第47話<秋の始まり>
ひと吹きの風が吹いて、窓がガタガタと音を奏でる。今までは夏が、占領をしていたがここ最近では、秋が夏を追い出そうとしている。秋の風が、それを象徴しているように。
時計はいつも正しく、一定の間隔で時を刻み続ける。この部屋の中では時計が時を刻む音しか聞こえないくらい、静かだ。
俺はアリミスの頭を撫で続ける。
アリミスは目を少し擦り、顔を上げて、俺に照れ隠しの笑顔を見せてくる。
その笑顔がまた、男心をくすぐられる。
「頭を撫でてくれて、ありがとう」
泣き止んだアリミスが微笑みながらそう言ってきた。俺は撫でていた手をアリミスの頭から離して。
「そうかい。ま、頼まれたらいつでも撫でてやるよ」
「むぅー。子供扱いしないでよー」
アリミスは少しだけ頬を膨らませている。
「子供扱いすんなって言われてもなー。身長とか低いし、がっつりロリって感じだからなー」
「それは、偏見だよ」
「まあ、そうなんだが、・・・やっぱ無理だわ。ロリはロリだし」
十二歳って、小六と中一の間らへんだろ。もう完全に俺の中のロリ神様が、ロリ認定しちゃってるもん。
アリミスは膨らませていた頬から、息を吐き出し。
「私だって、あと二年で結婚出来るもん」
「・・・ってことは、この世界では結婚は十四歳からオッケーなのか」
ていうことは、ハルとイノリは結婚出来る歳なのか。じゃあ、いつ、急に結婚しますとか言い出してもおかしくないってことだよな。パンパカパーンとかしながら結婚式をするんだろうな〜。俺って、招待されるのかな?招待されるよな、パーティ組んでる仲間だし。・・・招待されてなかったら、シャレにならないレベルで、俺落ち込んじゃうぞ!
アリミスは俺の顔を見ながら、首をひねったりするが、ゆっくりと椅子から腰を上げると。
「もう夜の九時なんだけど、夕食はいるかな?いるなら、持ってこさせるけど」
その言い方からすると、もう皆は夕食を済ませたみたいだな。
「ん〜、そこまでお腹空いてないから、いらないよ」
「分かった。それじゃあ、お風呂まで案内するね」
アリミスはそう言って、ドアノブに手をかける。
「よろしく・・・」
俺はベッドから脱出して、アリミスと共に部屋を出た。
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俺はアリミスに案内されて、青色の暖簾がかかっている、脱衣所の出入り口の前に立っている。
青色の暖簾が男湯ということであろう。横に、赤色の暖簾がかかってる、脱衣所の出入り口があるし。
ということから、横は女湯という事が容易に推測出来る。
「ここが、男湯だから。・・・はい、バスタオルと小さめのタオル」
「おう、サンキュー」
俺はアリミスから、ふわっふわのバスタオルと小さめのタオルを受け取り、青色の暖簾を潜った。
脱衣所は広く、沢山の棚があり、殆どの棚が衣服などで埋め尽くされていた。
いや、衣服というよりは、召使いや使用人の服だ。
「空いてるとこは〜と、・・・」
俺は空いている棚を探していると、棚数が少ないが、客人用と書かれた棚があったので、そこに服を放り込むことにした。
脱衣した俺は、腰にタオルを巻いて、ドアを開けると、目の前に広がるのは、湯けむりが凄い露天風呂だった。
「え、お風呂っていうもんだから、大浴場とかかな〜って思ってたんだけど、・・・」
雨の日とかどうするんだ。
俺はとりあえず体が冷えてきたので、湯に浸かろうとすると。
さっきまでは、湯けむりが凄かったので、気付かなかったが、裸の男達が一箇所に集まって群れを作り、木の壁に耳を押し付けている。
俺は湯に浸かるが、男達が俺に気付く様子もないので。
「あのー、何してんすか?そんな必死な顔色で」
俺がそう言った瞬間に、一人の年若の人が群れから出てきて、いきなり俺の口を塞ぎ。
「問題ないです。・・・皆さんは続けて下さい」
男達はそれを確認すると、再び木の壁に耳を押し付ける。
「・ぁ・・ん・・・ふぁ・・・」
俺はあまりにも急なことだったので、口を塞いでいる手を剥がそうとしていると、俺の口を塞いでいる男が。
「外してやるから、一旦黙って俺の話しを聞けよ」
「・・・・・・・!」
俺は必死に頷く。
すると、口を塞いでいた手が外され。
「・・・・ふぁ〜。驚いた〜」
「よし、まず始めに伝えておくが、召使いや使用人の中にも、上下関係が存在しているのだが、風呂ではその関係は無しにして、皆平等というのが俺達の掟なんだ」
「はぁ、そうですか・・・」
「そうだ。で、客人だからといっても、俺達と一緒に入ってしまったからには、同等として扱わせてもらうからな」
男は俺の顔を見ながら、必死に話してくる。
なんでそんな必死なんだろう。ま、面白そうだし・・・。
「分かりました!」
「こら、声が大きい。静かに」
男は俺にシーっと言ってくる。
ああ、はい。大きな声は出しちゃいけないのね。
にしても、あの必死な表情から察するに、よっぽど大事な事なんだろう。まあ、はたから見れば、裸の男達が群がって、必死の形相で壁に耳を押し付けてる、変態集団なんだけど。
・・・・だれ得なんだろう。
「あのー、何してんすか?」
「ああ、まだ話してなかったな。因みに、俺達は、あの木の壁が憎いんだが、壁の向こうには何があると思う?」
「そうすっね〜、・・・・はっ!」
俺は気付いてしまった。あの壁の向こうには、裸体の女達がいる。
「気付いたようだな、そう女湯だ」
男は得意げに答える。
俺のテンションは上がっていき、止まらない。
「風呂では、誰でも気分が開放的になるのは、分かるよな?」
「ああ」
「そこで、開放的な気分になった女達は何をし始めると思う?」
俺は腕を組みながら考える。
開放的、開放的、開放的、女、開放的、開放的、裸体、開放的、プレイ、開放的、開放的、開放的、開放的
「・・・ふっ、分かった。開放的になった女達がすることは、えっちい事を音を出しながら、ばんばんヤルんだろ。つまり、男達はそれを聞いて、今晩のオカズにでもしてるってことだろ」
我ながら完全解答だと思うのだが・・・。
「すまん、俺が悪かった。答えはガールズトークな」
男は苦笑いをしながら、若干俺を引いてる。
「・・・そうですか」
「いや、まあ、・・・あれだ、・・・男は皆そんなもんだから・・・。変態でもいいと思うぞ。・・・発情期なら、・・・尚更仕方ないよな!」
男は俺をフォローしてくるのだが、なかなかフォローされてる気になれないのは何故だろう。
俺はお湯を見つめながら、弱々しい声で。
「別に、・・・発情期じゃないですから。まだ、・・・先だと、・・思うんで」
秋の風が吹き荒れ、俺の皮膚に突き刺さる。秋は少し悲しいイメージが俺の中には、あるんだ・・・。
男は俺を見て、フォローの仕方をわちゃわちゃしながら、考えているが、沈黙が流れる。
俺はフッと少し笑って空を見上げて。
「・・・・・・・・秋ですね」




