メロンちゃん
みんなと別れた後、俺はある開発に取り組むことにした。ああ、一応言っとくけど、もちろん魔物を買い取って貰ったお金は5人で等分してるよ。なんとゴブリンキングは大金貨40枚!つまり40万円ってわけ。みんなホクホク顔で帰っていった!気になる魔石についてはなぜか誰も話題に出さなくなった、ていうかみんな見なかったことにしたらしい。命がどうのこうの言ってたけど俺にはよく分からない、、、、
まあ、そんなことより、何の開発に取り組むかって話だけど、そう、それはお風呂だ。赤ちゃんの頃からお風呂もシャワーも無い生活をしてきたから、タオルで拭いたり、たまに水浴びするだけでも何ら問題は無いけど、やっぱり元日本人としての血が騒いじゃったってわけ。設置魔法と魔石の可能性を知ったことで、その夢はグンと近づいた。てかイケるかもしれないって閃いちゃった。
手始めに、職人を紹介してもらうためにダックスの家に行く約束を取り付けた。なぜダックスの家かって言うと父親が商会の会長だからね。コネクションか情報をもっているのではないかと。
ニッコニコのフードを被った子犬に連れられてやってきたのは、王都の中でも一等地にあるとても立派な家だった。噴水のある庭をぬけ、エントランスに入ると、立派な角の生えたシカの頭の置物?剥製?が壁から生えていた。真夜中に見たら不気味そうだけど・・・たしかに迫力はある。成金が好みそうなやつだ・・・おっと失礼。
出迎えてくれたのは一見すると30前ぐらいの綺麗な女性と5歳ぐらいのおさげの女の子だった。子犬顔なので間違いなくダックスママと妹ちゃんだろう。お金持ちになるとやっぱり綺麗な女性と結婚できるっていうね。うらやまちぃ。
「おかえり、ダーちゃん。」
「人前でダーちゃんとかいうんじゃねーよ。」
「あらごめんねぇ。学校のお友達かしら?」
「そうだよ。今年の首席のレオ。オヤジと話があるからお茶でも出してくれ。今日は仕事部屋にいるんだろ?」
「初めまして、レオナルドと申します。」
「あらこの子がそうなのね。ダーちゃんたらずっとあなたの事ばかり話してるのよ。とんでもなく強いんだぞって。身長もあって綺麗な顔してて、喧嘩が強いなんてすごいわね~。」
なかなか良いこと言うじゃないか。えへへ。
「いえ、自分なんてホントにまだまだですから。」
「もういいだろ。いこうぜレオ。」
「あ、ああ。お邪魔します!」
すれ違う時に、妹ちゃんにも挨拶をしようとしたが、恥ずかしがってママの後ろに隠れてしまった。しかし俺は見逃さなかった。あの子が、ママさんの足の隙間から見上げてきたのを。その年でもう上目使いをマスターしていることに感心してしまう。え?身長差のせいだろうって?もちろん違うね。
コンコン。
部屋に入ると40半ばくらいの優しそうなおじさんが何かの資料とにらめっこしていた。
「どうかしたのか?」
「今日は友達を連れてきたんだ。オヤジに少し相談があるらしい。」
「うん?」
オヤジさんの目が俺を捉えた。うむ奥さんより明らかに年上だ。一代で成り上がったわりに尖っていない。もっとギラギラしているのかと思ったが、話しやすそうな人だ。
「初めましてレオナルドと申します。」
「そうか。息子がお世話になっているみたいだね。」
「いえいえそんな。こちらこそお世話になってますから。」
「はははは、学校でのダックスはどんなかんじかね?見ての通り小さくて女の子みたいだからね。俺は男になるんだって言ってドウラン魔法学院を受けたんだが少しは成長してるかね?」
「おい、オヤジも余計なこと言うなよ!レオもそこ座っていいぞ。」
「お、おう。じゃあ失礼します。」
「それで今日、オヤジにレオが会いに来たのは、石工職人を紹介して欲しいからなんだ。」
「ほう?石工職人か。しかし・・・急に言われてもな。一応聞くがそれまたどんな理由で?」
「はい。えっと、まずお風呂という文化をご存知でしょうか?」
「オ・フ・ロ?なんだねそれは?」
考える素振りを見せてからお手上げだと言わんばかりに俺を見つめる。
「人が入れるぐらいの容器にお湯を溜めて寛ぐものなんです。一応イメージしやすいように絵を描いてきたんですが、、、、こんなかんじのものです。」
「ふむ。そんなものがあるのか。どれどれ。」
「はい。それでですね。その容器のことを湯船というんですが、それを石で作ってもらいたいわけです。」
「なるほど、それで石工職人か。」
「お金なら今のところ大金貨が40枚以上ありますし、毎月学校と冒険者ギルドから合計大金貨5枚給付されているので用意できると思います。」
「なに!?ダックスと同じ年でもうそんなにお金を持っているのかい?いやそれよりも冒険者ギルドからお金が支給されているのか!小耳に挟んだことがあるぞ。なんでも優秀な者にしか支給されないとか。」
「いえ・・たまたまです。」
だってあの時は対戦相手のモブソンさんが手加減してくれただけだし、そもそも人情で援助してもらえるのが決まっただけだもんな。まあ、これで話が進むなら勘違いしてくれた方が良いけど・・・
「うん。人柄も良さそうだし、石工職人を紹介してあげたいとこだけど・・・う~ん今うちは繁忙期でね・・・誰か・・・・う~ん・・・あ、そうだ。たまに仕事を委託する子がいるんだが、、、、その子はどうかな?物づくり全般が得意で腕も確かだよ。」
「お願いします!」
「よし、じゃあ紹介状を書いてあげよう。詳しいことは話し合って決めるといいよ。」
「はい!ありがとうございます!」
♢
受け取った紹介状と地図を頼りに街中を彷徨っていると小さな工房についた。ラ・セーヌという看板が出ているのでここで間違いない。こじんまりとしているが、木造で雰囲気が良い。
「すいませーん。」
ゆっくりとドアを開け中を覗いても誰もいない。部屋の中は、石や工具のニオイが漂っている。体育館倉庫のニオイにも似ているかもしれない。恐る恐る歩を進める。
すると奥から背の低い華奢な女の子が出てきた。顔は日本で言うところのタヌキ顔?もちろんいい意味で。めちゃくちゃかわいい。
頭にはタオルを巻き上下つなぎを着ている。所々汚れているし恰好からして職人の弟子だろうか?
「いきなり押しかけてすいません。レオナルドと申します。メゾン商会の会長さんから紹介していただきまして、あ、これが紹介状です。」
名前入りの紙を少女に見せる。
「ん。確かに。」
「それでですね、えーとメロンさんはいらっしゃいますでしょうか?」
「私だけど。」
「え?」
この若い女の子が代表なのか??
「あの・・・お父さんと一緒にやっているんですか?」
「いや。私一人。」
え?本当に大丈夫だろうか?少し心配になってきた。パパさんは腕は良いって言ってたけど、、、
「あ、すいません。」
「ん。よく言われるからいいよ。それで何しに来たの?」
・・・やっぱりそうなんだ。どう見てもただのかわいい少女にしか見えないもんね。工房の代表とは思えない。
「実はですね石で湯船を作って欲しいんです!」
「湯船?・・何それ?」
「熱いお湯を溜めておく容器みたいなものなんですが、イラストを描いてきました!」
少女は俺の下手くそな絵を凝視する。
「人間が入れる大きさなの?」
「はい!これに入って疲れを癒すんです。だから水が漏れない事と、石をはめ込む窪みが2つくらい、それと水を排出できる開閉タイプの穴が欲しいんです。」
「ん。用途がよく分からないけど、それなら結構簡単に出来るかも。」
「ほんとですか!!」
「ん。私ドワーフだから手先器用だし。一週間後にまた来て。」
「やった!」
「お金は石の材料費と工賃で大金貨5枚ぐらいかな。」
「はい!」
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メロンちゃんは今後も出てくる予定です。気が向いたらダックスの妹も出てくるかもしれません。笑




