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幽ノ坂 冬火、宴を楽しむ。


魔王ゲドネオン討伐祝いとして、ギルド横の酒場は本日一晩中貸し切りとなり宴が開かれている。


普段は手の届かないような豪華な食事や、滅多にお目にかかれない美味な飲み物が制限無く都市中から集まり振舞われた。




「んもーーーあなた達大好き!!!」


ミゼリア王女は、既に物凄く酔っ払っていて、私達新米冒険者に何度もほっぺチューを繰り返している。


ディーネに関しては、少しお姉さんなのでミゼリア王女は恥ずかしいのか、手を絡ませて、貴方って凄く綺麗よねと結構本気で見つめている。


格別美人で優しい王女様にチューされる度、私達全員が順番に跳ね上がるのは滑稽な打ち上げ花火みたいだった。




「ほっぺかして……」


ルヌも真似をして、私達全員に可愛らしくちゅっちゅと頬にキスをし、子供みたいなハグをしてくれた。


私達新米冒険者はされるがままに座っている。




「シュカ!あんたの居合って、ほんっと惚れ惚れするわー!その髪色も超可愛いし、ねぇおねがーい、私の妹になってよぉー?」


リチェはぐでんぐでんに酔っ払いシュカをべた褒めする。




「ありがとぅ……リチェ」


珍しくシュカは照れている。きっと今まで、刀王フィロミナの末裔として大半の人間に疎まれていたので、その象徴の髪色を褒められた事が嬉しかったんだろう。




「わかるーシュカの髪色すっごい可愛いわよねー」


ミゼリア王女は、わしゃわしゃとシュカの頭を撫で、とても優し気な笑顔を向けている。たぶんミゼリア王女はシュカのその気持ちを理解しているのだろう。




その傍らではゲイドが心地良さそうに頬を酒で染め、ゾディに言い出す。


「ゾディよ、すまなかったな。今までお前の誇りを悪く言ったりしてきて。きっと勇者ルビエラもお前みたいにすげぇ勇気があって強くてかっこ良い奴だったんだろうなぁ……」




「はい……いいですよ、ゲイドさん」


ゾディは俯きながらとても嬉しそうににモジモジしてる。




「そうだな。ゾディの勇気を見ると、いつも心が奮い立たされる」


アルメヒはゾディの肩に手を置き後頭部をよしよしと撫でる。


ゾディは恥ずかしさで顔が真っ赤になり爆発しそうになっている。


BLが好きなぐらいだから、アルメヒみたいな中性王子様系な人が好きなんだろうと思われる。




「そうだ!俺も謝らなきゃならねーな!おいっ冬火!!」


ドアドラは酔っ払い、赤い顔で近寄って来た。




「はいっ!!?」


あまりの大声で名前を呼ばれたから私は緊張してしまった。




「俺はお前達と仲間になれてマジっっっで嬉しいんだぜ!!!」


ドアドラ……そんな事言って後で後悔しないの?


よくある、恥ずかしくなって壁に頭ぶつけるん奴じゃないの?




「あ、ありがとねっ」


私は、一応お礼を言い、ラシと顔を見合わせてクスクス笑う。




「ふふっ。こういうのっていいね。みんな家族みたい……」


ラシはこの空間をただただ愛しそうに見渡す。




「そだね……」


私はラシの手をそっと握った。




「ラシ!!俺達は命懸けで共に戦ったんだぜ?家族みてぇじゃねぇ、もう家族なんだ!!!」


ゲイドは大口を開けて笑う。




「おうよ兄弟!みんな家族だ!ラシお前は俺の妹だ!!!」


ドアドラとゲイドはゲラゲラ笑い、アルメヒを間に挟んで肩を組み出した。




「いーや、ラシちゃんは私の妹なのぉー」


ミゼリア王女はラシの背中に抱き着き、ギューとして両頬をツンツンしている。




「ありがとうございます……」


ラシは本当に嬉しそうだ。


無理も無いよね、少し前までこの子は天涯孤独だったんだ。


だから本当に良かった。ラシがこんな嬉しそうな顔をしてくれただけでも、私がこの世界で頑張って進んで来た意味はあったんだ。




「お、おいお前等!……あんまり触るな!私女だぞ!」


ドアドラとゲイドに挟まれたアルメヒは顔を真っ赤にして困り果てている。


この人の意外と女の子な瞬間かわいいな。




「知ってるさ。こんな可愛い男はいねぇからな!」


ドアドラはさらに高らかに笑った。




アルメヒは両手で顔を隠した。湯気が少し出ている。




「どっちがお姉ちゃんか後ではなそ……?」


ルヌがゾディを抱き締めて言う。




「あ……はい」


ゾディは困惑して、パチクリと瞬きをしている。




「ねぇディーネー?仲良くなろぉ?私、あなたの速さにゾクゾクしちゃうのっ!」


リチェがキャハッとディーネの腕に抱き着く。下心が六割と見た。


ディーネは異常な美人だし、しかも女の子好きな女の子にモテそうな顔だ。




「あ……え……はい」


ディーネは恥ずかしそうに頭を掻いている。




「ああぁ!!!リチェずるい!!!ねぇディーネー、親友になりましょぉ!?私と貴方って絶対お似合いよ!!?なんでも教えてあ・げ・る・からねー!うっふふー」


ミゼリア王女はリチェとは反対側のディーネの腕に抱き着いた。下心八割と見た。


ミゼリア王女のディーネを見る眼は偶にガチ。




それにしても、この人達酔い過ぎだろ。それだけ、魔王ゲドネオンを倒せた事が嬉しかったんだろう。




「そう……ですね。皆さん……愉快ですね!ふふふっ」


ディーネの表情は少し柔らかくなる。


こんな場なのに、ディーネは図書室の窓際にいるような清楚な雰囲気を出しているのは凄い。




「この子達成長したわね……(グスグス)」


リオナさんはハンカチで涙を拭きながらS級冒険者達を眺めている。




すごい奔放にどんちゃん騒ぎしてるけど。




「ああマジでな。やっぱり俺達も一回肩組んだりしてみて絆を確かめ合った方が良いんじゃねーか??ピミミ、リオナ???」




「いやよ。変態」


ピミミさんは酔っ払いながらも即行断る。


普段は見られない大人な受付のお姉さんを写真に撮りたかった。


あ、そう言えばスマホ……まだ草原にあるかな?




「却下ね、絶対胸触るし」


リオナさんは手でバッテンを作り、ブーッと口をすぼめた。


私はどんな仕草も美しい白の聖騎士の吸血鬼お姉さんに見惚れる。


リオナさんは私の視線に気づき、近寄って来ては私の鼻をチョンっと人差し指でタッチしてきた。




そして一言。


「頑張ったね」




「は……はい」




やば……これ魅了スキル???




「悲しいぜ……時の流れはよぉ」


二人に振られた勇者ガーデンは、急にしんみりし酒をちびちび飲み出す。




「そういや、ホルーとニクルズはあの後何処行ったんだガーデン?」


ドアドラは勇者ガーデンの肩を叩いて慰めながら聞く。




「ああ、あいつらならまだ草原にいるぞ。食いもんと酒、たんまり渡してっから焚火でもしながらくつろいでるんだろ」


黒豹と宇宙人が焚火……絶対映えるじゃん!


ああ!スマホが急に恋しくなってきた。


また探すか。




「でもまさか、ついこの間までミルクスライムと戦ってた子達が、魔王ゲドネオンを倒すなんて……お姉さん信じられないわホントに……勿論、嬉しいけども。はい、おいで」


ピミミさんは腕を広げ、私達にさぁ、来なさいと全てを受け入れるポーズをする。




私は即座に権利を行使し受付のお姉さんの香りを肺に貯蔵した。


勇者ガーデンは羨ましそうな極みの顔をしてる。へへへっ。




あ、そう言えばソレイは?


私は酒場を見渡す。


いた。隅っこで静かに座ってる。




「こんなとこで寂しくしてー、どしたの?」


私はソレイの肩口からヒョコっと顔を出した。




「賑やかなのは少し苦手なんだよ」


ソレイは浅く笑って、みんなを見守るように眺める。




「じゃあ一緒に外でも出よっか?」


って、言うのが男子はドキッとするらしいので、軟弱そうで害の無さそうなソレイに試してみた最低私。




「え……?」


ソレイの顔は予想外に赤くなる。




あ……え???私でも効くんだ???




「あ……いや……その……ちがくって」


私の顔が逆に真っ赤になってしまう。




「全く君は……フフッ」


ソレイは楽しそうに笑ってくれた。




もしかして、意外と私の事可愛いって思ってたり……ないか。




何はともあれ任務完了だ!!!




って、おおお!!!ゾディっ子が、うとうとしている。赤ちゃん過ぎるだろ!!!


赤ちゃんニュース、バブ記事の一面記事だ!!!


私は駆けて近寄り、柔らかでキラキラしたゾディの髪を撫で撫でする。




「ああ冬火さん……私……あなたが凄く好きなんですぅ……」


ゾディは半分寝ぼけていた。


嬉しい……私もだよゾディ。




「なあ冬火、私達もう親友だよね?」


それを見ていたシュカが私の背中に手を回し、そのままするりと前へ手を持ってこようとした。




「あったりめーだよ相棒」


そう言いながらも、シュカの怪しい動きの手をひねる。




「いてててて、冗談だよ相棒」


シュカのこの変態的な手癖は、勇者ガーデンの冗談より本気度が高いから困る。


ラシが楽しそうに口を押さえて笑っている。




「ラシありがとうね」


私は真剣な口調で言った。




「何が?」


ほへ?と首を傾げるラシ。




「ラシが牢屋から出してくれてから全部始まったじゃん」


懐かしいな、初めて出会った日。




「私も冬火と出会って、全部始まったよ」


その言葉……凄く嬉しいよ。


本当にありがとね、ラシ。




私とラシは賑やかな宴の中、お互いの瞳を揺らめかせてじっくり見つめ合う。


この愛しい瞬間は私が凍らせた。


きっと当分溶けないよ?


だってこの幸せな夜はまだ長いんだ、もう少しこのままでいて良いでしょ?


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とりあえず一部は完結です。


この後、世界編に入るつもりですが、腕を痛めているのと、別の作品を書く可能性もあるので、続きは未定です。(世界編のプロットは結構練っています)


しかし、いいねや感想、PVが伸びれば、やる気となり、またすぐ書くかもしれません。


ですので、応援が冬火達の旅の燃料と言う感じですかね。ふふっ


とにかく、最後まで幽ノ坂 冬火の物語を読んで下さった方ありがとうございました!!!




では、冬火ちゃん一言どうぞ!




「ホイットニー!!!」




えーーーーーーー最後それなのーーーーーー?




「じゃあ……世界編はポニーテールになると思います!!!」




ダメダメ。なんでキャラクターイメージ最後にぶっ壊すの???




「もう!うるさいなーーー……書いてるだけの癖に!戦う私達の身にもなれっての!!!」




はぁ……困った子だ。シスイちゃんはもっと穏やかな子だったのに。




「うっせぇ!!!私の物語だ!!!」




凶暴になっちゃって……




「冗談でーす!ふふっ。あ、みんないいねよろしくねぇ!!!ツインテ最強美少女冬火ちゃんに一票を!」




そうそれ大事。でも、したたかだなぁ……




「そろそろ戻っていい?みんなで寝てるゾディを胴上げすんだー」




ダメダメ、ゾディ可哀想でしょ?




「だよね。じゃあディーネで」




逆にみんなはそれ出来るの?




「無理かも……」




とにかく、世界編頑張ってね!応戦してるよ!




「はーい!!!世界編は私を一番可愛く書いてね!!!」




難しいなー……結構みんなカワイイし……




「喰らえ!!超絶氷!!!」




あぁ固まった。もう書けない……




「嘘!!!やばいじゃん!!!中途半端に終わるじゃん!!!」




これ長くない?




「だね」




「みんなありがとう!!!!!」


みんなありがとう!!!!!


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