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女神に騙され異世界へ!貰ったチートは欠陥品の詰め合わせでした。〜雑魚い俺には努力が必須ですが、大成するのは間違いなさそうです〜  作者: ゴローさん
第六章 シュタット再訪

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第86話 それぞれの、これからの、

「アキーラくん!無事だ、った……の、かい?何これ。」


ゾフィーが頭にはてなマークを大量に浮かべながら、俺と、俺の腕に満面の笑みで抱きつく邪神……リサを見てそう言う。

うん。気持ちはわかるよ。


『アキーラ……アンタもしかして。』


フレイヤはもう何となく理解したみたいだ。長年やりあっただけはあるね?

褒めてねーぞ。お前のせいだぞこれ。


「アキ様、えっと、これは……はっ!修羅場!?」


そうだけど、そうじゃない。

こういう時だけ変に刺さるこというのやめて?


「僕は関係ない。僕は関係ない。僕は関係ない。」


おい、現実逃避すんなよレオ。

お前のせいでもある。もう一度言う。お前のせいでもある。


「まぁ、何だ、こうして世界は救われた、ってことで。」


「ねー?アキーラさん、これからどうしますか?私はいつでも、大歓迎ですよ?」


邪神との会話が一番噛み合ってるのも、それはそれで腹立つな。


お前らはもっと俺に寄り添え。

邪神は離れろ。ソーシャルディスタンスだ。守れ。


『はぁ……まぁ、アンタらしいっちゃアンタらしいけどね?……大丈夫、なのよね?』


「わっかんねーよ、でもどんだけ斬っても死なねぇし、なんなら喜んでるし。その上でもう世界に興味ない、俺と殺し合いたい、だぞ?もう斬る意味もねぇよ。」


「あ〜ん、アキーラさん?そんなこと言っちゃ、ダメよ?ちゃあんと、構ってね?」


「はいはい、適当に殺してやるよ。」


「うふふ♪ぎゅー!」


こいつキャラぶっ壊れてんなぁ。


「ってことだから、帰ろう。もう、戦いは終わりだよ。」


こうして俺は邪神から世界を救ったのだ。

なお、世界に俺は含まれていない。


「アキーラさーん!待ったー?」


「待ってねぇよ。来んなや。」


満面の笑みで抱きつこうとしてくる邪神リサを八つ裂きにする。


あの死闘から1ヶ月。

もはやシュタットの街で俺たちのことを気にする奴はいない。


「お前さぁ、3日に1回って自分で言ったのに毎日来んなよ。」


「だってぇ、アキーラさんを感じないと、退屈なんだもの。」


「知らねーよ。もっと世界に目を……いや、向けなくていいや。俺だけを見てろ。頼むから。」


「はーい♪」


「はぁ……。」


こうして俺は特大の地雷を抱きしめる日々を過ごすのだった。

地雷は毎日爆発してるよ。俺が抱きしめてるから被害はない。俺以外は。


「あ、アキーラくん。探したよ!」


「おおゾフィー。今日の飯は?」


「そんなことより、槍スキルの調子はどうだい?」


「いや、100になってからは変化なしだよ。」


「うーん、やっぱりただの槍じゃダメなのかな?アキーラくんの槍をエルザに作ってもらわないと……。でもエルザも狙って作れないみたいだし……。」


「おい、そんなことより晩飯は?」


「ああ、今日はコカトリスのポトフだよ。腕によりをかけて作るから、期待しててね?だ、ん、な、さ、ま♪」


「おお、コカトリス!!……ん?それって食べて大丈夫なやつ?石化抵抗とかあがらない?」


「じゃーねー!エルザのところ行ってこよーっと!」


「おいこら、無視すんじゃね……逃げ足早すぎだろ。」


邪神を倒して帰った後、俺はゾフィーにプロポーズされた。今まで散々引っ張ってきたが、全部の厄介事が片付いた今、改めて結論を出せと、迫られたのだ。

もちろん借金で揺すられたりとかはしていない。していないったらない。


「あ、そろそろエルザ迎えに行かねーとな。二人とも放っとくと寝ずに働くからなぁ……。」


工房の終わりが近付いても、炉の火を落とさないのだ。

最近は俺が迎えに来るのを理解して、そうしてる節がある。

そして迎えに行かないと本当に剣を打ち続ける。究極のかまってちゃんになってしまった。


「エルザー、おるかー?」


「はーい!アキく……リサもいるじゃん。」


「はぁーい♪お邪魔虫でーす♪」


「わかってんならアキくんに引っ付いてんじゃないわよ。」


エルザは強い。なんと言ってもリサを八つ裂きにして、俺を神にした剣を打った人間なのだ。

邪神だろうがガンガンいく。

まぁある意味、邪神邪神してるリサを知らないからかもしれない。

なんだ、邪神邪神って。


「あ、エルザ。今日の晩飯はコカトリスのポトフらしいぞ。」


「え……?コカトリスって、可食部あったっけ?」


「ゾフィー!!テメェこらふざけんなよ!!どこだ!!」


あいつやっぱりやってやがる!多分俺の晩飯だけだ!エルザと自分のは普通のだ。あいつはそういう奴だ!


「あはは、まぁ、アキくんは大丈夫じゃない?それより、これどう?」


エルザがそっと差し出す槍を見つめる。

鑑定っと。


鉄の槍

稀代の名匠エルザが魂を込めて打った槍。通常の鉄の槍とは比較にならない性能を有している。


「……ダメだな。強いけど。」


「やっぱダメかぁ……。うーん。」


「ま、あんま気負いすぎんなよ。ゾフィーが試したいって言ってるだけだからな。さ、帰ろうぜ、我が家へ。」


「それでもさ、ゾフィーのお願いだし、聞いてあげたいよ。せっかく、同じ人を支えることを選んだんだし。」


「そういうもんかね?」


「そーゆーもんなの……ほら!」


そう言って、両手を広げるエルザを優しく抱きしめる。

ゾフィーや他の人がいるときはあんまりだが、これでエルザは寂しがりなのだ。ことあるごとにハグを催促してくる。


ちなみにエルザとも結婚している。

ゾフィーが俺にプロポーズしたのを見て、その場でエルザからもプロポーズを受けたのだ。

俺にはどちらか一人を選ぶなんて無理だった。

そのことを素直に伝えたら、何故か二人で相談して三人で暮らすことになった。

二人で相談したのだ。俺は蚊帳の外である。

まぁこれが我が家のパワーバランスだ。うちの嫁が幸せならそれでいいのだ。


「そういえば、そろそろかな?」


俺の耳元でエルザが思い出したように言う。


「ああ、そうだな。早ければ神国に入ってるかな?」


フレイは神国へと戻った。

ここに居てもいいと言ったが、ここは自分の居場所ではないと固辞したんだ。

彼女は自身の信仰に生きることを決めた。


それを、邪魔することは、俺たちにはできなかった。


きっとフレイは今も、あの、騒々しさでみんなを救っているのだろう。


「ま、みんな大人だからな。俺と違って、立派だよ。ほんと。」


「うーん、アキくんは、もう少し自己評価を……いや、そのままでいっか。」


「なんだそりゃ、ま、帰るか。明日は早いしな。」


「えっと、レオさんの、出立だよね?」


「ああ、ようやく路銀が貯まったらしいからな。この前は俺が見送ってもらったと思うと、感慨深いな。」


「うん……そうだね。よしよし。」


「なんだよ。」


「んふふ、なんでもないよ?」


「ああ、ずっと無視されてる……これはこれで、素敵よ、アキーラさん……♪」


お前はもういいよ。早く死ね。


『忘れ物はない?』


「はい、大丈夫です、フレイヤさ……フレイヤ。」


翌朝、街の門に俺たちは集まっていた。レオの旅立ちを見送るためだ。


「それでは、お世話になりました。アキーラさん……あなたがいなければ、きっと僕は諦観に包まれた日々を送っていたと思います。本当にありがとうございました。」


「よせよ、先輩。俺はあんたのおかげでやれたと思ってるぜ。」


レオに手を差し出す。

これ以上言葉はいらないだろう。

俺たちは同じ女神に巻き込まれ、同じ女神を打倒せんと戦った同士なのだから。


『アキーラ、ホントにアリガトね。』


「おう、クソ女神。力を取り戻すまでは、あんまり無理すんなよ。」


『しないわよ、アンタじゃあるまいし。アンタも、ワタシが戻るまで邪神に寝首かかれるんじゃないわよ。』


フレイヤは、レオに付いていくことを決めた。

本人は自分の力を取り戻すために世界を回るのだ、と言っていたが、どっから見てもレオへの贖罪だろう。

みんなわかってる。レオも、俺も。


「……またな、フレイヤ。」

『……うん。またね、アキーラ。』


乗り合い馬車が、出発を告げる鐘を高らかに鳴らす。

それに反応して、レオは俺たちへと改めて頭を下げた。


「それではみなさん、ありがとうございました。これから何があっても、みなさんと出会えたことを、僕は忘れません!」

「おう、気負わず、自由にな。」


『じゃーねー!アキーラ!』

「迷惑かけんじゃねーぞ、クソ女神ー!」


『ああっ!?なんだコラー!!』


「ははははっ、気をつけてな!元気で!」


『……げんぎでねー!!あぎーらああ!!』


はは、ひっでぇ鼻水。相変わらず、閉まらねぇなぁ。


「行っちゃったね。アキーラくん、寂しい?」

「辛かったら、いつでも抱きしめてあげるから!」


「ありがとな。大丈夫だよ、大丈夫……。」


寂しくないといえば、嘘になる。

でも、みんなで選んだ結果なのだ。


「さーてと、今日は何すっかなぁ!」


「まずは上げられるスキルを全部上げないかい?」


「ちょっとアキーラの剣貸してくれない?もっかい、ちゃんと見たい。」


「アキーラさん?頑張って静かにしたご褒美が、欲しいのだけど……?」


「あああああ!もう!」


台無しだよ!まったく!!


女神に騙され異世界へ!貰ったチートは欠陥品の詰め合わせでした。〜雑魚い俺には努力が必須ですが、大成するのは間違いなさそうです〜


完


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