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鈴蘭が真顔で発砲するレベル

「メルをサーバールームってところまで連れていけばいいんですよね? そんなのすぐ終わりますよ! 手早く終わらせちゃいま……」


 と、いつもの感じで言う鈴蘭の背後で、たった今通ってきた扉がガチャリと音を出し開かなくなった。


『うっひょーーなんだよいるじゃないいるじゃないコートちゃん来ないのか残念って思ってたけど十分補ってるよキミィ! ハイテンション系? 無知な感じ? いや違うかな違うよね年中はしゃぎ回ってるスケベのスの字も知らなそうな子が夜になったら発情トロ顔で彼氏にまたがってスケベしてるの非常におシおっとこれ以上は流石にまずいと思う僕ちんですげへへへへへへへへ!』


 直後のこの洗礼にさしもの彼女も表情が固着、薄ら笑いを浮かべたまま見る見る顔を青くしていく。その間にメルは100Vのコンセントを見つけて電波中継器を設置、ここより遠い場所と車両基地との通信速度を確保しておく。

 大量のドローンが安置された部屋だった、キャタピラ式や多脚式、クアッドコプターなど整然と並んでいる。


『それよりキミもしかしてケモミミ似合う? 似合うよね? ネコかなイヌかな、うんイヌだねいやキツネだね! 狐耳用意しとくよついでに尻尾もウフフ尻尾お尻につけるアタッチメン』


 無言のまま彼女の装備するショットガンが持ち上がった、セイフティ解除とほぼ同時にフォアエンドがガシャコン鳴り、ホログラフィックサイトの照準は天井中央に貼り付いた魚眼カメラ。ライフルと比べ何となくやかましい発砲音が鳴るやカメラは吹き飛んで、次弾装填すればカランカランとプラスチックのシェルが床を叩く。すぐさま銃口の先をスピーカーへ移動、照準もそこそこにまた発砲。


『…………うーん残念だったなぁー前回それやられたから予備の隠しカメラと隠しスピーカーつけちゃったんだぁー! さぁ安心して僕のド下ネタで顔を歪ませるんだあとできれば早めに観念して捕まるんだ』


「あんなのほっといて帰りましょうよぉぉぉぉ……!」


 折れた、早かった、20秒はもっていない。


「この短時間で鈴蘭をノックアウトするとはさすがポニョ」


『ぽ、ポニョ!? 僕のコードネームポニョになったの!? いくらなんでも魚じゃないし魔法も使えないよ、もちろんポがパになったとしても僕はヤバいと思わないし性欲を抑えたりもしないよ』


 ほら地下トンネルを経由すれば山の反対側まで戻れるらしいし牛を解体するより早いって、と、崩れ落ち大泣きする鈴蘭を慰めフェルトに借りたゴーグルを持たせ、配電盤の前まで連れていく。それ以外の事前準備は重アサルトライフルにフラッシュライトを着けたくらいだ、他の面々も待機させている。


「どうすればいいんです……?」


「ポニョが防壁を張りよったので、今からこの部屋のセキュリティを主電源ごと落とします。予備電源に切り替わって再起動する瞬間にティオが仕掛けるから、私らはその間、耐える」


 蓋を開けて、1本のケーブルを探し出す。絶縁性のグローブをはめた手でニッパーを握り、ためらいなく切断。


『うんうんやっぱそうくるよね阻止するんだ僕のドローンた』


 スピーカーからの音声がブツリと途絶え、同時にすべての照明が落ちる。しかし真っ暗闇となった室内は静寂には包まれず、ドローン群のうち1機が急に稼動を開始、応じて鈴蘭がゴーグルを目に当てた。メルもニッパーを置き捨てフラッシュライトを点灯、ドローンを照らす。

 UGVというタイプの遠隔操作ロボットだ、レーシングカートよりひと回り小さいキャタピラ車台に任意の装備を搭載できる。現在の装備はテーザー銃、なんかわかりにくい名前だが要はワイヤーに繋げた電極を発射できるスタンガンで、殺傷能力は無い、ただし一撃貰えば十数分は動きを制限される。


「はい壊して壊して!」


 ショットガン一発、やはり当然のように、すべての散弾が青い残光を引いて急加速しUGVを貫いた。爆発などはなく沈黙、すぐにまた別のドローンが動き始めたので同じく後を追わせる。ドローンといっても要はラジコンだ、コントローラーが1人しかいないので1機ずつしか動かせない。


「姐さん、今のうちに監視カメラ壊して回って、たぶん反応されないから」


『へぇーい』


 鈴蘭がリロードに入ったので代わりにメルが射撃を開始、通常弾で武装だけを破壊していく。ジャキンとコッキング音を聞いてから退きまた交代、それを繰り返して電源復旧を待つ。


『来た、アクセスする』


 1分は要していない、ティオがハッキングを始める。セキュリティシステムが立ち上がる前に権限を乗っ取って、その後、仕事しようとするセキュリティを強制排除。

 照明がパチパチと点滅し、その後完全に点灯した。数秒遅れですべての扉が開放されたので、急ぎ退避、最後にショットシェル2発撃ち込んでから扉を閉める。


「すっごい疲れるんですけど……」


 そうだろうな、連れてくればそっちに攻撃が集中する確信があったから連れてきたのだから。


「どう?」


『その付近は押さえたけど、攻め込む前に切り離された。あと本丸に攻撃かけてる姉様が精神的な反撃を受け始めた、殺したい(直球)』


 なるほど、ポニョはアトラに気を取られているか。しかし彼女らとてあのセクハラ攻撃は耐えがたいらしい、耳を向けてみると『いい加減に口閉じないと去勢するぞ!!』『オフフもっと罵ってくだちぃーー!!』『あ゛ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』とか聞こえてきた。

 女性はアレから逃れられないようだ、たぶん胸のサイズが大きい方が受けやすいようだが、状況次第ではメルとかフェルトも喰らうはず。


 となれば


「ユウヤに通信機渡しといて」

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