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シノト、動く

久しぶりに主人公の忍び込みをさせてみました。

上手く表現できたか不安ですが楽しんでいただけたら嬉しいです。


9/26。クロロホルムからトリアゾラムに変更しました。

ご意見ありがとうございました。

その日。シノトの眠気は一気に吹っ飛んだ。

「何だよ…これは!?」

往来の真っ只中というのに叫んでいた。

手には、新聞を握られていた。新聞の最初の面にはある記事が掲載されていた。


『百花屋。女性、少女、行方不明の関係』


記事には、百花屋の親方が剣警隊に連行されている写真が載っていた。

記事の内容によると、シノトにとって驚くべき内容であった。

内部告発であった。

告発したのはあの百花屋で働いていた下働きで、親方達の所業を見てられないという理由で告発したらしい。


やられた!


シノトは思った。

あの時の捜査を乗りきったと思って油断した。

こういう手でくるなんて。

混乱と怒りが自分の身体の中を渦巻いているのがわかる。


(く、一体どうすれば…)

やるせない気持ちのまま、シノトは学院へと歩くのだった。



「なあ。大丈夫か」

「何が?」

「いや。スッゲー悩んだ顔しているからさ」

「そうかな?」

アキトの問いに普通に答える。

「やっぱり、百花屋の件か」

「………」

「悪い。余計だったか」

「いや。正解だよ。ちょっとショックだったんだ」

「犯人かもしれないってことか」

(ちょっと、違うけど)

「うん。そんなところ」

友人に嘘をつくのは罪悪感はあるがシノトは耐えた。


「まあ。こっちも驚いているんだ」

「風紀組が?」

「ああ。店自体を捜査して何も出なかったのに数日も経たない内にこれだからさ」

少し、不自然と。アキトは言った。

「で、風紀組は?」

「組長の如月生徒会長が思案中。つまり、事態を把握しようとしているのさ」

風紀組は、中立か。

「いいの?僕にそんなこと言って」

「お前は、あの店と縁があるみたいだから伝えておいて、だそうだ」

「そっか。ありがとうございます。と伝えておいて」

「了解」


(さて、見てろ。必ず報いを受けてもらう)


「あの。狐空さん」

静かに怒りを燃やすシノトに声を掛けてくる者がいた。

「珠依さん」

黒髪の美少女、珠依 桔梗だ。

「少し、お話していいですか?」

「構いませんよ」

「此度の事は、申し訳ありません」

突然、桔梗が頭を下げ、謝罪をした。

「ちょっと!待ってください!一体どうしたと言うですか!」

慌てた。

シノトと桔梗の会話する光景はいわばクラス内の日常茶飯事になろうとしていた。しかし、彼女を慕うファン達からはシノトに対する行動が苛烈していた。

桔梗が謝ることには驚くが、この様子を見ているであろうファン達が放課後にシノトをどうするかわかったものではない。


「ま、まずは一体どうして珠依さんが謝ることになるんですか」

「いえ。せっかく狐空さんの知り合いの店が捜査で証拠が何も出なかったというのに結局、逮捕されるという結果になってしまったことを謝りたいんです」

「そんな。珠依さんが謝ることじゃないですよ」

申し訳ない気持ちになる。

シノトは無性にそう思った。


「大丈夫です。僕は信じていますから。無罪であることを」

そうだ。絶対にさせるか。何が何でも。


シノトは決意を固め、桔梗に心配させないように笑った。


「どうなっているの」

雪奈は百花屋の突然の逮捕に驚いていた。

しかし、うっすらではあるが勘づいていた。

(出来すぎている)

証拠の出なかった日から僅かに4日。それから内部告発。

しかも、逮捕されてから報道陣には何にも伝えられていない。

告発者も出ていない。


(いやな予感がするわね)

言い知れぬ違和感に雪奈は今後のことを心配するのだった。


深夜。剣警隊第二十五支部入口。

「さて。始めますか」

潜入のための忍装束を着てシノトは支部を被う塀に向かって跳躍。

素早く着地し、物陰に隠れる。


「異常はないな」

「は!異常はありません」


(なかなかの警備。でも)

素早く移動していく。

「こっちから親方の臭いだ。それに鉄の臭いも」

臭いのする方へ足を進めていく。


「ここからは、よっと」

換気するために網目の鉄格子になっている口を外し、跳躍して中へと入る。ここからは這うように進んでいく。そして、親方が入れられている牢屋の場所の真上に到着した。


(見張りがいるな)


シノトの真下には看守がいた。


(一人なら)

シノトは懐から小さいポケットサイズのスプレーを取り出した。

そして、それをシュッ!シュッ!と数回噴射した。


「ん?…う~~ん………」


看守はゆっくりと眠りに着いた。


眠り薬のトリアゾラムを薄くした物をスプレーで噴射したのだ。


もう一度確認してからシノトは下に降りた。


「!お、お前さんは!?」

親方がシノトの存在に気づく。

「静かに。あなたに聞きたいことがある」

声色を変え、質問する。


「なんだ?」

「あなたの店を告発した下働きの男のことだ」

「あんの野郎か。野郎がなんだ!」

「男があなたの店で働き始めたのはいつだ」

「数週間前だ」

(女性達が行方不明になった時期と同じか)

「そうか。最後に聞く。その下働きがどこに住んでいるか知っているか」

「知らねえ。あいつはほとんど無口だったから」

「そうか。ありがとう」

シノトはこの場から去ろうとする。

「おい待て。おめえは一体」

親方が呼び止めた。

「私は、罪なき者の味方だ」

シノトはそれだけ言うと跳躍して天井へと消えていった。


「さて。次はあいつか」

支部から外へ出たシノトは次の場所へ向かった。


「上手くいきましたな」

「ふん。お前がへまをしなければこんな手段を取らずに済んだものを」

清日根は杯に入った酒を飲む。その目の前には下働きの男が膝をついている。

「受け取れ。これが礼だ」

そう言って下働きの男に封筒を渡す。

下働きの男はそれを受け取り中身を確認する。封筒の中には十枚以上の札束が入っている。

(すごい大金)

天井裏から二人の様子を伺っていたシノトは封筒の中身に驚く。


「それで、お前に最後の仕事を頼む」

「分かっていますよ」

清日根は男の返答で男に一つの包みを渡した。

「こいつだ」

「分かっていますよ」

男はそう言って部屋を出ていった。


「これで百花屋はおしまいだな」

清日根は部屋で勝ち誇るように言うのだった。


「そうはさせるか」

天井裏で見て、聞いていたシノトはその場を後にした。


「な!なんだお前は!?」

その日の夜。百花屋の入口辺り。

下働きとしていた男は百花屋の忍び込もうとしているところで狐の面を着けた者に遭遇した。


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