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2222

 廃基地 北西3km

 AGX-1 ランドグリーズ

 フェイ




若干まずくなってきた。


「ウロボロスが後退! ランスロットに合流してく!」


「全弾撃ち尽くせ!!」


 少しずつ熱を蓄積し危険域へ近付きつつあるブースターがまた機体を前上方へ打ち出し、空中にいる内に105mm弾の残りをすべて撃ち込む。ランドグリーズへ背を向け逃走する敵機は僅かな時間だけ爆煙に覆われて、着地、砲を投棄した。空いた右手を肩の上へ、ブースターに付いた鞘が押し出され、握ると同時に展開、刀身を脱出させる。


「大丈夫かい!? 脳波乱れ出してるよ!?」


 大丈夫ではない、頭を締め付けるような痛みが先程から始まった。危険性は認識していたが、ここまで激しく長時間の戦闘は初めてで、どのくらいから脳にダメージがくるかは計りかねていた。思ったより激しい、手早く終わらせたい。


『カムパネルラ、近接戦へ移行』


「あっちの情報支援に回って! こっちはもういい!」


「ウィ!」


 アリソンの機体は電子装備をほぼ積んでいない、敵の軌道予想やら弾道表示無しで格闘は無理がある。クロはそちらのサポートに集中させ、ランドグリーズの情報処理は色々荒くなるがオートモードへ。さらに脳の負担を考えてコントロールスティックを握る手を動かす。

 互いの死角をカバーする位置取りをした敵2機に対し、まずカムパネルラが仕掛けた。ランドグリーズを小さくしたような、ようなというかまんまソレな機体の右肩には76mm砲を背負うためのアームがあり、後端を掴ませれば大きくスイングして砲は背中へ、代わりに左腕の鞘からブレードを抜く。細身の両刃で、こちらと同じく黒色、起動するなり緑色の魔力発光を起こす。空からの強襲にランスロットは自らも剣を抜いて迎え撃つも、ブレード同士が接触するや緑光に浸食されたそれは大きく刃を損傷、引っ込められた。カムパネルラは追撃しようとしたが、ウロボロスに40mmを撃ち込まれ後退。


「オマエの相手は私だ!!」


 その背中にガトリングガンから弾をぶちまける、数発は確実に命中した、しかし致命傷はなく、反撃を受ける前に射撃を止める。ちらりと目線を残弾数へ、2秒連射すればゼロになる数字だ。


「ごめんフェイ! ランスロットにちょっかい出して!」


 ちょうど良い、撃ち尽くしてしまえ。回避機動しつつ、上空へ離脱しようとするカムパネルラをレールガンで撃とうとする白色の目隠ししてるようなバイザーカメラの機体、ランスロットへトリガー引きっぱなしで発砲、中断させ、空回りするだけになったガトリングガンを投棄する。

 続いて空いた左腕をウロボロスに、こちらへ撃ちまくるそいつへワイヤーアンカーを発射した。30mmより遥かに遅いため簡単に避けられるも、ブレードレンジまで肉薄する時間を入手、一気に跳躍する。


「だッ!!」


 素早く小さい一閃はウロボロスの右腕をすっぱり斬り落とした、ライフルごと地面に落ち、相手は後退しようとし、その前にワイヤーアンカーが戻ってきたのですぐさま再発射すればウロボロス胸部に深く突き刺さった。逃げられなくなった相手は右肩の砲を動かし出し、発射直後、突き立てられた高周波ブレードがジェネレーターを破壊する。砲弾はランドグリーズ左の巨大ブースターユニットを掠め、複数あるノズルのいくつかを損傷させたが、機能停止には至らず。


「アリソン! 今!」


 ウロボロス撃破確実、やや安堵して動かなくなった機体から目を離し、そうしたらランドグリーズに斬りかかろうとするランスロットが見えた。


「ッ……」


 しかし無問題、それよりずっと早くカムパネルラが降ってくる。落下任せにブレードを振り下ろし、その時点でランスロットは縦分割されていたが、さらにV字に斬り上げ、3つに分けておく。


『撃破完了』


「ふ…ぅ……敵アサルトギア沈黙、他の残党は撤退した。北西は完全に終結してる」


『よくやった、後は基地内部だけだ。2人のうち余裕がある方は今から送るポイントへ、もう片方はその場を監視』


「ごめんアリソン、行って」


『了解』


「クロ」


「姿勢下げて、ブースター見てくる」


 ティーに報告して、両手をスティックから離し、機体とのリンクを解除、ようやく頭痛とおさらばした。ハッチを開けて、被弾したブースターの状態確認にクロを派遣。


「……シオン、調子は?」


『でぇぇい今忙しいんだ話かけるなぁぁい!!』

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