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人外との交流3 ビッグスパイダーとノーム

【人外との交流3 ビッグスパイダー】


『私、森の奥に行きたいといったけど、こんな破天荒なことになるとは思わなかったわ』


『うん。驚いた』


『確かに驚いたけど、私、興奮してるわ。だって、伝説のドラゴンよ!』


『カトリーヌよ。まだ続くぞ』


『え?まだ続きがあるわけ?』


『うむ。次はドラゴンほどではないがの。それでも、かなり珍しい魔獣だぞ』



 僕たちは再びアンガスにしがみついて、

 どこぞやへと連れて行かれた。

 カトリーヌは2回めだけあって、

 なんとか失神する羽目からは逃れたようだ。


『おーい、我が来たぞ!』


『(おやまあ。久しぶり。といっても、半年ぶりぐらいかしら)』


 これは念話だ。

 どこから話を飛ばしているんだろう。


『前はちょっと迷惑かけたからな。お土産をもってきたぞ』


『(迷惑?あなたのところの黒狼ちゃんが糸に絡まった件かしら。気を使うことないのに)』


『いやいや、そうもいかん。おい、頼むぞ』


 僕は若干解せないのだが、

 アンガスの言う通り、ケーキセットを進呈した。


 すると、上空から木を伝わって、

 体長3Mはありそうな大きな黒蜘蛛が降りてきた。


『ひょっとして、ビッグ・スパイダー?』


 ロベルトが驚く。


『人はそう呼んでおるそうだな。我は普通に蜘蛛と呼んでおるが』


『人間のみなさん、こんにちは』


『は、はじめまして』


 ロベルトが言うには、ビッグスパイダーは

 伝説的な魔獣だ。

 出会ったら最後、二度と生きては戻れないという。


『そんなことないわよ。そんな恐ろしいことしないわ、私』


『とにかく、お土産をお納め下さい』


『良いって言ったのに……それにしても、綺麗な包みなのね……あら、包みを開けてみればなんて可愛らしいものが!』


『ケーキというお菓子のセットだ』


『ケーキ?ああ、聞いたことあるわ。でもこんな綺麗なものだなんて初めて聞いた』


『それは特別製だ。さあ、一つ』


『たべるのが勿体ないくらいなんだけど……まあ、なんて美味しいの!』


『さっき、ドラゴンにも与えてやったわ。あれも感激しておったぞ』


『ドラゴンさん?眠りから覚めたのかしら』


『50年ぶりに起きたとか言ってたぞ』


『はー、私もあとで挨拶に行かなくちゃ。でも、このお菓子、すっごく美味しいのね。2つ目食べてもいいかしら』


『お土産なんだから、自由に食べていいぞ。もっと欲しければ言ってくれ』


『欲しければ、って、そこの人間さんに作らせているんでしょ。本当に貴方って自分勝手なんだから。ねえ、人間さん、この狼で困ったことがあったら、私に言うのよ』


『戯け者。我は自分勝手などではないぞ』


『まあ、ほっときましょ。でも、こんな美味しいもの頂いたんだから、お返しが必要だわ。ねえ、なにか欲しい物ある?』


『いいえ、ケーキを喜んで頂ければそれで満足です』


『そんなわけにはいかないわ。貴方、私たちの蜘蛛の糸、結構人間さんたちに評判がいいって聞くわ。どう?』


『お坊ちゃま、ビッグ・スパイダーの糸って、名品中の名品ですよ』


『坊っちゃん、地上最強の糸という評判です。しかも、光沢があって非常に美しい糸です』


『じゃあ、お言葉に甘えて少しだけ頂きましょうか』


『少しじゃなくて、たくさんあげるわよ』


 ビッグ・スパイダーは大量の糸を吐き、

 僕に渡してくれた。


 あとで強度テストを行ったのだが、

 ロベルトの剣も、

 僕の火魔法もはね返してしまった。



『ああ、蜘蛛よ。我にはこの人間たちから与えられた名前がある。アンガスだ』


『名付けしたの?相当気に入られたのね。いいわ。私も名前つけてもらお』


『というわけだ。名前、つけてやれ』


『うーん……アレクサンドラとか?』


『まあ、人間の5千年ほど前の女帝ね。いいわ。でも長いから普段はアレクにしようかしら』


『僕たちも自己紹介しますね』


 などと懇談を深めていると、

 小人が現れた。



『なんだか、いい匂いがするな。オイラも混ぜてくれんか』


『あら、ノームさん。鉱山に潜ってたんじゃないの?』


『ああ。ちょっと休憩中でな』


『ノームって、大地の精霊の?』


『そうだよ。大地っていうか、日がな鉱山を探し回ってるんだけどね……それはいいんだけど、オイラにも一つおくれよ』


『ああ、悪かったの。おい』


『ノームさん、これ僕たちが作ったケーキです』


『ほお、すっごい綺麗なんだね。ありがと……うおっ、なんて美味しいの!』


『まだまあありますから、遠慮なく』


『うん……もぐもぐ……驚いた!なんて美味しんだろう。久しぶりに鉱石以外でびっくりさせられたよ。お礼になるかどうかわかんないけど、オイラが掘ってきた石あげるよ』


 ノームはそういうと、

 すぐに小さな宝石をいくつかもってきた。


 小さいと言っても、指の第1関節程度の大きさだ。

 いずれも数十カラット以上はあるんじゃないか。


『えっ。もしかしてダイヤモンドの原石?』


『そうだよ。この程度の大きさなら、いくらでもあるから』


 目の前に積まれる宝石の山。

 前世だったら、いったいいくらになるんだろう。

 最低でも億単位だよね。


 僕はこのときピンとくるものがあった。


『ノームさん。この宝石、もっとキレイにしましょうか?』


『カットするの?』


『ええ。でも、多分、見たことがないぐらい綺麗にカットできると思います』


 僕はこの世界の宝石をいくつか見たことがある。

 単純なカットしか施されていない。


 僕は宝石のカットを知っているわけではないが、

 ダイヤモンドは前世の知識で基本的な形を知っているし、

 カット方法は極力入力された光を外に反射すること。

 つまり、数学的アプローチでいけるはずだ。


『へえ、そりゃ楽しみ』


『一ヶ月ほど時間をいただけますか』


『ああ、いつでもいいよ。できたら、蜘蛛さんに伝えて』


『ノームや、私にはアレクサンドリア・アレクという名をつけてもらいましたよ』


『え、名付けしたの?蜘蛛さんの?すっごいな-。じゃあ、僕も名前つけてもらおうか』


『えー、じゃあ、パラケルってのはどうですか』


『ああ、なんだかその名前は僕に馴染むね。いいよ、気に入ったよ!』



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

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