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調査

「さすがですね。今日という今日は完全に負けました」

帰りの支度をしていたシノトは桔梗の言葉に少し戸惑った。


「敗けたはずなのになぜ、嬉しそうなんですか?」

桔梗の顔は自分が敗けたというのにまるで自分の事のように笑顔であった。


「そ、それは悔しい気持ちは確かにありますがそれ以上に私よりも強い人がいたことが嬉しいのです」

少し、顔を赤く染めた桔梗が言う。

「え、ですが学院にはたくさん実力のある学生がいるじゃないですか?」

シノトは学院の試合や大会を見ていて自分で勝てるかどうかわからない学生が何人もいることを実感していた。


「いえ、狐空さんは別です」

「え」

その言葉にシノトは驚く。

「あなたの剣は私が今までやってきた人達が振るってきたものとは明らかに違いました」

「鋭く、力強く、何よりも重い剣でした。他の人達とは何かが違いました」

「珠依さん」

「狐空さん、あなたは学院でもっとも〝強い剣士〟です」

シノトは桔梗の言葉にさらに驚いた。

学院でも随一の少女に認められる事など他の生徒なら有頂天になるだろう。

しかし、シノトの場合は。


「そんな、買い被りですよ。僕は珠依さんが思っている程強い人ではありません」

と普通に答える。


そう。自分は、彼女が思っているほど強くはない。

なぜならー。自分は・・・。


「狐空さん」

「今日はありがとうございました」

「あ、いえ、こちらこそ、ありがとうございました。私のお願いを聞いてくださり」

「いえ、大丈夫ですよ。それに女性のお誘いを断るのは失礼ですから」

「あ、すいません。また、変なことを言ってしまって」

「いえ、大丈夫です」

しかし、桔梗の顔は多少、紅く染めていた。

「それでは失礼します」

シノトが帰り始めた時、

「狐空さん、最近、辻斬りが出ているので気をつけて下さい」

「はい、ありがとうございます」

桔梗はなぜかシノトが見えなくなるまで見ていた。

桔梗自分自身にも理解できずにその場に立っているのだった。


その夜、シノトは再び街にいた。

「今日こそは、真実を確かめないと」

シノトはジーンズで黒いシャツの上にジャンバーを着ていた。シノトは街の通りを普通に歩いていた。街の街灯が夜の路を照らしていた。そんな通りを歩いていたシノトの数メートル先に一人の男がシノトの方へ歩いてきた。シノトは近づいて来る男に目を凝らした。男の格好は剣警隊の制服ではなく日本の大名のような格好をしていた。しかし、男の顔は頭巾で隠れていた。

(きたか)

シノトは直感した。

シノトは警戒しながら男とすれちがった。

カチャッ!

次の瞬間、シノトの背後で剣に手をかける音が鳴った。

ビュッ!

剣が空気を切り裂く。

シノトは前に転がり、最初の一撃を避けた。

そして、直ぐ様立ち上がるとシノトは男の方を振り向いた。すると男が剣を持って向かってきていた。再び、シノトに剣を降り下ろしてくる。

シノトは再びその一撃を避けると素早く降り下ろされた手首に手刀を叩き込んだ。

バシッ!

「ウグッ」

男が剣を落とし呻いた。

シノトは続けざまに男の頭巾も取った。

「!?」

シノトは男の顔を見て驚いた。しかし、それも束の間、何人かの足音が向かって来るのに気づき急いでその場を後にした。しかし、シノトは去ったふりをしてその場所から少し離れた建物の屋根に登るために袖に忍ばせていたフックの付いたワイヤーを屋根にむかくるって投げた。カキン!と引っ掛かる音を聞く。シノトは何回か引っ張り確認した。

「よし」

シノトはワイヤーをつたって登っていった。屋根にあがった。シノトは辻斬りがいた場所を見ていた。そこには辻斬りと複数の人達がいた。

シノトが聞き耳をたてていると。

「大丈夫ですか。お怪我は?」

「顔を見られた」

「!?」

何人かに動揺が走った。

「それは、まずい事態です」

「うむ、しかしどうすれば」

「しかし、今はここを去りましょう」

「うむ、わかった」

辻斬り達はその場を去っていった。

追跡する者がいると知らずに。

屋根から屋根へと跳び移りながらシノトは男達を追いかけた。

辻斬り達はしばらくして一軒の屋敷に入っていった。

(ここか)

シノトは辻斬り達が入っていくのを見届けると今度こそその場を去った。

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