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チョコレート戦争2

【チョコレート戦争2】


『坊っちゃん。来ましたな』


『うん。数は200ぐらいかな?』


『ですな』


 ロベルトの探査魔法は半径200~300m程度の敵を

 察知することができる。

 村から飛び出した兵士が応援を連れてきたのだ。

 


『ふははは、そこな若いの。何しに来たのかわからんが、ここで死んでもらうぞ!』


 ああ、わかりやすい格好をしたのが一人いる。

 あれが親分だな。


 僕は軽度のトルネードを発動した。

 暴風を起こす上級竜巻風魔法だ。


『うわわ、なんだ、竜巻がー!』


 すでに敵の隊列は崩れに崩れ、

 アタフタと竜巻から逃げ回っている。


 僕はダッシュで敵の親分に近づくと、ソリッドエアで捕縛。

 

『おい、おまえら動くんじゃないよ』


 剣を親分の首にあて、敵を威嚇する。

 ところが、バカが矢を放ってきた。

 もちろん、矢程度など僕の防御に通用はしない。


『!』


 矢が弾かれるのを見て、驚愕する兵士たち。


『アースクェイク!』


『うわわ、地面が!この世の終わりだ!』


 やはり、地震魔法は非常に有効だ。

 特に地震に免疫のない人には。


 そのスキに僕は飛行魔法を発動した。

 古代魔法の一つだ。


 空中高く浮かびあがると、


『おい、見ろ。奴が浮かび上がっているぞ!うわっ眩しい!』


 僕は強烈な光を発した。

 太陽よりも眩しく。

 そして、


『フレア・フレイム!』


 上級火魔法を威力最大級にして、

 上空に発射した。


『ズガーン!!!』


 巨大な火灸が上空に上ったと思うと、

 上空を覆うような大きさで爆発。

 突然の爆音、そして爆風で奴らは吹き飛ばされる。


 地面になぎ倒された敵たちは、おずおずと顔を上げた。

 そして、


『ははー!』


『神の降臨だ!』


 ああ。上手く行った。

 これ、狙ってたんだよね。

 臭い芝居でも、魔法になれていない人たちには

 強烈に映るだろうって。

 

 ◇


『いいかい、カカオの実を独占しようなどと考えないこと』


『ははー』


『独占すると僕たちも怒るけど、コイツラもだまっちゃいないからね』


 黒狼たちが地面から顔を出す。

 お怒りモードの顔だ。


『ははー!』


 あとは、簡単だった。

 2つの森が共同でカカオの実を生産・収穫すること。

 ということで、話が丸く収まった。


 ◇


 さて、騒ぎも一段落すんだのだが、

 お冠なのはカトリーヌだ。


『何よ、私達のことはほったらかしにして。地震はおきるわ、大爆発はおきるわ、どうなってるのよ!』


『ああ、ごめんごめん。流れでね』


『チョコレートは確保できたんでしょうね』


『うん。もっともらえるようになるみたいだよ』


『そんな甘いこといってないで。独占契約結びなさいよ』


『いや、そんなことしたら他にカカオの実を欲しい人が困るでしょ?』


『あのね、カカオの実を開発したのは貴方。私達しかチョコレートを上手に作れない。そうでしょ?』


『うん。まあ、そうだね。他ではムリだろうね』


『だから、カカオの実は独占すればいいじゃない。欲しい人には私達を通じてねってことにして』


『うーん。そうだよね』


『カカオを増産するんでしょ?』


『その見込』


『じゃあ、決まり』


 ということで、僕たちは村とカカオの独占販売を

 結ぶことになった。


 もっとも、僕は住民たちに色々な工夫を授けるつもりだ。

 例えば、カカオの実の乾燥魔道具。

 貯蔵するためのマジックバッグ。

 魔石肥料。


 魔石肥料はカカオの木にも有効だった。

 既存のカカオの木の根元に撒くだけで、

 カカオの実の収穫が倍以上になったのだ。


 カカオの実は村の周囲にしか生えていない。

 案外、生育条件が厳しいようだ。

 新たなカカオの木の栽培にチャレンジするとのこと。

 収穫まで数年はかかるとのことなので、若干根気がいる。


 ただ、今の10倍以上の収穫量を目指したい。

 そうすれば、村の生活もずっと豊かになるだろうし、

 僕たちももっとチョコレートを製造できる。


 ◇


 あとは、この村に転移魔法陣を設置して

 帰るだけだったが、

 歓迎会でのこの村の音楽が強烈だった。


 前世のケチャのようなポリリズムの打楽器オーケストラだ。

 各家庭ごとに独特のチューニングがあるそうで、

 全体の合奏となると、幽玄の世界に突入する。


 南の島の市場での手拍子ダンサーズにも驚かされたが、

 このケチャの親戚のような音楽にも驚かされた。

 非常に音楽文化が発達している。


 これはそのうち、王国にも紹介する必要があるな。



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

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