同居人
「こんにちは~」
ぞろぞろと護衛の兵士を引き連れながらやってきたのは、木造の小さな工房だ。ここにはドワーフのメロンちゃんがいる。
彼女はいつも上下つなぎの作業服を着ており、頭にはタオルを巻いている。華奢な見た目とは違いゴリラパワーを秘めた素敵な少女だ。
普段通り俺が気軽に挨拶をすると、メロンちゃんはギョっとしたあと頭を下げた。
その顔は緊張しているようだ。
ああ、なんということだろうか?今まで時間をかけて徐々にその距離を縮めてきたというのに、これでは最初に出会った頃よりも他人行儀ではないか!壁を感じる、壁を!国王ってのは孤独なもんだ。
「頭を上げて、今までと同じようにしてよ!」
「・・・ん。」
どこかぎこちないが、、、、、まあ、時間の問題だろう。
「前に俺専属の職人になって欲しいという話はしたと思うんだけど・・・メロンちゃんの意志は変わってないかな?」
「ん。」
よしよし、
「実はさ、個人的な商会を作ろうと思ってたんだけど、少々事情が変わって・・・国直属の魔導具開発部門を作ろうと思うんだけど、そこの主任になってくれないかな?やることは変わらないと思うんだけど・・・どうかな?俺としてもトップは信頼できる人物になって欲しいと思ってるんだよね。」
「ん。やりたい・・・でㇲ。」
「よし!」
思わずガッツポーズをしてしまう。だが問題はあと1つ!
「その~・・・えっと・・研究施設としては、元ドウラン魔法学院の校舎とグラウンドを使おうと思ってるんだけど・・・やっぱり・・・主任とは緊密に連絡を取り合う必要も出てくると思うんだ。」
「ん。」
「そこでだな・・・メロンちゃんにはうちに住んでもらいたいんだけど、どうかな?」
「・・・え?」
うっ・・・どうしよう不思議そうな顔をしているぞ。一応言っとくがこれは俺のただの願望ではないぞ!国の未来の発展のためだ!勘違いするなよ!!職権乱用じゃない!
「俺のインスピレーションがいつ沸くか分からないし、あーゆーのって何回も試行錯誤して微調整が必要だろう?そのたびにわざわざ城に謁見に来てもらうのは効率が悪いし・・・お風呂で疲れを取ってもらわないといけないしだな・・・この工房も残したままうちの敷地に小さな工房を置いてもいいし・・・」
目を泳がせながら必死に説明をする。すると彼女はフっと笑った。
「分かった。」
フォオオオオオオオオオオ!国王とかマジ最高かよ!
叫びたい衝動を必死に抑えながら握手をする。
俺はこうして異世界美少女ドワーフを手に入れた。
・・・え?やっぱり公私混同じゃないかって?何だチミは!?それ以上の私語は慎みたまへ!国家反逆罪で捕まえるぞ!!
♢
それから数日後、待ちに待った日がやって来た。
えへへへへへ。
ほっぺと鼻の下が伸び切っているのが自分でも分かる。
「いらっしゃい。」
「ん。」
今日は作業着では無く、ショートパンツルックだったので一瞬ドキっとしてしまった。ギャップ萌えとはこのことか。
「部屋まで案内するからついてきて!」
もともとこの家は彼女に作ってもらったわけだが、エスコートするのはもちろん俺の仕事だ。彼女の部屋は俺の部屋のすぐ近くにした。
んん?なんだチミは!?まだいたのか?だから権力の乱用では無いと言っているだろうが!今度こそひっ捕らえるぞ!
・・・おっと失礼。
だが分かって欲しい。これは国のためなのだ。因果関係は不明だが、彼女の部屋が近くにあると国が安定するのだ。
ああ、そうだ。この際だから言っておくが、今のところ俺は城に住むつもりはない。もちろん影分身は常駐させているが、すぐそこなのであまり意味は無い。まあ、どうでもいいかそんなこと。
さっそく夜ご飯にしよう!今日はお祝いだから奮発したんだ。
喜んでくれるといいが。
部屋を案内してからリビングへと戻る。するとメイドのルルに話しかけられた。
「ご主人様。お客様が見えております。」
せっかく夜ご飯だと思ったのに、、、こんな時間に来るなんて空気の読めない奴だ。
「ああ、分かった。今どこにいるんだ?」
「はい、ただいま・・・」
「うおっ!」
ルルが話している最中に、急に後ろから何かが飛びかかってきた。柔らかいものが背中に押し付けられる。
驚いて振り向くと、ニャン子が満面の笑みで頬ずりしていた。
「げっシンディー。」
「!?・・・今なんで、ゲって言ったの?せっかく会いにきたのに・・・」
尻尾と耳をシュンとさせながら獣国の王女が呟く。俺もなんでそんな言葉が咄嗟に出てしまったのか分からない。これではまるで浮気がバレたみたいじゃないか・・・
「あ・・・」
運が悪いことに、ちょうどその時メロンちゃんが部屋から降りてきた。シンディーは彼女を見るなり何かがピンと来たらしく、驚いた顔のメロンちゃんを威嚇する。
なんだこれ?修羅場か!
両者から火花が散っている。
「レオ?この女は誰ガオ?なんで部屋着でいるの?」
「え?えーと・・・彼女は新しく創設する魔導具部門の開発責任者だよ。今日からここに住んでもらうんだ。魔導具ってのはいろいろデリケートだから、緊密なコミュニケーションが必要でさ。」
「そんにゃのひどいよ。メイドでもないのに・・・私が第一夫人にゃのに・・・」
夫人って・・・いつ結婚したんだよ・・・
彼女は目をウルウルさせた後、何かを決心したように俺に向き直った。
「私も今日からここに住む。」
「えええええぇぇ!」
ブックマークありがとうございます!増えていくのはやっぱり嬉しいです!!(^^)
明日はいよいよオリンピックのチケットの結果発表ですね。ニュースで当選詐欺に注意ってやってました。みなさん気を付けてください!




