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第五章:第十四話

 約五十体ものオーク集団を討伐することに成功したディレット達は、その『スカーレットハート』を全て得て、今回の依頼達成数である三百個を大きく上回り取得することが出来た。

 今回の依頼に関しては貯蓄していた『スカーレットハート』を使う予定であったが、反して貯蓄する形となった。

 これにより、すぐに『ニニギの街』へ帰ることもできるのだが、日は一日置いてからとしてキャンプ地を後にした。これは絢火達との待ち合わせた日、もともとの予定してた帰還日であった。

 一日くらい、早めに着いて休んでも良かったかも知れないが、それは今度の依頼時に調整すれば良いとした。


 数日後。


 『ニニギの街』へと帰ってくると、その足でいつも通り討伐者組合館へ寄り、順番がきて個室へと入り『スカーレットハート』など納品作業を済ましていく。

 担当するのはいつもの男と二人の補佐。

 納品作業にきているのは、ディレット、アディルト、ゼフで他の者達は建物の外で待っていた。


 『スカーレットハート』の品質には問題なく、依頼は無事完了。

 その他の買い取ってもらいたいモンスター素材などを提示して鑑定をしてもらう。


 まずは、死亡していた六個の『討伐者のタグ』が銀貨六枚。

 タグを渡す時、討伐者組合館の職員たちは、遺族でもなんでもないのに深々と頭を下げディレット達に礼を言ってタグを受け取っていた。


 二つ目、ケリュネイアの『黄金の角』、『金属の蹄』に関しては、

 金貨四十枚と銀貨十六枚。


 三つ目、オークから頂戴した十本の剣と三本の槍に関しては、

 銀判貨五枚。


 最後に、四体分のダムダムタイガーの素材(皮)は、

 銀貨百四十枚。これは大体三割ほど値引かれている値段となった。

 値引きされた要因としては、持ち込んだ素材は原形をとどめていない、綺麗とは言えない物もあるので、「そんなものだろう」と素直に示された金額に了承した。


 討伐者組合で換金する物に関してはこれだけだが、今回は他にも収入となるものがあった。


 討伐者クライド達をオークの群れから助太刀した報酬、

 銀貨百三十六枚。


 絢火達と契約した一ヶ月間の食費代、

 銀貨五十六枚。


 これらの合計と今回の三百体討伐報酬を合計すると、

 金貨五十九枚と銀貨二枚となった。

 これに今回のパーティ費用である金貨一枚と銀貨約六十枚を引いて七人で割ると、

 一人当たり金貨八枚と銀貨約二十一枚となる。

 今回の報酬だけであった場合を考えると一人当たり金貨約二枚。

 大体四倍以上の報酬が今回の依頼のみで手に入ったことになった。

 


 ◇



 報酬を受け取り、討伐者組合館を後にアマラ館へと帰ってくると一時解散をして各々散らばっていった。

 この後、いろいろと個人作業を終わらすと、いつも通りに打ち上げをするのだが、今回は少しいつもと違い、作業を終えた者たちが順次、待ち合わせに指定したロビーへ来ると久しぶりの顔を見ることになった。


「あっ! ディレットさんが来たリ!」

 そう言うと同時にコモモは、着ているモモンガを模した着ぐるみの皮膜を広げ、歩いて向かってくるディレットの胸に目掛けて飛んでいく。

 胸へとしがみつく予定であったコモモだが、空中途中で『パシッ』と、ディレットに両手でキャッチされた。


「リ?」


 ディレットとしては、コモモであろうと、まだ気を許せていないものが胸にいきなりこられるのは緊張が走るので反射的な反応であった。


「お久しぶりですリ。元気そうでよかったリ」

 ディレットの両手の中、コモモは笑顔で言う。


「ああ、ひさしぶりだな。コモモ」

 ディレットは、淡々とそう言った後、シバグリと絢火が座っている席へと移動して軽く挨拶をしていった。


「今回は、お招きありがとうッス。ディレットさん。ほんとうにアッシらも打ち上げに参加してもいいんッスか?」


「絢火達からも聞いたと思うが今回は、いろいろと金が入ったからな。

 シバグリには頼み事もしているし、あまり気にしないでくれ。

 費用として、軽くでも金を受け取ってくれると俺としもいいんだが……」


「いいッスよ。頼み事といっても特に何かするわけでもないッス。少し気にかけて、何か変わったことをお知らせするだけのことッスから」


「何か必要な費用とかあったら遠慮なく言ってくれよ」


「ハハハ。アッシは金に関してはちゃんとシビアッスから、その時がきたらちゃんと頂戴するッスよ」


「そうか。じゃあ、まあ、今日はただ楽しんでくれ」


「ええ、ご馳走になるッス」


「リー! いっぱい食べてもいいリ?」


「かまわないが――身体を壊すような食べ方はしないようにな?」


「だいじょうぶリ!」


「ほんとうか?」


「ほんとうリ!」


「…………」


「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。コモモも自分のことくらいわかるでしょ――って、ディレット達こそ羽目を外しすぎないでよね?」

 と、絢火がディレットとコモモの会話に入ってきた。


「それは、あそこでまとまっている――特にあの二人に言ってくれ」

 そう言って少し離れた場所で座っていたビスクとクーアに視線を向ける。

 ビスク、クーア、ゼフ、ヒャラルラは、和恵、紗奈、一華と別席にいて机を囲み何か話しているようであった。

 ちなみにヨーンズとアディルトはまだ作業を終えていないのか、この場にはまだ見受けられない。


「ん? どうした? そんな熱視線で見つめられても困っちゃうよ」

 視線に気づいたビスクがディレット達に向け話しかける。


「今、俺とビスクで和恵達にオーク戦の時を話してるから後でな!」

 と、クーアがそう言うと和恵、紗奈、一華との会話にビスクとクーアは戻った。


「そういば、ディレットさんはオーク戦ではすごい光ってたってビスクさんが言ってたリ。大活躍だったリ?」


「その話か……実際にはそんなに光ってはいなかったらしいぞ……」


「ディレットは物事を少し抑えて言うことがあるからなー」


「ん? 違うぞ? なにか思っていることに齟齬を感じるんだが……」


「すごいリー。アッチもモンスターをバシバシ倒してみたいリ!」

 と、コモモが『えいやー』といった感じにパンチを繰り出していると、クーアとアディルトが揃ってディレットのもとへとやって来た。

 

「俺達が最後のようだな……」


「待たせてしまったようですね」


「問題ない。俺もそんなに待ってないから」


「リッ!? アッチ達はいっぱい待ってるリ。もう、お腹も『ペコペコ』リ! ディレットさん、そろそろゴハン食べに行こうリ!」


「ああ、そうだな。じゃあ移動しよう――ってどこへ行くんだ? 絢火」


「うん。みんな集まったことだし移動しようか――」


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