第53話 邪神だよな?
『うう…、ア゛リ゛ガト゛オ゛…ア゛キ゛ーラ゛ァァァ』
こいつも千年間、いっぱいいっぱいだったんだな。
「……はいはい、わかったわかった。よく頑張ったなー、よしよし。」
今?泣いてる女神あやしてる。
俺の仕事かなぁ!!?
別にいいけどさぁ!
「うう、女神様、良かったですね。」
「うむ、うむうむ。アキーラ殿!女神様を頼みますぞ!」
教会関係の人は涙流しながら喜んでる。
画家が居たらスケッチ始めそうだな。
神話のワンシーンだよぉ!!
「……で、具体的にはどうするの?」
一人白けた顔で見てたゾフィーが的確につっこんでくる。
逆に聞きたい。俺が知ってると思う?
「ジーッ。」
わかったから!そんな目で見ないで!
「あ、ああ、ゴホン。フレイヤー?そんで俺はどうしたらいいのかなー?何か、特殊な力とか、くれるんだよな?」
『ぐすっ、っちーん!!……特殊な力?無いわよ?』
………ないわよ?ナイワヨ?無いわよ?
今無いって言った!?
無いって言った!!
言ったよな!!
「おま、それで、俺がどうやって、邪神に勝てるんだよ!!お前が千年勝てない相手だろぉ!!?」
『………………。』
「………………。」
『……………気合?』
あ、そっか。気合があったか。
なんだ、安心安心。
ちょっと焦っちゃったよ、もー。
「っていけるかぁぁぁぁぁ!!」
『い、いけるわよ!多分、きっと、おそらく?』
「もう自信なくしてるじゃん!信じてないじゃん!巻き込むな!巻き込むなよおおぉぉぉ!!」
『な、なくしてないし!ちょっとだけだし!そ、それに助けるって言った!助けるって言ったじゃん!!』
「無効だ無効!!できるかぁ!」
『は!?はあぁぁぁぁ!?アンタ、神との契約無効にできると思ってんのぉ!?』
「出来るわぁ!契約ですらねぇわ!慎重に検討した結果辞退させていただきますぅ!!」
「……アキーラ君、神との誓約は破棄できないよ。」
「…………マジ?」
「マジ。」
『マジよ。』
「…………マジ?」
「マジです。」
「マジですな。」
詰んだ?
詰んだよね?
詰んだかぁ…。マジ、どうしよ。
「………アキーラ君。多分だけど、女神様は完全に無策って訳じゃないと思うよ。前にも言ったけど、君のスキル、明らかにおかしいからね?」
『気付いてる奴いたの?驚きだわ。』
何か前にもゾフィー言ってたなあ。
「具体的に、どこがおかしいん?」
『んー……、まぁ邪神も気付いてそうだし、隠す意味ないか。アンタのスキル、経験値ブーストは、ちゃーんと効いてんのよ。』
「わからん、もう一声。」
『ブレないわねぇ…。いい?アンタの素振り、基礎経験値は1よ、ゾフィーは100ね。これがいわゆる才能ってやつで、普通はどれだけ頑張っても変わらない。ここまではわかる?』
「まぁそれは、なんとなく?でも俺、それだとおかしくない?」
『そうよ。あんたの素振りは、1振り毎に1.001倍されてる。指数関数ってやつね。複利って言えばわかりやすいかしら?』
「いや全然わからん。もっとわかりやすく。」
『えっと…、アンタの素振りは1回目は1よ、だけど、次の1振りは1.001になる。じゃあ、その次は?』
「1.002、かな?」
『そんな感じね。これを1万回繰り返せば、どうなるかしら?』
「えー?1.001が1万個あっても、ショボくねぇ?10とかそのへんだろ?」
『千回だと、2.7とかね。小数点切り捨てだけど。』
「じゃあダメじゃん。」
『1万回も振れば、ゾフィーなんかあっという間に追い越してるわよ。ざっと2万くらいかしら?』
「にまん?」
『1振りで2万くらいね。で、そこ天井じゃないから。振れば振るほど増えるわよ。』
「フルフル?剥ぎ取り?」
『何の話よ。素振りすればするほど、アンタの入手経験値は増える。指数関数的に、圧倒的に暴力的に、ね。』
フレイヤとそんなやり取りをしていると、興奮しきったゾフィーが割り込んできた。
「わからないのかい!?アキーラ君のスキル、やっぱりおかしかったんだよ!!君の努力の前では、才能なんて何の意味もない!!なるほど、これなら確かに、この絶望的な世界で最強になり得る…。いや、でもこれ、強すぎない?ええ…??たったの1万回で?」
なんかゾフィーが、頭抱え始めたぞ。
「……仮に1日100回の素振りでも100日、たった3ヶ月ちょっとで達人の域に?許されるのか?いや、私がそれを言うのはズルいか。……残酷だな。」
…なんか、ゾフィー震えてる?
「私の、いや、この世界か。あらゆる人の努力は、1年もあれば追い抜かれる。圧倒的に、暴力的に、か。…………そうか。」
「なぁゾフィ─」
「でもそれよりも!私はLv100が見たい!凄いことだぞこれは!!どんなスキルでも100に出来るなんて…何から試す?何から試せばいい?ああー!!決めらんないよぉ!!」
「……………。」
『…………スゴイわね。』
「…………スゴイね。」
全然ゾフィーだったわ。
心配して損した。
「ねぇねぇアキーラ君!どれから上げる!?料理スキル100で、作ったご飯はどんな味なんだろ!裁縫スキルは?鍛冶スキルは?気になる気になる気になる!!どうしよぉ〜!!」
「……まず邪神だよな?」
『まず邪神よねぇ。』
あげないよ?
マジで。




