漢字
閃いちゃいました。漢字です、漢字。詠唱文?魔法陣?そんなものクソでも食らえですね。私は一つも知りませんし。時代は漢字なのです!
ドパドパ沸き出すアドレナリンを抑えながら、ファイアーボールをイメージして『火球』と書いてみる。たった2文字!これだけ!ちょーお買い得!今ならたったの3千円!テレビを観ていただいてる方だけのスペシャル価格!お電話の方大変込み合いますのでお早めにお買い求めください!
っと・・・・冗談はシェイクスの眉毛だけにして・・・俺の推測が正しいなら、これでイメージを外部に留め置くことができているはずだ。設置完了、あとは魔力を流し込めばいい!
授業中であるということを忘れ、ていうか我慢が出来ずに魔力を流し込んだ。するとシュポっと音を立てながら瞬く間にファイアーボールが机から打ち出された。
ボフウッ!ジュウーーーー
「ヒっ!」
「あ」
運が悪いことに教壇で真面目に話していたネルソン先生の真横に着弾してしまった。アカン、アカンそんな目で俺の事見ないで!これじゃあ、まるで本当に不良生徒じゃん?オイ、お前の授業つまんねんじゃボケ~みたいな感じ・・先生に喧嘩売っちゃったよ~!どうしよう?
「あ、違うんです。手が滑っちゃって。」
違う違う!今のセリフも不良がよく使いそうな人をおちょくった言葉だ!間違えた!
「先生の話が興味深かったので設置魔法を試してみたら運悪く成功してしまっただけなんです!」
よし!これならどうだ?嫌味になってないよな??
「じ、じ、次回から気を付けてください。」
「はい、すいません。」
ただでさえ良い印象を持たれていなかったのに、より悪化しちゃったかも・・・。ホントにごめんなさい。でもこんなに簡単に成功するならあらかじめ言っといてくれれば良かったのに・・・え?反省してないんじゃないかって?・・・ハハハ、今の俺はテンションが上がっちゃってるからね。ハロウィンに渋谷に行くレベルだよ。
おっと、そろそろ落ち着かないとな。精神年齢はおっさんなんだからな。
まあ、ハプニングはあったけど気を取り直してだな・・・・漢字による設置が成功しちゃったのだ!ここにきて初めて元日本人としての知識が直接的に役に立ったってわけ。ふふふふふ!学生時代はテストの度になんで母国語が英語じゃないんだ!って思ったもんだけど、日本サイコー!表意文字さまさま。
もう少し実験してみたいとこだけど・・どうしようかな、ある程度広くて人が居ない場所でやらないとな。となると、どうせなら冒険者ギルドで狩りの依頼でも受けつつってのが良いかな。あ、そうだ。俺が作った設置魔法を他の人が使えるのか実験もしないといけないな。
「ルーク?今日の放課後ヒマなら狩りにでも行かないか?」
「ん?ああ、いいよ行こうか。」
「何だそれ!もちろん俺も行くぞ!」
ダックスが子犬のような目で訴えかけてくる。キラキラしててかわゆい。首輪でも付けてお散歩したいぐらい。
「よし、じゃあ一緒に行くぞ。」
「フッ仕方ないな高貴な身分の俺も行ってやるよ。」
聞き耳を立てていたシェイクスがなぜか上から目線で口を挟んできた。なぜだ?お前は俺の事が好かないんじゃないのか??
「え、別に頼んでないんだけど・・・」
「なんだと!?貴族の俺が行ってやると言っているんだ!ありがたく思え!」
「分かったよ。仕方ないな。」
これで4人だな。そしたら4人ですぐ出来そうな依頼を探さないとな、何が良いかな。
ん?
ふと後ろから視線を感じたので、振り向くと短髪の大男と目が合った。アンドレアだ。だが何も言ってこない。ただ俺の目を見つめてくるだけだ。圧がすごい圧が。これは誘った方が良いのかな?
「いく?」
「ああ。」
口数は少ないがこーゆーのには参加してくれるようだ。これで5人。その後、結局クラス全員に声をかけたが他の5人は用事があるらしくて、このメンバーでで狩りに出かけることになった。なんか放課後遊びに行くとか学生っぽくていいよね!
♢
授業が終わってから、一度冒険者ギルドに顔を出し、ホーンラビットの討伐依頼を受け森までやってきた。まあ森って言っても、人が踏み鳴らして出来た道があって平らな場所なんだけどね。
「この辺でいいかな。」
人の気配もしないしロケーションもバッチし。
「何がだい??まだホーンラビットは見つかってないけど?」
「いやちょっと実験したいことがあってさ。」
「?」
4人の視線を感じながら、地面に設置魔法を描いていく。範囲を指定して『土壁』っと。
「んん?なんだそれは?読めないぞ。」
「いいからいいから実験だからさ。誰でもいいんだけど、これに魔力を流し込んでみてくれないか?」
「ハッハッハ!なんだこれは?子供のお遊びの方がまだマシだ。俺は君が失敗するに白金貨1枚をかけるよ!」
「う~ん、そうだな、、、これは設置魔法なのか?いくら主席のレオナルドとはいえ、これで発動するわけないと思うけど・・・」
そう言ってルークが魔力を流し込んだ。すると俺が意図した通り、ズズズズズっと地面の砂が隆起し2メートルぐらいの壁が出来上がった。
「「ええええぇぇぇぇ!な、なんだこれ!?」」
よしよし!成功しちゃったよ。うふふ。俺が設置した魔法でも、使用するだけなら誰でも可能!これでみんなからハブられずに済むかも。もし俺だけしか使用出来なかったら、設置魔法の一つも出来ない落ちこぼれって言われちゃうもんね。良かった良かった!
・・・って思ったけど・・・・アレ?
イメージしたよりこの土壁もろそうだな。ツンツンしたらすぐ崩れてしまいそうだ。しかもルークの呼吸が、さっきまで普通だったのに乱れちゃってる。なんで??やっぱりこの世界では漢字は通用しない不良品なのかな?
「おい、レオナルド!一体どれほど高度な設置魔法を施したんだよ!おかげで魔力がガツンと持ってかれたよ!」
なに!?そうかそういうことか。この魔法の完成度は魔力を流し込んだ人物のレベルにもよると。だから呼吸が乱れてるのか!これは改善の余地アリだな。
「そもそも、あんな文字なのか図なのかよく分からないもので、なんで設置魔法が使えるんだ!?普通は長い詠唱文か魔法陣を描かなくちゃいけないはずだ!」
4人とも信じられないといった表情で口をパクパクさせている。無表情な大男アンドレアまでもだ。えっへん。みんな漢字の素晴らしさを分かってくれたかな?とはいえ、説明しろと言われてもね・・・・・前世の記憶があるなんて言えないしな・・・頭オカシイ奴って思われちゃうでしょ?う~ん。
「そんなに驚かなくても・・・なんか閃いたんだ。」
「レオナルドは今のがどれだけすごいことか分かっていないんじゃないか?長い魔法の歴史においても革命といえる出来事かもしれないぞ。世間に公表したら確実にルベーノ賞ものだよ、あんな短い文字で済むなんて。あれは一体何なんだ?」
ルベーノ賞ってなに?ルベーノ、ルベーノ。ああ、逆から読めばいいの?ギャグなの?
ものすっごい剣幕でルークが俺の両肩をユサユサしてくる。おかげで俺の頭はグデン、グデン。あ~れ~ってかんじ。革命とか言われてもね・・・そんなわけないでしょ・・・どうしよう?一から説明しようとしたらそもそも俺が魔法をイメージで行使してるところから言わないといけないし、そしたら詠唱文を一つも知らないおバカさんだとバレちゃうでしょ?
「いや、・・・なんて言うの?インスピレーションだよね。」
「なるほどな!よく分かんねーけどすげーなレオ!」
小さなダックスが声を上げる。かわいい。うふ。
「これにできるんじゃないか?」
「ん?」
珍しくアンドレアが自分から口を開いたかと思うとポケットから白い丸石を取り出した。プリズム石だ。
「そうかもしれないぞ!普通は小さくてそんな石に設置魔法を施すことは不可能だがさっきのアレなら出来るかもしれない。そしたらただのゴミだと思われていた魔石にも・・・??それこそ本当に革命だぞ!」
「そんなおおげさな・・・」
ブックマークありがとうございます!ハッピーです!(@^^@)
最初の方に更新のペースはそのうち調整しますって言ったと思うんですけど、結局毎日投稿しているような・・・どうしよう・・・




