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序章
序章
夜、夜空には赤く色づいた月が浮かぶ。
眼前の大きな城は、月に照らされ不気味に輝く。
その城からは、陽気で陰気な歌が聞こえる。
「月に酔いし我が主」
その歌声にいざなわれるかのように、私の足はその城へとむけられる。
「たった一人の女を望む」
言うことを聞かない足は、まるで決められてでもいるように通路を進む。
目の端端に見える大きな部屋でも、左右の曲った突き当りの部屋でもなく。
階段の、さらに上の上の部屋へと・・・
「女の中に流れる血は、極上甘美で酔いしれる」
足は、とある一室の前で止まった。
階段を上りきった先―――最上階―――にある部屋、「王室」。
その扉を開くと、必ずいるあの人・・・
「女に溺れし我が主」
あの人は、近づき手を伸ばす。
捕まえるために。
扉の前に立ち尽くす者を、わが物とするために。
「女の名は―――」
あの人は、決まって私の名を唄う。
あの不思議な歌とともに―――
「<月血世>」
ああ、私の―――




