人外との交流1 ドラゴン
【人外との交流】15歳
『ねえ、私も森に連れてってよ』
『カトリーヌ、いつも行ってるじゃん』
『森の浅いとこじゃなくて!もっと奥の方までいきたいの!』
カトリーヌはこないだのチョコレート探しで自信がついたようで、盛んにアピールしてくる。
僕たちも悪いけど。
僕・エレーヌ・ロベルトの間では日常的に
森の奥の話題が出てくる。
温泉、酒醸造所、シーナ(砂糖)の木、
ルオハン(砂糖)の木、魔牛、魔猪などだ。
森の奥の話題に関しては、王国随一だろう。
A級冒険者でも、なかなかこういうふうにはならない。
移転魔法陣が設置されてあるとこは連れてってるよ。
温泉なんて、週1のペースで行ってたりする。
だからといって、いいとこのお嬢さんを
ほいほい危険地帯に連れていく訳にはいかない。
『我を行動をともにしていれば、魔獣など寄って来ぬぞ』
おお。アンガスは最近しっかりとカトリーヌ寄りだ。
カトリーヌにはチョコレートケーキを始めとするスィーツで
篭絡させられているからな。
初めてカトリーヌがアンガスを見た時に恐怖で○した、
なんていうのは僕だけの秘密だ。
その時と比べると、アンガスのもふもふの体毛にくるまれて
お昼寝してるからな、カトリーヌ。
それに、僕の料理強化効果で
カトリーヌのステータスが飛躍的に増加している。
朝のランニングも元E組のトップを走るようになってきた。
オリンピックはムリでも、国体には出られる、
そんなレベルだ。
『大丈夫じゃないですかね』
おお、ロベルトのお墨付きも出た。
そんなわけで、カトリーヌを連れて森の探検に出かけることにした。
『我が面白いところを案内してやろう』
アンガスが妙に張り切っている。
『いろいろ訪問するから、手土産を忘れるなよ』
どこへ連れて行くつもりなのか。
訪問?
相手は人間じゃないよな。
なんだか嫌な予感がするんだが。
まあ、僕のマジックバッグには食料やスィーツが
数ヶ月分詰め込まれている。
『じゃあ、行きますか』
『やったー』
◇
行くといっても、
アンガスの背中にしがみついているだけだった。
アンガスは飛ぶように走る。
しかも、上下動が少ない。
ここ大事。
アニメとかでロボットとかが走り回る動画がある。
あれ、乗ってる人間は大変だ。
頭が揺れると視点が定まりにくい。
あっという間に乗り物酔いになる。
下手すると、上下動の衝撃で体がバラバラになる。
動物でも、同じことだ。
チーターが全力疾走していても、
頭は極力動かさないようにしている。
他の動物でも同じだと思う。
だから、僕たちはアンガスのなるべく上下運動しない
首のあたりに固まって乗車する。
乗っているだけではない。
ずっとしがみついているのだ。
アンガスが真剣に走ると、推定時速200kmは出る。
もっと出ているかもしれない。
それも森の中でその速度だ。
右行ったり左行ったり、ジャンプしたり、
大忙しになる。
前世のジェットコースターなんて目じゃないぞ。
普通の人間ならば、1分持ちこたえれば大したもんだ。
大抵は、すぐに振り落とされる。
激しいGですぐに気絶する。
正気だとしても、めくるめく姿勢変化で
激しい乗り物酔いを起こす。
今回もカトリーヌは半分気絶した。
おも○しはまぬがれたようだが。
◇
『はっ、ここどこ?』
永遠にも思われたアンガス道中のはて、
ようやく目的地と思われる場所についた。
立派な古城だ。
そこで冷気をあててカトリーヌの目を覚ます。
『ここは我の友人の住まいである。おーい、いるかー。我だ。遊びに来てやったぞー』
アンガスが大声を出すと、
古城に至る正門の扉が開いた。
この正門。
どでかい。
高さは推定20mはあるだろうか。
幅もその位ある。
そんなどでかい扉がギギギと音をたてて開いていく。
すると、目の前にはやはりどでかい古城が。
いや、古城というよりも要塞とか砦といったほうが近いか。
無骨で巨大な城が鎮座している。
高さはどうだろう。少なく見ても30mはある。
50mぐらいかもしれない。
とにかく、近くで見ると首が痛くなるような高さだ。
幅となると、数百mはありそうだ。
お上りさん状態でいると、
どこからともなく声が聞こえてきた。
『久しぶりじゃの、黒狼の王よ』
アンガスは黒狼の王だと?
『おお。百年ぶりぐらいか。ちなみに、我にはアンガスという名前がついておる』
『ほう。そちに名付けを行ったものがおるのか?』
『ああ。美味い料理を食わしてくれる。だから、お前にも分けてやろうかと思ってな』
『そうか。それはありがたいことじゃの。ささ、中に入れ』
正面玄関とおぼしき扉がこれまたギギギと音を立てて
ゆっくりと開いていく。
中は真っ暗であったが、次々と明かりが灯っていく。
明かりの灯る方向に歩いていくと、
またもや、巨大な扉が僕たちの行方を遮った。
なんなく、扉も開いていく。
僕たちが中に入ると、
そこには金銀宝石に囲まれた巨大な何かが。
ドラゴンだ!
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