トラ吉
急いでいたので読みにくかったらすいません。
「では始めてください。」
「ガルウウウウウ~」
掛け声とともに、今さっきまでリーチェさんにゴロニャンしていたトラが、野生の本能を剥き出しにする。涎はポタポタと垂れ目はギンギンになっている。
まさに肉食獣そのもの。
おちっこチビりそうだったけど負けじとガンを飛ばす。これはドウランの未来がかかった聖なる戦い、つまり聖戦なのだ。気持ちで負けるわけにはいかない。
こちとら総長なんだ。ニャンコがなんぼのもんじゃい!
「ガルウウウウウ~・・・・・ウ?」
ん?俺と目を合わした途端勢いがなくなったが?そればかりかプルプル震えて後ずさりを始めた。もしかしてガンを飛ばしたのが効いちゃったのか?こいつも見かけだおしなのか??
「やいやいやい!ニャンコロお座りしろ!」
「ガウ。」
適当に命令してみると見事に俺の言うことをきいた。それを見ていたギャラリーがザワザワしだした。特にリーチェさんは驚き過ぎて顔がひょっとこのようになっている。
「トラ吉、何をしているの!ちゃんと戦いなさい!あなたのご主人様は私よ!今日の晩御飯抜きにするわよ!」
「ガゥ・・・」
リーチェさんに檄を飛ばされ、それは嫌だと言わんばかりにニャン吉が顔を横に振る。
「だったらやるべきことをしなさい!」
「ガウウウウウウウウウ!」
再び猛獣となったトラ吉が今度はちゃんと飛びかかってきた。しかし最初に感じた王者の風格はどこへやら。俺にとっては、ただニャンコが飛びかかってきたようにしか見えなくなっていた。
適当に尻尾を掴みぶん投げる。すると4メートル越えの大きな体が10メートルほどビューンと飛んでいき校舎に激突した。バリンと窓ガラスが割れ中からちょっとした悲鳴が聞こえる。少し手が滑ってしまった。
トラ吉は大したケガではないようだが、完全に尻尾を丸めて後ろ足の間に挟んでいる。あれは犬などが強い恐怖を感じた時にやる仕草と同じだ。
「ニャン吉!こっちに来い。そしてゴロンしろ!」
「な、何を!トラ吉は誇り高きサーベルタイガーです!やめなさい!」
リーチェさんが必死に止めようとしていたが、4足歩行の大きな体は、俺の目の前でゴロンとひっくり返り、自分の弱点であるお腹をみせた。完全にあなたに服従しますというポーズだ。
ザワザワザワ
♢
「そんな・・・」
トラ吉はサーベルタイガーなのよ!私と私が命令した人間以外は、彼の前で10秒すら立っていることなんて無理なのに・・・気付いた時にはもうあの世なんてザラにある話よ!
もちろん今回は食い殺さないように指示していたから、トラ吉も全力を出せなかったのかもしれないけれど、、、、正直それ以前の問題だわ。思えばあの子と目を合わせた瞬間からトラ吉は怯えていた・・・・
戦う前から勝負は決まっていたと?なんなのよあの少年は!トラ吉の背後を取るスピードにあの巨体を投げ飛ばす腕力・・・
・・・1年生であれは規格外過ぎるわ・・・
・・・でも・・・彼は今の戦いでろくに魔法を使っていない。普通サーベルタイガーと戦おうとしたら距離を取って魔法を撃ち込む。それが定石よ。それをしなかったということは、もしかして魔法が彼の弱点かしら。魔法の杖も持っていないしね。
こうなったら暴いてやるわ!
「思ったよりもやるようね。いいわ今の勝負あなたの勝ちでいいわ。合併の話考えてあげるわ。」
「やった!ほんとですか!?」
「ええ、私に二言はありませんから。ただ合併するとは言っていないわ。まだ考えるだけよ!」
若干、大人気の無い言い回しに、自分でも嫌気が差しそうになったが仕方あるまい。ていうかレオナルド君が、私のせこい屁理屈を聞いても、目をキラキラさせて嬉しがるもんだから、余計に胸が痛い。
ただセンチュリオールの校長としてこのままやられっぱなしでいいわけがない。ここまできたらどんな卑怯な手を使ってでも彼には諦めてもらうわ。考えた結果、合併出来ないと伝えても彼はしつこそうだしね。ふふふ。やってやるわ!
「レオナルド君?」
「はい、なんでしょうか?」
「もっと君の事を知りたくなったんだけど、まだ時間あるかしら?もし今から私が提示した2つの課題にクリアできたら合併してあげるわ。」
「やります!やらせてください!!」
「じゃあ1つ目の課題は、君がどれだけ魔法を使えるのか見てみたいんだけど、、、、えーとあそこに魔物を模した的が置いてあるでしょ?ここからあの的に向かってファイアーボールを当てて欲しいの。この学校の生徒なら誰でもできるわ。流石にそんなこともできない人と一緒に学ぶことは出来ないでしょ?」
「はい、分かりました!」
ふふふ、なに元気よく分かりましたとか言ってるのよ!距離にして60メートル、初級魔法であるファイアーボールが届くわけがない。そんなの私ですら不可能。他の魔法を使えば出来ない事は無いけどまず無理ね。つまりこれはできるハズが無い課題。
ていうか魔法の杖も持たずにどうするのよ。
「ファイアーボール!」
シュポ!・・・ドーン!
ザワザワザワ
教室から顔を出していた生徒たちが驚きの声を上げる。
「・・・え?」
「これでよろしいでしょうか?」
・・・え?待って待って!なに普通に当ててるの??詠唱は?意味が分からないんだけど!なんでできるのよ!今のは途中で炎が消えちゃって、、あら?残念だったわねって私が言うところでしょ!
ええい!こうなったら実力行使よ。
「す、すごいわね。」
「え?あんなのこの学校の子なら誰でもできるんじゃないんですか?」
・・・・なによこの子!記憶力もいいの?余計なこと覚えてるんじゃないわよ!
「そ、そうだったわね。えーとじゃあ2つ目の課題をしましょう、私の魔法攻撃を10発耐えてもらおうかしら。魔法使いって防御力が無いと実践では役に立たないし、この学校ではそこにも力を入れてるのよ。」
「はい!」
ふふふ!ちょっとビックリしちゃったけど、これで不合格アンドストレス解消だわ!私がケガをするリスクは無いしね。
「じゃあ行くわよ!」
ドドドドドドドドドドーン!
詠唱をしてから彼めがけて魔法を撃ち込む。
あははははは
・・ははは
・・はは
・・・
・・・・・・死んでしまったかしら?
私ともあろう者が、いくらなんでもやり過ぎてしまったようね。でもこれで合併の話は無しになったはず。彼には少し可哀そうな結果になったけど仕方がないことよ。
立ち込めていた煙が徐々に晴れていく。すると人影が現れた。
「え?」
・・・私は言葉を失った。
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ギリギリでした。あとで改稿するかもしれません。




