7、私の小話 ~蛇足~
前話(設定)と同時更新です。
会話集です。
内容に一部BL・GL要素を含みます。
苦手な方はお気をつけください。
小話は全部で五つ。
一つ目 侍女は思い立つ
二つ目 BLを嗜むクラスメイト
三つ目 ハーレムがなぜかGLに
四つ目 野郎たちの奮闘
五つ目 殿下の視線の秘密
三、四は続きものですが、四だけでも大丈夫です。
よろしくお願いします。
~侍女たちの話~
『ウィルー、朝だぞー、起きろー』
『起きろってばー』
『早く起きないとちゅーしちゃうぞー』
『ふっ、ばか』『ふぎゃっ』
ガチャリ
「お姉さんたち、ウィル起こしたから後はよろしく。ふわぁ」
・・・
「ねぇ、今日のアルフォンス様、いつも以上に色気がヤバくなかった?」
「ヤバかったヤバかった! あれで18歳とか、これからどうなっちゃうの!?」
「でもさ、殿下もヤバかった……」
「うんうん! もう、可愛過ぎる!」
「あれ絶対鼻むぎゅってされて起こされたよね?」
「涙目で鼻押さえてたもんねぇ」
・・・
「ねぇ聞いた? 衝撃の事実!」
「聞いた聞いた! アルフォンス様、女の子だったってね!」
「あの色気でって感じ」
「なんだか色々負けた気がする」
「そろそろ結婚したいな……」
「合コン行こうか」
「そうね」
◇
~とあるクラスメイトたちの話~
「私は王道のアル×ウィルだと思うの」
「ウィル×アルが身分的には王道ではありませんか?」
「わたくし、個人的にはウィル×アルでいて欲しいですわ」
「ふふふ、相変わらずイジメラレッコの豹変が好きですのね」
・・・
「あぁっ! 悲報ですわ!!」
「うふふ。あなたはアル×ウィル推しでしたものね」
「ちょっと待ってくださらない? そもそもあの二人はNLだったって事ではありませんか?」
「……まぁ! なんと言うことでしょう!」
「あそこまで想像を掻き立てられる方々もなかなかいらっしゃいませんのに!」
「本当に勿体ないですわ」
◇
~とあるハーレムの話~
「アルフォンスさまぁ、クッキーを焼いてきましたの~」
「いつもありがとう。きっと君みたいに甘いのだろうね」
「はうぅ~」
「アルフォンス様~♪」
「あれ? 少し前髪を切ったのかな? 似合ってる。可愛いよ」
「きゃあ!」
「アルフォンス様、何を見てますの?」
「うん? 君のキレイな瞳だよ。やっと目が合ったね」
「~~っ///」パタリ
・・・
「アルフォンス様が女の子でも良いです!」
「これからもずっとお慕い申し上げます」
「私たちの愛は変わりませんわ!」
「みんな、ありがとう」
「「「きゃー! アルフォンス様~♡」」」
◇
~とある御令息たちと君の話~
「あーっ、くそっ、俺の婚約者もとうとうアルフォンスの取り巻きに」
「あいつマジ何なの!?」
「あの完璧超人が相手じゃ俺ら勝ち目ないよ」
・・・
「アルフォンスがアルミネラ嬢って本当か?」
「ああ、お前んちは子爵だから夜会に出てないのか。本当にアルフォンスがあのアルミネラ嬢だったよ」
「ハァ。女性に婚約者を取られた俺らって何?」
「てか、女性ってわかったのに彼女が帰ってこないんだけど」
「……アルミネラ嬢にどうしたらいいか教えて貰わない?」
「「それだ!」」
・・・
「「「アルミネラ嬢、よろしくお願いしますっ!」」」
「この格好の時はアルフォンスで良いよ。で、婚約者の機嫌の取り方を教えて欲しいって?」
「「「はい!」」」
「それじゃあまず、彼女たちが何で君らに会う為にわざわざ時間を掛けてオシャレをするのかわかるかい?」
「着飾るのが好きだから?」
「高価な物を強請る為とか?」
「親に言われたからかなぁ?」
「ハァー。褒めて欲しいからだ。誰にとは言わせるなよ?」
「もしかして我々に褒められたいから着飾るのですか!?」
「何、今知りました。みたいな顔をしてるんだよ。君らがそんなだから私の元へ褒めて貰いに来るんだ。ハァー、顔は良いのに勿体ない」
(((ぐぬぬ)))
「よし、わかった! まずは相手を褒めるところから始めよう! 婚約者に褒められて嫌な気持ちになる子はあまり居ないから」
ガラッ!「アル!」
「ウィル?」
「なんで私に何も告げずこんなところに居るのですか!! 君は女の子だと知れ渡っているのですよ!! なのに、こんな、こんな、こんな、男だらけの所に一人で居るなんて!! 何か起きてからでは遅いのですよ!!」
「ごめんな。彼らの婚約者を私が奪ってしまって。そしたら逆に婚約者の機嫌の取り方を学びたいと請われたんだ。私が原因では断れないだろう?」
(((その通りだけど言い方が酷い!!)))
「どうして私を誘わないのですか!! 私も一緒にここに居ます!!」フンスっ
「うん。ありがと。
ちなみに今のウィルは独占欲駄々漏れで意外と私は嬉しかったりする。褒められるのも嬉しいが、独占欲を示されるのもまた有りだな。でも独占欲からくる束縛は女の子によって有り無しが両極端だから見極めが必要だ」
「「「なるほど、参考になります!」」」
「ア、アル!?」
「あぁそうだ。ウィルが居るなら手伝って貰おう。いきなり婚約者を褒めるのは難しいだろうけど、同性のウィルが相手ならいけるんじゃないか?」
「そうですね。殿下の方がハードルは低いと思います」
「「うんうん」」
「え?」
「じゃあウィル、これ被って」
「な!? 女性の髪型のウィッグなんて何処から出してきたんですか!?」
「良いから良いから。お願い」
「嫌ですよ」
「お願い。被ってくれたら今度のお出掛けはウィルの好きな場所で良いから。護衛がしにくいとか文句を言わないよ?」
「でも、私にもプライドと言うものがですね」
「もし被ってくれたら、アルミネラで行こうかな」
「……わかりました。今回だけですよ」
(((殿下、ちょろいだろ)))
バサッ
「これで良いですか?」
(なんだこれ、目の前に美少女がいる)
(殿下が女の子にしか見えない)
(マジか。ズラ被っただけでこれとか)
「さぁ、順にウィルの事を褒めようか。勿論自分の婚約者だと思ってね」
・・・
数日後
「最近、昔より大人っぽくなったな。綺麗だよ」
「……ありがとうございます(急に何なの?)」
「(反応がイマイチ)そうだ、また昔みたいに君の手作りクッキーが食べたい。得意だったよな」
「(覚えてくれてたんだ)ええ。でも、確か甘い物は苦手ではありませんでしたか?」
「ああ。甘い物は苦手だけど、君のクッキーだけは食べられる。あれは好きなんだ」
「(私のだけ///)今度、ご用意しますね」にっこり
「今度髪飾りを送らせてもらえないかな?可愛い君を俺好みに飾りたい」
「急にどうされたのですか?(可愛いとか言う人だったっけ)」
「ずっと君を可愛いと思っていたんだけど、言葉にしないと伝わらないと言われてね。嫌だった?(お願い、拒否しないで)」
「いえ、その、嬉しいです///」もじもじてれっ
「(何この可愛い生き物っ)くっ、こんなに喜ばれるならもっと早く言えば良かったよ」
「はっ! あの、私も貴方の事を、その、格好いいと思っています!!(キャッ、言っちゃった!)」
「本当に!? ありがとう!!」ぎゅっ
「もっと俺を見てよ」ジー
「はい?(え?何?新手の嫌がらせ?)」
「君の深い海の様な瞳が好きなんだ。俺だけを写して」ジー
「え? あ、あの(そんなに見つめられると恥ずかしいんだけど)」
「……ふふ、赤くなっちゃって、かぁわいっ(堪らないなぁ)」なでなで
「ふにゃんっ‼」
「あ、ごめん。大丈夫?」
「らいじょうぶれすぅ~」プシュー
各々元鞘に納まりましたとさ。
◇
~とある御令嬢たちと私の話~
「殿下はアルフォンス様の御足を見すぎですわ」
「え? そんなに見ていますか」
「確かに、御覧になっている姿を頻繁に拝見しますね」
「足を組み替える時などは特に熱い視線が送られていますわ」
「……」
「そのせいで、皆様殿下が男色と勘違いしていたのですわ」
「実際は大好きなアルミネラ様の御足を見ていましたのね」
「ふふふ、殿下もやはり殿方ですね」
「殿下、学院では婚約者と言えどもえっちぃ目を向けるのはダメですわ」
「……はは、ははははっ、手厳しい」
「そう言えば、殿下が夜会で言い掛けた言葉は何でしたの?」
「その様な事、ありましたか?」
「ああ、アルフォンス様を迎えにいらした時のあれですね」
「あの時のアルフォンス様に遮られた言葉ですか。確かに気になりますわ」
「うーん……」
『アル、なぜあなたはそこに居るのですか?』
『可愛い御令嬢方に誘われたら断れないだろう?』
そう言って隣の令嬢を抱き寄せ頬にキスをしました。
『な、何をしているのですか!? アルは私の、モガッ』
「あぁ、あれは……ナイショです」
「ぇえ~! 教えてくださらないのですか!?」
「気になりますのに!」
「けちぃですわー!」
「けちぃって何ですか」クスクス
今さら言えませんよ。
“アルは私のものなのに” なんて。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
評価、感想、活動報告へのコメント等頂けると嬉しいです。
この話は私の中で初挑戦でした。詳しくは12/08の活動報告でテンション高く書いています。
お付き合いありがとうございました。
2019.12.13 朝木 花音