成敗
もはや隠すこと無く、街の上空をドラゴン形態で飛ぶ。目指すは王のいる城だ。眼下に広がる街中には、戒厳令が出たことで人っ子一人いない。普段ならば人々で賑わっている通りも野良猫が歩いているだけだ。
まあ、いないと言っても、家の中から、こちらを見上げてくるわけだが、、、
「GYAOOOOOOOOOOOO!」
口から低い重低音を響かせる。
これがドラゴンの咆哮だ
当然のようにみんな驚いちゃって、家ごとビクつく。おまけにカーテンも一斉にサッと閉められる。
事情を知らない大多数の国民にとっては、ドラゴンの飛来によって戒厳令が出されたとでも思っているかもしれない。
まさに、俺は、悪の大怪獣といっても過言ではない。
ではなぜわざわざ威嚇するように咆哮したか?それはひとえに俺のサービス精神によるものだ。
だってみんな聞きたいだろ?怖い怖いと言いながら見上げてくるし。国民の多くは、ドラゴンに怯える自分に酔いしれているわけで、普段とは違う非日常に興奮しちゃってるわけよ。だから俺が、THE・ドラゴンになりきって、スパイスを加えてあげたってわけ。
これをサービスと言わず何というのか?
納得してくれたかい?
まあいい。
そんなこんなで、お城までやって来ると、その周りをグルグル旋回していた。するとカーテンが閉め切られたある部屋から面白そうな話し声が聞こえてきた。
ちょうどダイヤがどうとか騎士団長とか何とか。しかもバカ王子の責任を追及するのではなく、あろうことかダイヤ奪取計画に乗っかりママンを討伐しようとしているのだ。
「こ、国王様~~!・・・・」
中から慌てふためく兵士の声が聞こえる。ドラゴンて、確実に俺の事だ。
そしてカーテンがサッと開けられた。男4人と女1人と目が合う。
男のうち3人は、執事っぽい爺さん、おでこの広いデブデブのおっさん、若かりし頃はイケメンであっただろう爺さんだった。つまり戦闘力がありそうなのは、短髪の鎧男ただ一人。肩の部分が尖がっているのがカッコいい。おそらくコイツが騎士団長とやらだろう。尖がっているからな。
唯一いる女は、ローブを着ているので、こいつが魔法師団の団長だろう。
驚き目をひん剥く面々に、翼をバタつかせながら話しかける。もちろん内心は爆発しそうなぐらいムカついているわけだが、とりあえずは、それを必死に抑えた。
「俺は光の勇者フローラの息子のレオナルドだ。お前らの今の話は聞かせてもらった。何か言い残すことはあるか?」
「・・・。」
「お、お下がりください国王様!このトカゲめは私が討伐いたします!」
騎士団長が一歩前に出て剣を抜く。すると国王らしき人物が体を震わせながら口を開いた。
「リチャードは・・・どうした?・・・生きているのか?も、もし生きているなら、今回の事は全て不問にしてやる。もちろんあの土地もそなたたちの物じゃ。それでどうじゃろうか?」
「あん?」
「ヒっ!」
「なに調子いいこと言ってんだよ。お前らたった今バカ王子の計画に乗っかろうとしてやがっただろうが!とりあえずお前ら全員、国民の前で真実を話し、俺達に謝罪しろ!それから役職を辞任しろ!もちろん国王もリチャードもな!それを呑むなら、お前らじゃなくて、俺が、今回の事を不問にしてやってもいい。」
「き、貴様~~~!国王様に向かって無礼だぞ!不敬罪で極刑だ!ロランやってしまえ!」
デブオヤジが騎士団長に命令する。
「はっ」
どうやらコイツらに良心の呵責という言葉はないらしい。どんなに自分たちに非があっても認めようとせず、都合が悪くなるともみ消そうとする。そして、物事の善悪を自分で判断しようとせず言われた命令をこなすだけの脳筋。
あきれてものが言えない。
「光の波動!」
口から高濃度に圧縮した光線を吐く。恐怖に怯えるゲス共の顔が見えたがおかまいなくぶっ放す。
ドガアアアアアアアアアアン!パリン、パリン、パリン!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、、ゴトゴトゴトゴト、、、
窓のみならず城壁もぶっ壊したため、城の一部が崩壊を始めた。それまで建物を支えていた長方形の石の残骸が地面に降り注ぐ。それだけではない、書類から机から骨董品まで、ありとあらゆるものが宙を舞う。
・・・
あいつらは木端微塵になっただろうか?しばらくの間、空中に留まったまま様子を窺う。
すると煙でモクモクする中から、高速で人影が迫ってきた。
騎士団長だ!
「絶対切断!」
驚異的な身体能力で、崩れゆく地面を足場にして高く飛びあがると、その勢いのまま切りかかってきた。上半身の鎧は、俺の先ほどの攻撃で溶け、半裸状態だ。
どうやってしのいだのか分からないが、、、、この男、強い!
とっさに避けようと体を動かそうとしたが、突如俺の体が丸い結界に覆われ、出られなくなった。
試しに殴ってみたが、中からの衝撃は吸収されてしまう。そればかりか、その衝撃が自分に跳ね返ってきた。
「カハっ!」
今まで感じたことのない激痛に血反吐が出る。あの女の仕業に違いない。めんどくせぇ魔法使いやがって。
・・・マズイ
「オラアアアアァァァァ!これでもくらいやがれ!トカゲ野郎!」
ザシュ!
身動きの取れない俺の左肩から右わき腹にかけて、団長の剣が通過する。
「ぐあああああああ!」
・・・
・・・
「・・・なに!?なぜ切れていない!!?」
目ん玉を真ん丸にしながら団長が呟く。絶対切断・・・技の名前からしても今まで全ての物をぶった切ってきたのだろう。
「うるせーよ!流石に俺も切られたかと思って叫び声出しちまったじゃねーか!死んだかと思ったわ!恥ずかしいじゃねーかコノヤロウ!てかお前が外から結界切ってくれたおかげで俺も動けるようになったわ。サンクス。」
「なっ!?」
空中で落下を始めた団長を地面に向けて殴り飛ばす。そして仰向けに寝ころんだところに、垂直落下し渾身の右ストレートをみぞおちに叩きこむ。
ドオオオオオオオン!
あまりの衝撃に団長の体は、くの字に折れ曲がり、地面が地割れを起こしひび割れる。
白目を剝き体をピクピクさせているので勝負ありだろう。
大きく息を吐く。
残すは、悩殺バディーの魔法女だ。
しかし俺が周りをキョロキョロしていると、女を抱えた国王が現れた。どうやら魔力切れ?で気絶しているようだ。俺を拘束した先ほどの魔法だけで魔力切れになるとは思えないので、おそらく、最初の攻撃である光の波動も、この女が何かしらの方法で防いだのだろう。
団長といい、この女といいなかなかやる。
視線を、ぐったりした悩殺バディー女から国王に戻す。
「我々の負けだ。君の条件を全て呑んだ上で降参する。どうか矛を治めてくれ!この通りだ!」
そう言って国王が俺に土下座した。
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炭酸のジュースは体に悪いかもしれませんが、ただの炭酸水ならいけるかもしれない。




