国王
「身体強化!」
ママンが人間形態のまま体全体を強化する。すると次の瞬間、敵が空を舞った。もちろん俺の目には地面を強く蹴り出し、殴りかかるママンが余裕で見えたが、どうやらアイツらにはよく見えていないようだ。
自分が空を舞っているということに、飛ばされて初めて気付いている。
いくらなんでも兵士がこんなに弱いなどあり得ない。・・・もしかしてママンが美人だからって、わざと攻撃を受ける変態の集まりなのだろうか?
むしろそうでなければ、国防が心配になる・・・あれならブラディウスとかデューク1人で制圧できると思うんだが気のせいだろうか?・・・うん気のせいだよな。そんなわけないもんな。相手は王子の兵士なんだから。
敵がボコボコにやられている真意はイマイチよく分からないが、流石はママンだ。本当は、か弱いはずなのに俺達を守るためにあんな暴力的なことをするなんて。その精神こそ真の勇者だ。
俺もママンに遅れを取るわけにはいかない。さあ行こうか。
「ファイアランス!」
上空に炎の槍を20個程浮かせる。そしてそれを撃ち込もうと思ったわけだが・・・あることに気が付き魔法を空中で止める。よく考えたら、うちの庭で死なれても困る。土地の価値が下がってしまう可能性も高いし、何より気持ちが悪い。
なぜ今までこんなことに気が付かなかったのだろうか?だからママンは魔法を使わずに素手で戦っているのか!
これは由々(ゆゆ)しき事態だ。
どうしたもんかとウンウン唸っていると聞き覚えのある声が響いた。
「このば、化け物親子め~!」
リチャードだ。よし決めた。あいつだけはこの場で瀕死にしちまおう。
「ファイアランス!」
腰を抜かして動けなくなっているイケメンの尻めがけて20発ぶち込む。
ドドドドドドドドドド~~~~~ン!
「いやああああああああああああ~~~~~!ファガスっファガス助けやがれ!」
「はっ」
「ウォーターウォール!」
リチャードの声に反応した騎士が一人、間に割り込み水魔法を唱えた。おかげで俺の火魔法が、水の壁によってかき消されてしまった。流石に人水では相性が悪かったようだ。
「ふはははははははは。お前らの魔法なんてファガスの前には無意味なんだよ!なんせコイツは俺様が直接スカウトした天才だからな。恥を知れ恥を!おこがましいにも程があるんだよ!今のうちに命乞いの練習でもしておくんだな!」
先ほどまで無様に叫んでいたのに、急に強気になりやがった。
「ファガス!お前の実力を見せてやれ!そうだな、記念に一発、うしろの家にぶち込んだらどうだ?」
「はっ」
「なに!家に攻撃するのは卑怯だぞ!くそっちょっと待ちやがれ!!」
シュポ!
「あああああ!待て!お願いだ!」
「フハハハハ!待って・・・や・・・らな~い!このヴァ~カめ!」
形成が逆転したとばかりに憎たらしい顔をしながらリチャードが笑う。ファガスの打ち出した魔法は俺とママンの頭上を越え、建物にぶつかりそうになる。
しかし・・・
「悪鬼。」
屋根の上で待機していたブラディウスが斬撃を飛ばし相殺する。
「・・・な~んちゃって!対策してないわけないだろこのヴァ~カめ!」
俺の相棒がバッチし守ってるつーの!
「な、なにぃ!!おのれえぇぇぇ!庶民のくせに俺をコケにしおってぇ!死刑だ!お前は必ず死刑にしてやる!!」
鼻の穴をこれでもかと膨らませリチャードが吼える。チワワかと思ったぜ。
「もうお前眠っとけ!形態変化!」
「ぎゃあああああああ~~~~~!」
♢
「国王様!大変でございます!リチャード様がドラゴンに食われたと街中の噂になっております!」
「なんじゃとっ!?どういうことだ!?」
「そ、それが光の勇者フローラ様の屋敷に私兵を連れて乗り込んだらしいのです!」
「理由はなんじゃ??」
「詳しいことは分かりませんが、目撃者の話によりますとフローラ様が王族の土地を不法占拠した上、国家転覆を企んでいたと。」
なんじゃその話は・・・そんな情報はこれっぽちも儂のところに届いておらん。ということは、いつもの癖が出たか・・・とんでもない相手に手を出しおって・・・
「どういたしますか?」
「すぐに会議を行う。リチャードの世話係と騎士団長、魔法師団長、宰相を至急集めるのじゃ!国には戒厳令と箝口令を出せ!全員一歩も家から出すな!目撃者には口外禁止を徹底させろ!」
「はっ」
♢
「今の話間違いないんじゃな?」
「は、はい。リチャード様は、ダイヤを手に入れるべく兵を引きつれて出発なされました。」
儂と同じぐらいの年齢の爺さん、リチャードの世話係が、申し訳なさそうに事の真相を話した。
「ほう、ダイヤですか。殿下もなかなかお目が高いですな。もし本当にそのダンジョンの中からダイヤが採掘できるなら莫大な利益になる。」
こういったのは宰相のマケインだ。禿げ上がったおでこに脂汗をかきながらにやりと笑う。儂が言うのもなんだが金と若い女が大好きなクズ野郎である。ただ宰相のポジションに着くまでに、相当な競争を勝ち上がってきたのも事実であり、実務面では優れている。
「し、しかし相手は竜人の光の勇者フローラだぞ?我が軍に勝ち目はあるのか?」
「国王様!我々騎士団の実力を舐めてもらっては困ります!確かに魔法師団はヒョロヒョロした奴ばかりで頼りなく見えるかもしれませんが、我々は日々鍛錬に励んでおります!必ずや私騎士団団長のロランがリチャード様の奪還とトカゲ女の討伐を成功させてみましょう!」
「おい、お前!筋肉バカのくせに調子こいてんじゃねーぞ!勝負に置いて勝敗を決めるのは常に魔法だ。国王様!必ずや私、魔法師団団長レノアが魔法の力で成功させてみます!どうか我が師団に出陣のサインを!」
「う~むそうは言ってもな・・・」
「書類や他国への説明は、全て私が万事うまくいくように取り計らいましょう。理由はどうあれ王族、それも次期国王に手を出したのです。ここで何もしなければ、王族の名に傷がつきます。ひいては国民から舐められ体制の崩壊に繋がります!」
「・・・う、うむそうだな。それでは騎士団と魔法師団それぞれ100名ずつで軍を起こす。相手は1人とはいえ勇者と言われるほどの竜人だ!決して油断しないように!」
「「はっ!」」
「解散!」
「「はっ!」」
しかし話がまとまったその時だった。血相を変えた兵士が会議室に走り込んできた。
「こ、国王様~~~!!緊急事態です!!ま、ま、窓の外を~!!」
「窓の外?が一体何じゃと言うのだ??」
不審に思いつつも、締め切ったカーテンをガラガラっと開ける。
するとそこには・・・
・・・
・・・ドラゴンがいた。
「「ええええええええぇぇぇぇぇぇ!!」」
ブックマークポチポチしてくださってありがとうございます!モチベーションになってます!!
ポチっとな(@^^@)
なんとか間に合いました。・・・・Zzzz




