別れを告げて
そんなに凝った装備ではない、防御陣地だ、すべての機材がアステルとリンクしてる防御陣地だ。武器のほとんどは据え付け式、管理者を囲うように配置され穴は無い、ように見える。いや探せばあるかもしれない、露骨に守りを薄くして誘い込んだ後包囲攻撃するタイプの入り口があるかもしれないが、わかっているのに探しても仕方なかろう。
なので意表を突く意味合いも込めて正面突破を試みた。
そしてそれはほぼ成功した。
「おらおらおらおら行け行け行け行けーーーーッ!!」
「ちょぉーー!? 違う違う私じゃない私じゃない!!」
こちらと向こうで目的の食い違いがあったのである、サーティエイトはあくまで管理者破壊を狙ってくるだろうとアステルは考え、ハッチもう開いちゃってるしとりあえずアステル拉致しようとサーティエイトは考えた。結果、のこのこ出てきた彼女は全力で追っかけ回される事となり、廃基地で破壊したものと同じだろうボディがまだ無事な防御陣地へ逃げていく。
「でへへへへへへ姉ちゃんいいケツしてんなぁぁ逃げないで止まっておくんなよちょっと金属ワイヤーで両手両足縛るだけだからぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「怖いからぁぁーーッ!!」
リモートコントロールの機銃座は弾切れの瞬間に撃ち抜き、ミサイルは鈴蘭が撃墜、目に入ったアクティブ防御システムは優先的に破壊しておく。遠方のビル屋上にあるレールガンはカムパネルラに引きつけさせ、そしてシオンが追いかけながら精神攻撃を行う。言い終わるか否かでベージュの髪は視界から消えてしまったので、やむなく一時停止、陣地の破壊に移る。
「ヒナ先生! 移動は終わりました!?」
『15秒待って』
「よし、よしよし……メル子とフェルトはまっすぐ追って、私と鈴蘭で回り込みます。迎撃弾発射機は必ず破壊、それ以外は状況に応じて」
「ほいな」
「そして鈴蘭、誘導弾は無しだ、撃ってるとこ見られたらたぶん逃げられる」
「了解」
「行くぞ!」
アステルの消えた方向へフェルトが突撃、それをメルが追う。こちらは脇道に入って、逃げていったと思われる地点の後ろ側へ。走りながら弾倉を静音弾に交換、銃口をやや上げて監視カメラを破壊していく。
と、そこで、アサルトギアが地面からせり出てきた。
「ヒナ!」
『今撃つ』
上空を紫色の閃光が翔ぶ、カムパネルラを執拗に狙い続けるレールガンの砲座に突き刺さって、大破はしていないだろうが射撃が止む。
「超級覇王電影だーーん!!」
分厚い装甲を纏ってずんぐりむっくりした機体である、巨大な砲を斜めに背負っているのは見えた。しかし起動する前にフリーとなったカムパネルラが砲撃を叩き込み、そのまま体当たりで相手を転倒させる。密着しきれず腹に何かしらの攻撃を受けとうとう下半身が吹っ飛ぶも、胸部に剣を突き立てた後だった、アサルトギアともつれて散らばる。さらに装填済みの砲弾をぶちまけて、数秒後、カムパネルラは機能停止した。
『見つけた、発電所へ向かってく』
「そのまま追撃だ! 落ち着かせるな!」
ロボット2機の出した轟音を聞きつつ交差点を左折、出会い頭に機銃が撃ってきたのは鈴蘭が逸らし、貫通弾を撃ち込んだ。青い残光が銃座を吹っ飛ばすのを見届けず疾走、追い立てられ間も無く現れるだろうアステルを
もう来た。
「げぼはははははははははははははははは!!!!」
「ひきゃーーーーっ!!!!」