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少し付け足しをしました。
楽しんでくれたら嬉しいです。
片手で雪奈を抱え、笛吹き狐は、地面に刺さっている物を引き抜き手のひらに置いた。
手のひらの上にあるのは細い針。
「これが、正体か」
感心したように呟く。
「これ程に細ければ痛覚なんて無意味だろうな」
雪奈もその針を見ていた。
その針は、本当に細くその気になれば簡単に折れるか形が変形してしまうんじゃないかと思ってしまうほどだ。
その時。笛吹き狐が雪奈の脹ら脛辺りに手を伸ばした。
「!」
雪奈は再び驚いた。しかし、次に何か抜かれる感覚を感じた。そして、次に笛吹き狐の手には細い針があった先が少し赤くなっている。
「女の子に放つ物ではないなっ!」
針を持っていた手が空気を裂くように振るわれた。
後から暗闇で呻き声が聞こえ、重たい物がドサッと倒れる音が複数回聞こえてきた。
「く、お前は・・・」
男は顔を歪ませた。
「さあ。これであなた一人だ」
男はその言葉を聞くと邪気の刀を構えた。
笛吹き狐は、雪奈をここから少し距離のあるベンチに横たわらせた。そして、男のもとへ戻っていった。
「またせた」
一言呟いた。
「まさか。こっちの行動が知られているとわな」
「いや。正直。彼女の行動には少し慌てた」
苦笑の混じった口調で言う。
シノトは、実際、今夜雪奈の所に行き証拠となる物をいただくつもりでいた。しかし、雪奈を見つける事が出来ないでいた。そんな時にシノトの耳と鼻に剣を交える音と血の匂いをかぎとりここに来れたのだった。
「しかし。卑怯な手段を使わなければあなた意外は全滅だったでしょう」
「言ってくれる」
吐き捨てる。
「さて、彼女を危険な目に合わせてしまい。彼女の助太刀に遅れたのは失態」
言葉を切り、男を見据える。
そして、御払い棒の先を持ち、抜いた。
現れた刀身は夜の月の光と公園のライトによって輝かせる。
「せめて、後始末をしましょう」
笛吹き狐は言いはなった。
「っ」
男は顔を歪め後ずさる。
それは前回の時、簡単に背後をとられ優位な展開に持っていかれた事を思い出し危機感を感じたためであった。
「あの時のようにはいかないぞ」
邪気の刀がいっそう力を増す。
そして、一気に地を蹴り笛吹き狐に降りかかる。
ギィン!
お互いの刀身がぶつかる。
男はその勢いに乗って刀を振るう。
笛吹き狐はそれを時には刃で時には避けたりとしていく。
しかし、少しずつではあったが男の刃が笛吹き狐の服を掠りはじめた。
「どうだ!」
ギィン!ギィン!
笛吹き狐はバックステップをして男との距離をとった。
「あの時とは違う・・か」
呟く。だが、その言葉は至って冷静だった。
「しかし、それ以上は危険だ」
「分かっていたか」
「邪気を纏う刀。他の霊器と違ってデメリットが存在する」
「ああ。そのとおり。邪気は俺の体を蝕んでいる。だが、その代償に俺の身体能力は上がっている。」
その言葉を証明するかのように禍々しい霊力が男を包んでいた。
「これ以上はあなたの身が危うい。そして、あなたという有力な情報が無くなる」
柄に力が籠る。
「ここであなたを倒します」
言いはなった。
そして、男に切っ先をむけた。
「そう簡単にやられるかぁ!」
声とともに横凪ぎに刀を振るう。
それを受ける。
「らぁ!」
笛吹き狐を後方に押された。
「ここまでの筋力を」
驚く。
男は邪気による身体能力向上で笛吹き狐を力任せに押しきったのだ。
「ハァ。ハァ。」
息が上がっていた。
邪気の影響で体力が著しく低下したのだ。
それを好機と見て笛吹き狐は走り出し男に刀を振るう。
ギィン!キン!ガギン!
男自身の腕がいいのか笛吹き狐の剣は防がれてしまう。
(すごい。あの時とは違う)
シノトは面の下で関心した。
(でもこれ以上はあの人が危ない)
刀を振るいながらこの勝負を早く終わらせないと、と思った。




