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2040

 廃基地直上

 AGX-1 ランドグリーズ

 フェイ




『サーティエイトからランドグリーズ、目標のマーキングを始めます、5機タグ付けするまでは動かないでください』


「了解」


 現在の戦況、始まったばかりで何とも言えず。

 東側戦線は遅滞戦闘による時間稼ぎに終始しており、ティーの作戦を考えると余計な手出しは無用である。フェイが向かうべきは北西戦線なのだが、こちらも互いに様子見の段階、目立った戦闘はまだ無い。とりあえずの目標はサイクロプス2の排除で、しかし遠距離砲撃では避けられてしまうし、初代と違い単独行動しないあ奴は無理にやろうとするとこの機体でも無傷では済むまい。


『よしまずアイツとアイツと』


『丘の上でイキってるアイツと』


『隠れてそうで全然隠れてないちょっとだけ隠れてるあいつはぁ?』


「急いでねーー」


 そのため、外堀を埋めるところから始める。行動開始に備えてアイドリングを強め、右腕の105mm砲、左腕の30mmガトリングガン共に動作チェックを行う。共に前腕部直付けで、弾倉交換機能は無し、弾が切れたらパージする。

 次にレーダーサイトを見ると撃破すべき敵情報がデータリンクされており、そのうちひとつに照準をセット、105mm砲を持ち上げた。火力の高い相手を主に選定しているようだ、大砲背負ったカメことタラスクが半数以上、グリムリーパーやゴライアス等はわざわざ人型ロボットなんかに頼らずとも倒せるのであまりマーキングされていない。


『識別完了、お願いします』


「ん、ランドグリーズ交戦開始」


『全隊! 女神が動くぞ! 進路の邪魔はするな!』


 まずその場で1発、榴弾の曲射砲撃を行う。コクピット内にそれなりの振動が伝わり、モニター前面が煙に覆われた。弾着を待たずブースターを噴射、次の敵を狙える位置まで移動する。捉えたらまた射撃、移動、また射撃。


「終わり」


『オーケー、歩兵部隊の行動を露骨に邪魔してた奴はいなくなった。次目標の情報を集めます、その間、南西に向かおうとしてる敵集団にちょっかいかけといてください』


 発砲からだいぶ遅れて着弾音が耳に届く、レーダーサイトを見れば敵反応は撃破済となり、電子支援担当部隊によって間もなく消された。

 使用武装を変更、105mmをスタンバイ状態へ、30mmをアクティブに。横移動に使っていたブースターの角度を変え、脚部の跳躍動作と合わせて上昇、森の外へ全身を晒す。"カムパネルラ"と違い飛行できない機体をできるだけ高度維持しつつ突出する敵部隊を認識、照準、焼夷徹甲弾をぶちまけた。毎分3900発、秒間にして65発の射撃である、主力戦車の正面装甲を貫くにはちと役不足だが、上面装甲や背面装甲、それ以外の軽装甲車、中型AI兵器には十分で、バトルドールや人間に対しては明らかな威力過多。12.7mmで真っ二つになれるのだ、30mmなんかが直撃したら、もう。

 2秒も撃ち続ければ先鋒は壊滅する、地面ごと耕された。ロケット弾が2発ばかし反撃に飛んでくるも命中には程遠く、まだ空中にいる間にやや後退、森に戻って、息を潜める。


「っと…?」


 至近距離に砲撃が来た、それも大量に。当たりはしなかったものの、10門以上の砲で効力射しないとこうはならないというレベルの数に恐怖を覚え、歩行移動でその場を離れる。


『フェイ、今の砲撃は真北10km、ヘカトンケイルと思われます。直ちに向かってください、薙ぎ撃ちを受ける前に』


「あのAT-ATみたいなやつね」


『ストレートに言いやがったな……』


 ヘカトンケイルは過去2度、ダムの時とバンカーの時に現れ、いずれも120mm4砲身ガトリング砲2基をもって戦場を大混乱させた機体だ。言われてレーダーを確認するも山の向こうに隠れているようで映っておらず、代わりに推定位置がマークされた。

 ではまず捕捉から始めよう、また違う武装を起動する。肩から生やした大型ブースター2基のうち右にはロングブレードが最初から着いていたが、左は空いていたので、「こっちにもなんかつけちゃえ」と装備されたのが偵察ドローン、5機一気に分離し、ランドグリーズと同じく思考操作で高度を上げさせる。

 すぐに大型の反応がレーダーに現れた、移動される前に105mmを選択、残弾すべてによる連続射撃を行う。撃ち終え、砲身をパージした頃に着弾音が聞こえてきて、次に大爆発、ヘカトンケイルがレーダーから消える。


「倒した」


『では急を要する標的はもうありません、歩兵部隊の位置取りを少し変えて、その後サイクロプス2を狙います、それまで待機を』


「私がやっていいの?」


『いえ』


 もう大丈夫らしい、更なる反撃に備えて移動しつつシオンに問い、


『どうしても自分でやりたいって奴が』


 そんな言葉を返された。

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