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 廃基地 指揮所

 第1中隊 指揮小隊

 ティー




 交戦開始から80分経過、

 北西に展開していた敵主力はほぼ壊滅、

 しかし謎のバトルドールが現れファイブナインが交戦中、

 東の戦線は順調に後退している、

 敵に目立った動きは無し。


「臭うな……」


 援軍の用意が無いなら撤退の頃合いだろう、にも関わらず退かないのは勝算があるからに他ならないのだが、新たな敵接近の報告は無い。

 不気味な静けさというやつだ、こういう時ロクな事が起こらないのは古今東西津々浦々において共通である。こちらの作戦を看破した上で裏をかこうという魂胆を感じるというか、このまま待っていたらどんでん返しが起こる確信が。


「配置についてない部隊は?」


「目標誘導を終えたサーティエイトが戻ってきただけです」


 あ、これはまずい、空き巣し放題だ、施設内には今ティーの直接指揮する8名しかいない。


「おポニョさん、予定変更だ、設置済みの爆薬のみでいいから今すぐ起爆可能な状態にしておくれ」


『わかりましたですぅ〜(裏声)』


「うわ気持ちわるっ」


 1個中隊でこの大規模施設を守り切れる訳がないのは最初からわかっていたが、サイクロプス2を仕留めるのに熱を入れすぎたか、それにしたって足元がお留守すぎる。まぁアレは見方によってはバンカーの仇なので最優先する心理が働くのは仕方なかろう。


「手空きの者は簡単にでいいから廊下を見回り」


「はい!」


「東隊、10分以内に車両基地まで引き上げろ。北西隊、追撃中止して出入り口を塞げ。レア中隊ハリアップ!」


 2人がライフルを抱えて飛び出していく、もはや安全ではないかもしれない、そうならティーは孤立してしまっている。それ以外の者も武装を確認、戦う準備をしておく。


「シオンシオンシオンシオン」


『なんだなんだなんだなんだ』


「中に敵がいるかもしれない、通路の安全を確認しながら私んとこ来て、今すぐ」


『お迎えが来ないと帰れないんでちゅかー?』


「上流階級は自力で帰るなんてしないんですのよぉー?」


 ショットガンが余っていた、誰もいらないようなのでこれはティーが使おう。すぐ撃てるようにシェルを装填、フォアエンドを往復させておく。さらに適当なポーチに予備弾を目一杯詰めてベルトを着け、肩にかけられるように。


「中隊長! すぐそこに敵が!」


「はいはいはいはい兆候を見せたお前の負けだーーーーッ!!」


 予想以上に早い使用タイミングである、対して見回りもせず逃げ帰ってきた兵士、開けっ放しのドアからバトルドールがひょっこり現れたので咄嗟に散弾をぶちまけた。頭をまるごと失い、その場に崩れ落ちる。


「全隊に通達! 施設内に敵が侵入している! 背後を警戒しろ!」


 続けて2発を牽制に撃ち込み、通信機に言いつつ腰の鞘からコンバットソードを抜く。壁に貼り付けて音を確認、素早く、床を這うような姿勢で廊下へ。そこにいたもう1体を緑に発光する刃で両断し、右腕と肩だけで保持するショットガンを廊下の奥目がけて発砲、仲間が部屋から出てくる時間を作る。


『サーティエイト、廊下に出ます』


「オーケー」


 まもなく3人が現れたので後を譲った、僅かな制圧射撃ののちフェルトが突撃を行う。撃ったシェルを補充、移動のハンドサインを出した。


「安全な場所ない?」


「1日2日で把握しきれるほど狭くねーですよこの基地」


「訳の分からないとこに陣取りたくないな……北西隊に合流しよう、先行お願い」


「よっしゃ、今来た道を戻……」


 と、


 シオンが振り返った瞬間、ロボットのワンコが曲がり角から飛び出してきた。


「なんだよ!!」


 咄嗟に撃つとギャグアニメみたいに足しゃかしゃかして逃げていく、向こうはこちらが部屋に立てこもると踏んでいたらしい。狙われてるとわかってその場に留まる奴はいない、気付くのがあと数十秒遅ければそうなっていたが、敵の指揮官は経験値不足だ。


「ちくしょう四方八方から足音しやがる……フェルト後方警戒、あんまり急がない程度に急いで行きますよ、角に注意し……」


 で、


 今追い払ったワンコが同じ方向から、4匹飛び出してきた。


「うわぁぁぁぁぁぁ増えたぁぁぁぁぁぁ!!」


「喋らせろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

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