第三章:第一話 ※前書きに簡単な『おさらい(第一、二章)』があります。
第一、二章の『おさらい』を簡単に書いておきます。
おさらい:
1:主人公の名前は、ディレット・パレット(テパレス種族)。
空間、雷の魔法属性を持っている。
2:宿泊場所を討伐者達専用である『アマラ館』に決める。
3:ビスク(人間種族(転生人))、アディルト(ダークエルフ種族)、ヨーンズ(人間種族)がパーティメンバーになった。
4:戦闘のために、いろいろと道具を買った。薬類、食料など。
5:討伐依頼をこなすため『討伐者の村』へとやってきた。
6:一夜明け、いざ、討伐開始。←ここから始まります。
※※※※※※
各章を顔文字でまとめてみるとこんな感じかな・・・・・・?
プロローグ:(´・ω・`)
一章:( ・`ω・´)
二章:( ・`ω・´)、( ̄ー ̄)、(〃^▽^〃)、( ̄π ̄)
『下位モンスター多発転送地帯』では、定期的に整備されているわけでは無いのに草の茂り、虫の発生などが少ない。
これは、『羅生木』と呼ばれる特殊な樹木をこの一帯に人工的に植えられていることが関係している。
この『羅生木』が放つ芳香により、植物、微生物などの活動を抑止する作用があるためである。
『羅生木』は、『下位モンスター多発転送地帯』全体に満遍なく植えられているわけではないが、茂る草などが少ないので見た目は、スッキリした空間に感じられ討伐作業の助けに繋がっている。
◇
昼前。
ディレット達は、討伐者の村から出て東北に進んでいた。
現在の位置は、『下位モンスター多発転送地帯』の『深度三』の位置にいる。
この『深度』は、『下位モンスター多発転送地帯』を囲むように外側の四方に魔法測定器が設置しており、それを『モンスター地帯深度計』という五センチサイズの長四角いアイテムを使うことにより、視覚で知ることが出来る。
『深度』は、外側から一から始まり中心地に一定距離を進むことにより、数値が一ずつ増えていく。
討伐者の村は、『深度三』に近い二の位置にある。
『深部』へ進み。『深度』の数値を高めてもモンスターの転送頻度が高くなるというわけではない。
また、『最深部』へ行ったとしても何か特別なものがあるわけでもない。
ただ、『深部』へ行くと討伐へ向かう討伐者が少なくなっていくので、必然的にモンスターと出会う可能性が高くなる。
また、討伐から逃れたモンスターが集まり集落を作っている場合や何か溜め込んでいる場合もある。
なので、討伐者が『深部』へ向かうのはモンスターのエンカウント率を高めるためや、モンスターが宝を蓄えている可能性があるので、その宝を頂くためが一番の目的となる。
この他にも特別な野草、鉱石、動物などが存在するが、これを確保するなどするのは、主に冒険者の仕事である。
――アディルトは、今の『深度』をディレット達に知らせると『モンスター地帯深度計』を自分のポーチへとしまう。
「その、『モンスター地帯深度計』って他に何か知ることは出来んの?」
と、ビスクがアディルトに声を掛けた。
「そうですね……方位を知ることも出来ますよ。
それと、他の地帯に行ったとしても、調整器を変えることによってここだけで使う物に、なることはないので、無駄にはならないと思います。
皆さんも一応、持っていた方がよいのではないでしょうか」
◇
しばらく時が経過しても一向にモンスターと遭遇せずにいるとヨーンズは、誰ともなしに声を出す。
「――しかし、もっとモンスターが跋扈していると思ったが、まったく合わないな……」
「そうだな、一時間位捜せば遭遇すると思っていたが、かれこれ二時間捜しても遭遇しないとは……
たまたま探す場所が悪かったのか?」
「そうですね……
運というのもありますし他の討伐者も近くにいるってこともあります。
ただ、それ以外の要因もあると思います。
例えば、モンスターは人に遭遇、認識すると襲いかかってきますよね。
ですが、遭遇前は慎重に辺りを警戒してもいるそうです。
モンスター同士も仲が良いというわけではないそうなので、そちらを警戒していることも理由としてはありそうですね。
集団性を持つモンスターは、独立してバラバラにいるのではなく、纏まって行動をしているので、その分も遭遇率は低くなります。
こういったことから、なかなか遭遇しないのかも知れませんね。
とは、いっても警戒を怠ってはいけませんよ。
本当にいつ、あらわ……れましたね……」
アディルトが、喋っている途中、ゴブリンの集団を発見する。
ゴブリン達の方がどうやら先にディレット達を発見したようで、
前方から地面に落ちている草木を蹴飛ばしながらディレット達に向かってくる。
【ゴブリン】
集団性を持つモンスターであり、体の作りは人間種族に似ていて平均身長は、人間種族の小さな女性くらい。
目玉が飛び出しているような顔、モヒカンのような髪型、肌が緑色の特徴を持つ。
六体で一組として行動していることが多い。
防具は半裸の場合などが多いが、布、動物の皮などを装備しているものもまた多く、たまに金属製の物を装備している場合もある。
武器は剣、ナイフ、弓矢、スリングなど様々だが、ナイフ、短剣を装備していることが多い。
◇
ゴブリン達との戦闘まで、数秒だが時間があるので、ディレット達は急ぎ戦闘準備をする。
まず、ディレットは収納空間からメインウェポンであるパルティザッシュ[鋼]を手にした。
【パルティザッシュ】
その槍の形状は、突きを想定したものではなく、斬ることを想定したもの。
大刃そのものを持てるようにした形状であり、刃の内に槍の柄がついている。
その柄を持ち剣のように斬ったり、槍のように伸ばし突いたりして扱う。
細かな彫りがしてあり、軽量化のためか、ところどころ小さく細い穴が空いていたりもする。
色は、銀色の一色。
◇
ヨーンズは、腰に下げていた一刀の太刀[鉄]を抜き構える。
ビスクとアディルトは、手に持っていた複合棍[鉄]と速陣の筆[術式Ⅰ]を構えた。
次に、ディレット達は『アの力』を使い『ラステム』の力を発動する。
これにより、『力』、『速さ』などの戦闘に必要なステータスの上昇効果を得ることが出来た。
ディレット達は、互いに距離を取り、フォーメーションを整える。
そして、ヨーンズとビスクは《プロテクションゲル[Ⅰ]》を発動した。
【ゲル】
魔属性二十一あるなかの一つで、
この属性は人類ならマナと同じく誰もが基本扱える。
主に使用するのが《プロテクションゲル》で、
これは発動すると体の周りに透明な揺らめきのようなものが体を包みこみ敵からの物理攻撃、魔法攻撃から体を守ってくれるもの。
《プロテクションゲル》のことを短縮して『ゲル』と呼んでいる者もいる。
他にも複種類のゲル魔法が有り、○○ゲルとなるとこの属性に関係したものを指すことが多い。
《プロテクションゲル》にも効果の大小を決めるランクがある。
ランクを上げると防御力も上がるが使用MPも上がるため、
『MILV(Magic・Invocation・Limit Value:魔力発動限界値)』というステータス項目が関係してくる。
これは、陣魔法などの発動する時、その魔法ランク値が『MILV』ランク値の以下でなければ扱えないというもの。
例としては、
ファイヤーボール[Ⅱ]を発動したくてもアビリティスキルの『MILV』がランク値[Ⅰ]の場合、発動は出来ない。MILV[Ⅱ]ならば発動出来というもの。
他にもアビリティスキルで関係するものが『器用』、『サバイバル』などがありこれらを取得、ランクを高めたりすることにより扱えるゲル魔法の種類が増えていく。
大抵のものは、『常用魔法』として分類される。
条件が整えば頭に呪文名が浮かぶというものではなく、どういったものかを知る必要もある。
本で知ってもよいし、実際に見たり、口頭(割と具体的)で聞いたものでもよい。
そのあと扱えるように訓練が必要となる。すぐに取得出来るものや出来ないものと分かれもする。
このような方法で取得した場合、『頭脳』値は占有しない。
物理攻撃には、『斬撃』、『打撃』、『弾丸』と三つの属性がある。
《プロテクションゲル》は、
『打撃』と『弾丸』に対して耐性があるが、『斬撃』に対しては極めて引くい耐性である。
なので、剣などの斬撃属性があるもので切られるとランクが低い《プロテクションゲル》の場合、意味をなさないものとなるので戦闘ではより一層の注意が必要となる。
◇
「――ゴブリン六体だ! 俺とヨーンズで端からやるぞ! ビスク、アディルトは中央を!」
ディレットは、奇襲と初戦によって緊張をしている者のために、頼もしさを感じさせるよう大きな声で簡素だが指示を出して、頭を戦闘用に切り替えさせる。
指示を終え、最後に「いくぞ!」といって、
ディレットとヨーンズは、一度互いの顔を見て小さく頷いた後、木を掻い潜りながら左右から弧を描くようにゴブリンの集団へと向かっていった。
そして、アディルトは『速陣の筆』と共に両手を突き出す。その先で魔法陣の展開作業が始まった。
【速陣の筆】
『展開短縮』を補助する道具。
通常状態では、先端に窪みがある棒のような物だが、マナを流し陣を描画しようとする時、マナの線が窪みから映りだして筆のように見える。
◇
陣の描画が始まり、魔法発動までにかかる時間の『展開時間』は、各陣魔法の種類とそのランク、ステータス『展開短縮』に関係する。
陣の描画は、通常、体からのマナ放出や陣描魔具などを通して描画を行う。
詠唱での魔法陣を描画する補助もあるが、これはとても高い知識、技術を必要とする。
また、陣魔法名を唱えることは詠唱の一部に入り、わずかだが『展開短縮』の補助に繋がる。
よく『転生者』、『渡界者』が初めて陣魔法を発動する者を見た時、
「無詠唱かよ、すげー!」と、言うものがいるが、
『シューレムア』界では、基本『展開短縮』の関係を抜きにすれば、詠唱を行える者のほうがすごい。
◇
「……《ファイヤーボール[Ⅰ]》!」
アディルトは、陣魔法の名称を唱えると共に魔法陣が完成した。
マナで描かれた魔法陣から火球が飛び出す。
放たれた火球は、直線を走りゴブリンの集団へと向かった。
迫りくる火球を目にしたゴブリン達は、それぞれ左右に回避をする。
だが、避けきれなかった中央一体の顔面に《ファイヤーボール》が命中し、ゴブリンの顔面が炎に包まれる。
「ぎゃっ! ぎゃがががっ――――」
苦しみ悶えるゴブリン。
そして、数秒、悶えると地面に崩れ息絶えた。
――炎によってゴブリンが息絶えようとする頃、
左右から走り向かっていたディレットとヨーンズが、ゴブリンとの戦闘に入った。
ディレットは、その大刃槍でゴブリンの抵抗などないように簡単にゴブリンの首を刎ねていき。
ヨーンズは、素早い連撃でゴブリンを圧倒して斬り伏せていった。
そして、残るゴブリンは一体。
ディレットは、ビスクに譲るようヨーンズとアディルトに視線を送った。
――ビスクは、ディレットとヨーンズが戦闘に入った段階で自身も戦闘に加わるべく前にでて、一体のゴブリンと戦闘に入っていた。
果敢に攻撃を振るっていたが、その攻撃はゴブリンにまったく当たらなく、ビスクは焦っていた。
だが、ディレットとヨーンズの二人がゴブリン達を倒していき一体のみになったとき、残った一体のゴブリンに大きな隙ができる。
その隙を見たビスクは、大きく振りかぶり渾身の一撃をゴブリンに叩き込もうとする。
「! ――ッウオオオォォォ!!」
ビスクの奮い上げた声と共に振るわれた棍棒は『バゴォッ!』っと見事にゴブリンの体に命中した。
「ぐぎゃ――――っ!」
棍棒先端の鉄塊をもろに食らったゴブリンの体は拉げ、軽く宙を飛んでいってゴブリンは絶命する。
「っ! おおっしゃーーーっ!!」
ビスクは、渾身の一撃が決まり、興奮から雄叫びを上げた。
そんな、ビスクを見た後に。
「……ハイハイ、戦闘が終わったら次は、素早く『スカーレットハート』を取り出すぞ。
後、そんな一撃だと『スカーレットハート』が、壊れたりするから頭を狙う様にしてな、壊れたら討伐の証に入らないらしいから」
と、ディレットは『スカーレットハート』を取り出すように言いながら槍を振り、血肉を払う。
軽くタオルで武器を拭き収納空間へとしまった。
そして、腰にあるナイフを抜き『スカーレットハート』の収集作業を始めた。
「……もっとしんみり、この高揚感を味わいたいけど、こんなものなのかな――」
と、言いながらビスクも収集作業を始めた。
◇
数分かかり収集作業を終えるとディレット達は、ゴブリンの死体を一か所に集めだした。
ゴブリンの死体や装備は、少額で売れるが手間を考えると売りたいとは思わない。
ディレットも収納魔法に余裕があれば売ってもいいと思うが、めんどくさい。なので死体の処理をする。
このまま放置しておくと腐敗臭などで迷惑するのは自分たち討伐者だからだ。
処理といっても簡単なもので、そこら辺にいる野生の『スライム』を捕まえて死体に置いておく。
それだけで、スライムは死肉を勝手に食べてくれる。
スライムがいない場合の処理は、土に埋めたり、燃やしたりする。
なので、瓶や袋などにスライムを確保しておくのも討伐者としては一般的である。
今回は、ディレット達の中でスライムを持っているものが誰もいないので、まずはスライム捜しから始まる。
【スライム】
モンスターではなく、『シューレムア』界の生物。
雑食であり金属系も腐食させて食べてしまう。
透明なジェルのような弾力のあるものの中に赤い粒が複数点々とある外見的特徴。
生息場所としては、この葉の裏、木陰などにいることが多い。
人が素手で触るとただれたりするので、枝や葉っぱなどで触るほうがよい。
スライムは、ものを食べ成長して大きくなるが、
一定の大きさになると分裂するので人の脅威とまではならない。
◇
――数分後、見つけたスライムをゴブリンの死体に置いた。
割と多く見つけることが出来たので一部を小さな瓶に確保して、ディレットの収納空間にしまった。
収納空間には魔力抵抗をするものは入れることが出来ない。
スライムも微かにマナを持っていて抵抗する場合、格納することは出来ない。
だが、刺激を与えなければ魔力抵抗はしないのでしまう事が出来る。
この日、モンスター討伐は、この一組としか遭遇できずに終わり。
後は、地形の把握や焚き木を拾ったりして、
ディレット達は討伐者の村へと帰っていった。




