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その1:どうしてこうなった

はじめての投稿です。よろしくおねがいいたします。

なぜか生まれた時から人の好意を友達にまであげることが出来る能力を持っていた主人公、小橋公也。幼馴染にボーイフレンドが出来たと聞いて無理に友達のレベルからガールフレンドにしようと奮闘。成功した瞬間、迷宮の中にいることに気がついた。この物語は、迷宮からどうやって抜け出したものやら悩む主人公の奮闘物語と、残念なことにこの能力でどんどん自称彼女を増やしてしまって悩むドタバタを描く。






迷宮を抜けるまで


その1〜迷宮へ


「困ったもんだ」


と小橋公也は、今日何度目かのため息をついた。自宅でのベッドの上で悶々とする小橋。思うのは、近所の幼馴染の巴のことだ。


小橋と巴は、幼稚園、小学校、中学校とずっと一緒。いわゆる腐れ縁に近い関係だ。しかし、小橋にとって、巴の存在は、年々大きくなってきた。


巴に対する想いは、もちろん一方通行だ。巴にとって小橋はただの親しい友人の一人にすぎない。まあ、多分、ベストフレンドの範疇には入っているはずだ、というかそう思いたい。

 


「困ったもんだ…..。」


小橋は呻く。高校2年になって、二人の関係に大きな変化が生じようとしていたからだ。それは、巴の部活のバレーに関係していた。男バレの部長が、(これがまた、高身長、好成績、好青年、生徒会副会長とハイスペックな人物ときているのだが)巴に告白したというのだ。それを巴から相談された時、小橋は目の前がまっくらになった。


小橋には、秘密がある。小橋は、他人の心の好意のパラメター(ゲーム的に言えばだが)に干渉する力があるのだ。ただ、小橋は、この能力を、危険を回避するだけにしか使ってこなかった。というのも、小橋は、身長も低く、力も弱い。成績だって褒められたものじゃない。巴と同じ高校に来れただけで奇跡に近い。もう大学は、巴の入るであろう国立大学の近くの私大に入れればと最近では思っていたのだが…..。


「困ったもんだ…..。」


小橋は低く呻いた。そして思った。


『こうなったら、イチかバチか、無理を承知でパラメターを恋人まであげるしかないかもしれない』


と…..。しかし、そんなことを小橋はやってみたことがないのだ。巴が近くにいたから恋人が欲しいと考えたこともなかったし、それだけではなく、彼女には、自分のことをこの変な能力ではなく、本当に好きになって欲しいと思っていたからだ。


だが、友達のレベルと恋人のレベルには、大きな差があるということも、使ったことはない能力ではあったが、小橋にはわかっていた。今まで、親友の域にパラメターをあげようとしただけでも、1週間熱が出て寝込んでしまったのだ。それをやったのは、中学の時の内申書をかいてくれるはずの担任に対してであったが、親友のレベルにしようがしまいが、内申書は、変わらなかったと後で知って泣いたのはここだけの話だ。だいたい、小橋には、全国大会に出られるだけの変な特技があって、それで、高校には、とってもらえることが決まっていたらしい。それを早く知りたかったと、1週間寝込んで思ったのだ。


さてさて、親友のレベル近くまであげるだけで1週間寝込んだのだ。それを恋人のレベルにあげるなんて、どれだけの代償を必要とするのだろうか。小橋は身震いした。だが、やるしかない。このまま、巴を失うぐらいであったら、1カ月や2カ月寝込むことなどどうでもいいと考えられるのだ。


幸運なことに、明日は土曜日。部活も休みときている。そして、宿題を教えてもらうという理由をつけて、明日は、巴の家に乗り込むことになっているのだ。もうあれこれ考えても仕方がない。すでに賽は投げられたのだ。


翌日、緊張しながら、巴の家に向かった。巴の家は、小橋の古臭い大きな家と違って、平均的な一戸建てだ。もちろん、十分大きいが、小橋の江戸時代から残っているような大きな家とは比べものにならない。


家には、誰もいないはずだったが、巴の妹の美帆がいた。こいつが、いつもじゃれてきて、実はうざい。これが巴だったらといつも思うのだが仕方ない。


「あ、きみのん。昨日、調理実習でクッキー作ったんだけど、よかったら….」


いらぬ。そんなもの。とはいえ、そんなこと言ったら巴に嫌われるので、


「あ、美帆ちゃん、お邪魔するね。おいしそうだなあ。巴と一緒に食べさせてもらうよ」


と作り笑いを浮かべた。すると、


「えー。お兄ちゃんに食べてもらいたくて作ったのに〜」


とうるさい。しらぬ。お前のようなチビに(まあ、自分も身長ではさほど変わらないのは内緒だが)構うぐらいだったら腹を切った方がマシだわ。


近寄るなチビ!という思いを押し殺して、クッキーなるものを受け取った。


「巴、いるかなぁ〜」


すると、二階から


「あ、公也、早いねえ。上がってきて」


という天使の声が聞こえた。その声に魅せられて、ふらふらと二階へとあがった。


後手にドアを閉めて一応鍵をかけた。チビに邪魔されたくないからだ。


「公也、鍵なんてかけて、かわいそうでしょ、あの子、せっかくの両親とのお出かけ断って、公也に会おうとしたのに….」


チビのことなぞ、しらぬ。しかし、だからか、あのチビがいたのは。今日は、両親もチビもお出かけときいていたのだが。さあ、恋人レベルあげ、タ〜イム、カモーン。


「きみのん、きみのん、おにいちゃ〜ん」とドアを叩く音がするような気がするが、まあ、いいでしょ。無視、無視。巴は呆れてこっちを見ている。さあ、集中集中。


そして、レベルが上がった音がして、小橋の視界は闇に包まれた。

う〜ん。出だしまでしかいけませんでした。

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