほら、そんな時間かけられないからはやく』

『おほん。えー、私達はは青春同好会!青春を全力で謳歌するための部活!』

『同好会ね』

『今は同好会だけど、いつかは部活になるんだからいいじゃない!』

『ほら、ツッコミは必要ないって』

『お姉ちゃん、もう切られそうだよ!! はやくはやく』

『そろそろお暇しないと風紀委員に捕まってしまいますよ~』

『え、ちょっと待って。なにはなせばいいんだっけ?』

『だから台本預けたのに。燃やしたのは美琴(みこと)でしょ?』

『だって、本当に覚えたと思ったんだもん!』

『私は覚えましたけどね~』

陽乃女(ひのめ)は別。あんた暗記科目得意じゃん』

『で、何を喋ったらいいの、凍里』

『もう自分で考えて、リーダー』

『それは参謀の役割じゃないの、凍里!』

『あ、風紀委員がこちらに向かってきてるみたいですね』

『も、もう切断切れちゃうってえ!!』

『え、ちょっとまだ自己紹介もそこまでできてな――』


 ブチッ!!!


 ブラックアウト。


 唖然。


「おいおい、今のは何なんだ?」

「青春同好会って言ってた?」

「それって、朝チラシがたくさん貼ってあったやつ?」


 入学式。

 新入生にとって初めての学校行事。

 そんな大切な学校行事を、ハッキングする連中がいるなんて。

 聞いたことないぞ、そんな事件。


「なんなのよ、ほんとあのバカ姉……」


 隣の席の水無瀬は、頭を抱えているようだが。

 何かを知っているのだろうか。


 大量にばら撒かれたチラシ。

 入学式のジャック。

 それを行った青春同好会。


「そういえば……」


 鞄の中からチラシを出す。

 

「貰った時と、同じ声だったと思うけど」


 思わず息を飲んだほど、可愛い女子生徒を思い出す。

 

「まさか、な」

入学式のあの独特の雰囲気、大好きです。

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