女子校
ルル、ララ、ロロの3人娘には、家が完成次第来てもらうことになったので、それまでしばしの間お別れだ。これで家の維持管理の目途が立ち一安心なわけだが、もし実際に住んでみて、メイドが足りなかったら人数を増やしていくことになると思う。まあ、その時はその時だ。
これでひとまず家の事はいいとして、、、、今度は学校のことだ。あっという間に約束の日時がやって来た。まさか忘れてなんかいないだろ?今日はセンチュリオール魔法学院に交渉に行く日なんだから。ふははははは、ビバ女子校!この日をどれだけ待ち望んだことか。
トコトコ進む馬車の傍らには、しみったれた顔でブツブツ何かを言っている爺さんが座っているが、それさえも愛おしい。それほどまでに今の俺の心は慈愛に満ちている。もはや王様になって国政をした方が良いレベルかもしれない。ははは。
それから馬車に揺られることおよそ10分
「くれぐれも先方にそそがないようにするんじゃぞ。」
「もちろんですよ。」
「うむ。では馬車から降りるのじゃ。」
「はい!」
背中にドウラン魔法学院第346代目総長と刺繍されたコートをパサッと羽織り、秘密の花園へと降り立つ。これは人間にとっては小さな一歩だが、男子校の人間にとっては大きな一歩だ。今なら月に降り立ったアポロ11号の何とかさんの気持ちが分かる。
見てみろこのグラウンドの土。心なしかサラサラしているぞ。何をバカなことを言っているんだと思った諸君。少しだけ我慢してくれ。今日はずっとこんな感じだ。
ふふふ。
それで肝心の女子生徒は・・・うむ。どうやら今は教室で授業中らしいな。盛大にお出迎えしてくれるのを期待していたのだが、建物の前に女性が一人いるだけだ。
うん、遠目からみてもできる女ってのが伝わってきたけど、近くでもみてもその印象は変わらない。釣り目でツンとした感じの美人さん。スラッとした立ち姿が若干近寄り難さを醸し出している。うちの校長とは多少面識があるらしく軽いあいさつの後、世間話をしながら部屋へと案内された。正確な年齢は分からないが30代ぐらいで名前をリーチェさんというらしい。
「それで本日はどういった御用でお見えになったんでしょうか?そちらにいるのは新しい総長のようですけど?」
話しぶりからしてアポイントだけで詳しい話はしていないらしい。我が校長の顔を見るとゆっくり頷いてきた。ここからは自分でやれということか。何が総長特権だ。
「はい、先ほども言いましたが、自分は新しく総長になったレオナルドと言います。学年は1年生です。今日お時間を頂戴いたしましたのは、お願いがあったためです。」
頷きつつも値踏みするような冷たい目線が俺の全身を舐め回す。
「簡潔に申しますと、うちの学校と貴校を合併させませんかというお話です。つまり男女共学です。」
その瞬間リーチェさんの顔がキョトンとなる。この子は一体何を言っているのでしょうか、やれやれと言わんばかりだ。
「えーとレオナルド君と言ったかしら。あなたの噂はチラリと私の耳にも届いているわ。真偽はよく分からないけど、1年生で総長になれたのだからそこそこ実力はあるんでしょう。」
いえいえ、それほどでも~(^^)うっふん。
「でもその話は無理ね。うちは設立当初から女子校です。戦闘能力だけでなく、清く、正しく、美しく、気高い女性を長年輩出してきました。それなのに、もしドウラン校と合併したらどうなりますか?非常に言いにくいですが、そちら様の学校は不良学校と悪評が高いです。それに実力という意味でも王立魔法学院とセンチュリオールに大きく劣ります。普通に考えて、校長として許可することはできないとご理解してもらえますか?」
う~瀕死。
「いや、そこをなんとか・・・」
「学校を合併するというのはそんな簡単なことじゃないんですよ?」
「ですがこれが成功したら歴史的なことになるはずです。」
粘る俺にリーチェさんは深くため息をつく。
「でしたらまず学校のトップであるあなたの実力を私に見せてください。たまたま総長になった可能性も否定できません。自分の実力が分かったらそれで納得して帰ってくださいね。」
「・・・?はい、もちろんです!」
若干、俺を諦めさせるための提案というニュアンスを感じるが仕方あるまい。門前払いされなかっただけ良かったではないか。
♢
グラウンドまでやってきた俺達はリーチェ校長と向かい合った。てっきり、リーチェさん本人と手合せでもするのかと思ったが、どうやら違うようだ。少し待っていてくださいと言い残し、建物の裏手に姿を消したかと思ったら、どこからともなく大きなトラ?を連れてきた。
体長は4メートルを超え、前足と両肩が後ろ足よりも異常に発達している。何よりも特徴的なのが、上あごから伸びる2本の犬歯で、30センチはくだらない。そんな獰猛そうな奴がリーチェさんには猫のように懐いている。
「この子はこの学校の番犬です。もし一発でも攻撃できたなら、あなたが持ってきた話をまともに考えてみましょう。ですがもしあなたが負けた場合、先ほども言いましたがお引き取りをお願いします。今後二度と馬鹿げた話をしに来ないでくださいね。ちなみにですが、もちろん殺さないように指示を出しますが、やんちゃ盛りなのであなたの命の保証はできません。今帰っても恥ずべきことではないと思いますが、本当にやりますか?」
「も、もちろんです。・・・あの、ちなみに俺がこのトラ?を傷つけちゃっても罰せられるなんてことはないですよね?」
「・・・そうですね。もちろんそれができればの話ですが、、、、そんなことよりもどうやったら瞬殺されないか考えることをおススメします。」
・・・どうやらリーチェさんの中では俺が負けることは決定しているらしい。確かに今まで数多くの変質者を葬ってきたって様子だけど・・・
「準備はよろしいですか?」
「はい。」
「立会人はセンチュリオールの校長である私とドウランの校長・・・あとは・・・そうですね、頼んでいませんがうちの生徒たちが勝手に務めてくれるでしょう。」
どういうことかと校舎を見上げると、教室の窓からたくさんの生徒が顔を出していた。一体何をするのかと興味津々らしい。改めて見てみると、女の子ばかりなのでうちとは大違いだ。もう女の子からというより建物からマイナスイオンが出ている。思わず顔がニヤケてしまう。ビバ女子校!
「ちょうど一週間前に、我が校に侵入しようとしてこの子に食い殺された男もそんな顔をしていましたね。」
「え?」
「では始めてください。」
ブックマークありがとうございます。エネルギーになってます。
ねむねむねむ・・・Zzzz




