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僕たちの会話・商人の会話

【僕たちの会話・商人の会話】


『お坊ちゃま、A村の成功例を聞いて、どんどん引き合いが増えていますね』


『急に増えた感じだよね。A村は大成功だったからなあ』


『適度に潤っている村よりも、崖っぷちの村のほうが話が早くていい、という坊っちゃんの見込み、当たりましたね』


『うん。彼らは後ろがないし、自分たちのやり方に拘泥する余裕なんてないと思ったからだよ。独りよがりなアレンジャーには困るからね』


『B村のことですね。下手に自分たちに自信があるのか、なかなか言うことを聞いてくれませんでした』


『もう捨てようか、と思ってたぐらいだからね。まあ、A組の成功例を見て、心を入れ替えたのかな。急に聞き分けが良くなったよね』


『B村もようやく黒字に乗ってきたところですか』


『うん。ようやく。一時は詐欺師、ぐらいな言われ方をしたもの。正直、まだあの村にはいい思いがないよ』


『お坊ちゃまは堪え性がないですからね』


『ああ、わかっちゃいるんだけど』



 A村に対しては、

 ・農地耕作パック

 ・小麦生産パック

 ・畜産パック

 を販売した。

 継続的に魔石肥料・魔石飼料を販売する。


 マジックバッグ・転移魔法陣の使用権も与えている。


 それに対して、B村は、

 ・農地耕作パック

 ・小麦生産パック

 のみの販売だ。

 継続的に魔石肥料を販売する。


 マジックバッグと転移魔法陣の使用権は与えていない。

 どうも印象が悪いせいか、村に信用を置けない。

 少し距離をおいた付き合いにしている。

 無理して成功例を作る必要はないからね。

 

 そもそも、僕に商売っ気がない。

 商品に絶対的な自信があるし、

 購入してくれた人に真摯に対応するのを心がけるだけだ。


 とはいうものの、B村のような例だと、

 真摯な対応にも限度がある。

 どうしても、感情が出てしまうのだ。


 まあ、子供と言われるのは承知の上。

 実際、この世界では子供だし、

 前世の僕も社会人経験なんてあんまりあるとはいえない、

 基本ヒッキーだったしな。


 こうして、100%の成功とは言えないながらも、

 限界集落間近のような寒村を次々と立て直していった。

 こうして、続々と学園都市の周辺を押さえていった。



 他方、売上がどんどん目減りしていく大商会やギルド。

 その原因は量産されつつある僕関係の村産品だ。


 村の産品は第一に学院に治めることになっているのだけど、

 余剰分は自由に販売して構わない。


 すると、ギルドを無視して個人商人が村との販売ルートを確保。

 街で売り始めたり、店に卸したりし始めた。


 何しろ、ギルドの扱う食材とでは質に極端な差がある。

 一度村の食材を経験した人たちは、

 もうギルドに戻ろうなどとは考えない。


 大商会ではギルドの存在を無視できない。

 だから、村の産品に手を出せない。



 もっとも、商人の甘い言葉につられて、

 高い値段で売ろうとしている村もでてきた。

 僕のほうに売らずにね。


 そういう村は即座に様々な機具を引き上げた。

 契約してるのに、よく違反できるもんだ。

 土下座されても、もう信用は戻らない。

 泣こうが喚こうが、取引は終了。

 森の奥に捨てられないだけマシだと思って欲しい。



【とある学園都市の大商会の会話】


『農業パックの話、聞いたか』


『ああ。凄い成果を上げ続けているらしいな』


『どうして、俺たち大商会はハブにされるんだ?』


『アニエス教授の狙いは、街の商売は雁字搦めになっている。だから、風穴をあけたいとのことだと』


『ギルドは酷すぎるよ。レストラン開くのに、25の職能ギルドに挨拶しなくちゃいけない』


『だよな。職能ギルドはやりすぎだよ。力もないくせに』


『じゃあ、なんだ。職能ギルドのトバッチリが俺たち商人にまで及んでいるってか?』


『うーん。マジレスするとな、職能ギルドができた経緯がな』


『ああ。商人ギルドが街の政治を牛耳っちまったもんだから、職人どもの不満が職能ギルド設立にむかったわけだ』


『俺たちがどれだけ苦労して学園都市をもり立ててきたと思ってるんだ』


『魔物や山賊に怯えながらの行商でやっとこさ金を貯めて、それで城や領主に金を貸して、少しずつ自由を勝ち取って。苦労の連続だぜ。

それに比べて職能ギルドなんざ、俺たちの庇護の元、ぬくぬくと街ん中で包丁やハンマーふりまわしてるだけじゃねえか』


『そうだ。納得いかねえよ。だが、問題は教授というよりも、あの小僧だな』


『聞くところによると、ずいぶんと冷酷な真似もするそうじゃねえか。悪い評判も聞くぞ』


『ルーク商会の潰れた理由もチラホラ巷に流れてるぜ。噂レベルだけどな』


『スネーク・スレイヤー様が裏で暗躍したって話だろ。あんなガキにできると思うか?』


『いや、俺もただの噂だとは思うけどよ。でも、どうすんだよ。腐っても王家の5男だぞ』


『蛇の道は蛇よ。例の団体をこっそりやらせよう』


『冒険者崩れ、傭兵崩れの奴らか。大丈夫か?』


『今までバレたことはねえーだろ?』


『バレそうになったら、拳で解決してるからな。血なまぐさい連中だぞ』


『金はかかるが、俺たちをなめたらどうなるか、見せてやろうぜ』


『大丈夫か?スネーク・スレーヤ様だぞ』


『あんなもの、尾ひれ羽ひれがついたにきまってるだろ。イエロー・ボア3頭を瞬殺だなんて、ありえるか?軍隊総出でもどうなるかわからんのだぞ。作り話に決まってるわ』


『うーん。俺はちょっとなあ』


『なんだよ。ビビってんのか』


『かなりヤバイ橋じゃねえか?』


『何いってんだよ。まず、5男坊が開拓した村への嫌がらせだな。潰す勢いでいくぞ』


『いや、やっぱり俺はやめとくわ。穴がムズムズしやがる。これは警戒信号だ』


『けっ、小心者め。俺はやるぞ』



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