プロローグ
かなり短めです。
画面の中の街は、静かに動いていた。
整然と並ぶ建物。
無駄なく繋がる道路。
資源の流れは滞りなく、住民は穏やかに暮らしている。
右上に表示された数値が、ゆっくりと変化する。
木材:1,042
石材:889
食料:2,310
人口:312 / 350
「……悪くない」
椅子に深くもたれかかりながら、俺は呟く。
これはただのゲームだ。
都市開発シミュレーション。プレイヤーは領主となり、街を運営する。
だけど、この画面の中の方が……どうしようもなく“現実的”だった。
「倉庫、もう一マスずらすか」
カーソルを動かし、建物を配置し直す。
それだけで物流効率が改善される。
資源の流れが滑らかになり、無駄が減る。
ほんの少しの調整で、全体が良くなる。
——当たり前のはずなのに。
「現実は、こうはいかないんだよな」
思わず漏れる。
人生は、こんなふうに“配置し直せない”。
ミスをしてもリセットはできないし、最適化なんて出来るわけもない。
スマホが震えた。
通知の内容は見なくても分かる。
【家賃滞納 最終通知】
「……知ってるって」
力なく笑う。
働いてはいる。
何もしていないわけじゃない。
ただ、うまくいかなかった。
仕事も、人間関係も、将来も。
全部中途半端で、全部微妙で。
気づけばこうなっていた。
「……はあ」
息を吐く。
画面に目を戻す。
そこには、自分が作った世界がある。
無駄のない街。
誰も困らず、ちゃんと回る仕組み。
誰も理不尽に振り回されない、理想的な社会。
「……こっちの方が性に合ってるな」
俺はたぶん、“生きる側”じゃなかった。
“世界を作る側”が良かったんだ。
夜。
コンビニへ向かう道を歩いていた。
冷たい空気が頬に触れる。
それでも頭の中はさっきの都市のことでいっぱいだった。
もう少し農地を分散させた方がいい。
輸送路も微調整できる。
「……まだ改善できるな」
無意識に口にしていた。
その瞬間。
視界が白く染まる。
顔を上げる。
真正面から、トラックが突っ込んできていた。
「……あ」
体は動かなかった。
いや、本当は一瞬だったのだろう。
でも、その時間は妙に長く感じた。
そして、なぜか理解していた。
——ああ、これで終わりだ、と。
「……最後に、ひとつだけ」
願いがある。
どうせなら。
もし、次があるなら。
今度は“ちゃんと作れる側”になりたい。
人も、街も、仕組みも。
全部、自分で設計して。
崩れない世界を作りたい。
「……それなら、面白いよな」
次の瞬間、衝撃。
意識は、そこで途切れた。
——闇。
何も感じないはずの場所で。
音がした。
《適性確認》
《構築能力:極めて高》
《領域管理適性:適合》
スキル選定開始——
【箱庭創世】
付与します
これは終わりじゃない。
“世界を作る者”の始まり。
読んでいただきありがとうございます!これから頑張るぞー!今回はかなり書き溜め作ってから投稿し始めています!
少しでもこれからの展開が気になる!など思っていただけたら、「評価」「ブックマーク」お願いします!そしたら、作者は喜んで(^▽^)/←この顔になります!




