謀反の証拠を探せ!敵地潜入は危険がいっぱい?
さて、敵地潜入ミッションです。
いつものメンバーは静かにミッションをこなせるでしょぅか?
多分無理ですね、ハイそうです。
10.謀反の証拠を探せ!敵地潜入は危険がいっぱい?
宇宙屋形船「かわずおとし」の武装改装は1週間程かかった。タシテナナ城での謀反資料奪取の計画も決まり、「かわずおとし」は第四どつくを後にして、潜航してタシテナナ城へ向かう。
「あんなデブ博士にも嫁と子供がいたとはなぁ……」
「やはり惚れてたか、このオヤジ専。デブ専も追加されたナ」
小百合のつぶやきに佳がツッ込む。小百合は真っ赤になって佳をぐるぐるパンチで襲う。
「容疑が晴れたとはいえ、エドー星の家族は大丈夫なんだろうか?」
「一時は官舎を追い出されそうになったみたいですが大丈夫です」
ゲス夫が言う。
時折シャチやサメやマグロが窓の外を泳ぐ宴会場で、タシテナナ城での謀反資料奪取計画最終ミーティングが始まった。ゲス夫のポワポを使って見取り図を表示し、舞台でレイヤー姫が説明する。
「とりあえず、このまま潜航して夜を待ち、タシテナナ城の近くの港で一旦浮上して突入部隊を下す。わらわとゲス夫は船を潜航させて待機。突入部隊『い班』は正門から見て東の通用口から潜入。『ろ班』は正門裏の堀を越えて四階の展望台の窓から侵入して下さい」
『い班』は小百合とケロ太、『ろ班』は佳とソラの班分けとなっている。
「その後、『い班』は一階階段の横の隠し扉から地下倉庫に侵入して捜索。元のルートから正門前の公園のこの位置で待機して下さい。『ろ班』は天守閣へ潜入して隠し部屋を捜索、窓から屋根に上ってください。両方とも船を飛ばして迎えに行きます」
「城には何人くらい残っているんだ?」
「場内は当直の見回りが2名、正門横の警護所にいます。あとは西側の藩邸に大名、サンタ・スシー殿と家族3人と世話係4名、城外にある侍屋敷には30名程が。基本的には役所兼観光地なので、通いの職員が多いです」
「うまく潜入すれば警護所の二人だけが問題か、案外ザルだな」
「まあ、見回りの時間やルートまではわかりませんので、そこはアドリブで対処して下さい。そのための班分けです」
ほとんどがレイヤー姫と小百合の問答でミーティングは終わる。計画もややザルの気がすると小百合は思うが、ルートと場所はしっかり決まっているので問題ないだろう。
小百合としては佳と動きたかったが、屋根を上るなどの軽業が必要な天守閣のほうは身の軽い佳とソラにまかせるのが良いコトは納得した。問題は話さないケロ太との意思疎通だが、ゲロ太との付き合いも長くなりそれも問題ない。それに……。
深夜の港に浮上した「かわずおとし」は突入部隊の四人を残し、また潜航していった。時間は丑二つと三つ時の間(午前1時半から2時半)までを潜入時間として、その終わりに「かわずおとし」が上空から迎えに来る手筈である。
「はいコレ」
「お、こんなの作ってくれてたのか。佳、ありがとう!」
佳が小百合に渡したのは厚い赤色の綿布で縫われたMMA(総合格闘技)用のオープンフィンガーグローブだった。ナックルを守り、必要分指が出ているので関節技も使えるグローブ。これならフルパワーで人を殴れる。ヒョーロク星の易オンで佳が布と針糸を買っていたのはこのグローブを作る為でもあったのだ。
港からタシテナナ城までは700m程で城は半径300mの中心にある。小百合は商店の少ない長屋の狭い裏道を世グウェ移に乗って移動、それをケロ太が走って追う。佳とソラは屋根の上を走る。
小百合たち『い班』は5分ほどで場内に。見回りもいなかったのでケロ太が通用口の鍵を、針金を器用に曲げた工具で開ける。本当に便利なカエルだ。小百合はペンライトをオレンジ色にして周りを見る。階段はちゃんと見取り図の位置にあった。ケロ太は地下倉庫のドアの鍵もなんなく開けた。
佳とソラの『ろ班』は、正門横の警護所に当直が二人いるのを確認してから裏に回り、堀の橋の裏をフリークライミングのように移動する。さらに城の脇に着くとソラが三本のフックのついたロープを投げて窓の鉄格子に引っかけ、するすると登る。四階の展望室はテラスになっており、扉の鍵はソラが自分のピッキング工具セットで開けた。5分程かかったがなんとか開けるコトに成功した。
『い班』のふたりが入った地下倉庫は20畳ほどの作りだった。積み上げられた資料の中から謀反の証拠を探し出すのは難しいと思ったが、重要な資料は巻物にして隠してあるハズというゲス夫のアドバイスがあったので他には目もくれず巻物を探した。
「うはー、なかなか見つからんな……で、会長、私と二人の時くらいは声出してもいいんじゃないか?」
会長と小百合にいわれてケロ太がビクっとする。
「そんな着ぐるみ被って声を出さずにいれば、私にバレないとでも思っていた?ふたつみっつ関節に触れば目をつぶっていても誰だか判るこの私に」
「ふ、こないだのワープ中のスパーか」
ちょっとクセのある中年のいい声がケロ太から。それは、小百合が一番聞きたかった声。
「まあ、その前から見当はついていたけどな。こっちにも目玉が光るカエルはいなかったし。そのカエルの頭が転送装置なんだろ」
小百合のペンライトの光の中でケロ太がデカイ頭に手をかけ、耳のあたりを数度押す。そして頭を持ち上げると……スポっと頭が外れた。そして外れたカエルの頭の代わりに人間、小百合の通っていた総合格闘技ジムの会長、柳谷飛人の顔が……!
「すまん。俺はそちらの世界へ潜り込んで総合格闘の修行していた、エドー星の武人だったんだ」
「名前は?こっちの世界じゃ柳谷会長……ではないんだよな」
「ケロタ・ヤナギが本名だ」
「そして、嫁がいると……」
そう言うと小百合は明らかにヘコんだ。
「スマン。お前が俺に好意を持っているのは分かっていたが、そちらの世界で話すワケにはいかなかったのだ」
「何故拉致を?」
「ゲス夫から謀反の連絡が来た時に、最終的には召喚した女性が将軍の世界になると思ったんだ。ならば最適なのはお前だろうと。で、あの日、お前の部屋に忍び込んでカエルの中に入っていたんだ。」
「それは正しい人選だな……でも佳は?」
「ゲス夫の人選だ。あいつもたまに変装して向こうの世界で人選していた。お前だと恐怖政治に走りそうとか言ってたしな」
「失礼な奴。変装って、私の知っている男か」
「お前たちのバイト先の店長だ。プロティン会社の人間にも変装してジムやお前の家にも行っていたのだが、流石にそれは気づかなかったか」
「マジか、名前は」
「ゲスオ・イドノが本名だ。ガキの頃からの友達で、あいつは学が得意で若くして銀河幕府の勘定奉行となり、レイヤー姫と婚約をしている。まだ誰も知らないがな」
「なんでそのあたりの説明をしなかったんだよ」
「エイドリアン城の事件からはカエルのふりをして幕府から逃げていたからな。ゲスオの内通者にはカエル姿の秘密を教えていたが、民草にはこの姿で対応していたし。ゲスオと俺がついているのがバレると、幕府も本気で捕まえに動いただろう。だからゲスオもカエルに徹して必要のないコトは話さなかったんだ」
「まあいいや、で、そのカエルの頭……転送装置があるなら私らは元の世界に戻れるんだよな?」
「それは無理だ。あのネットの回線を使ってこっちに来ているから、動画配信のサーバー内も含めた同じ回線を使わないと違う世界に転送される可能性が高い」
「会長たちも行ったり来たりしていたんだろ?」
「世界毎に転送装置を置いてあれば回線が必要なかったのだが、もう転送装置は2台ともこちらに持って来たから申し訳ないが転送は無理だ。それにお前にはこっちの世界が向いている」
「勝手に決めるなよ、会長に嫁がいなきゃそれでも良かったが……あと、ええと、お前が私らの世界に来た方法は、その方法で」
「転送装置が一台、そちらの世界にあったのだ……む、もう時間がない、俺はケロ太に戻るから、しばらくはバレてるのは秘密にしてくれ、ゲスオが怒る!」
ケロタはカポっとカエルの頭を被り、ケロ太になって巻物探しを続けた。だが結局は巻物を発見するコトは無かった……。
『ろ班』の佳とソラは天守閣内の隠し部屋を見つけた。反転した壁の裏に金庫があったのだが、金庫の開錠にソラが手間取る。金庫は鉄製で、二人で持って逃げるのは無理のようだ。
「んー、3つの鍵のうち2つは外れたと思うんですけどね。これはかなり厳しいです」
「まー、がんばレ」
佳は風船ガムを膨らませながら待つ。
「ここじゃないし、これも違う……ああもう!! あ、開いた?」
やけになったソラが右上45度から金庫を叩くとカチンと音がして金庫が開いた。中には20本程の巻物が山にして積んであった。佳とソラは巻物を開いてペンライトの明かりで中を確かめる。
「うわー、この星ってば幕府への年貢の二重帳簿つけてますよ。幕府から送られてる学校のエアコン設置費から4割も抜いてる、他にも城の補修費もこれも……」
「ん、これダナ」
佳が広げた巻物に『銀河幕府転覆実行要領』と書いてあった。ソラも中身を見る。
「将軍の好物のタイヤキをテトロドトキシン入りに現場ですり替える。土産に持っていく花火の火薬を通常の3倍に。謀反と叫ぶ役から消火剤を撒くコトまで……本当だったんだ!」
佳はメイド服の腰の、エプロンの紐に巻物を3巻くくりつける。転覆実行要領とソラの見つけた二重帳簿、そして適当に転がっていたのをもう一本。ソラも数本の巻物を懐に入れた。
適当に金庫内に他の巻物を戻し、金庫を閉めて鍵をかけ、隠し扉を回して戻す。そして天守閣の窓から屋根の上……。
「あっ、ああ~!!」
「バカかナ」
懐に入れたハズの巻物が上着から落ち、屋根に登るために踏み込んだ足の下にその巻物が入って転がり、ソラが屋根から落ちた。必死に屋根のへりにしがみつこうとしたが、滑った勢いでいつものようには動けず、落下中もソラは空を泳いだが……5階分の高さを落ちて堀の中に沈んだ。
『ボチャン』
ちょうど見回りがちょうちんを持って歩いていた目の前に。見回りが着物の懐から防犯ブザーを取り出して紐を引くと、ブザーが大音量の電子音声で叫ぶ!
「出会エ、出会エー!」
警護所からのもうひとりの当直を先頭に、裃つけたり、半裸だったり、褌だけだったり、フルチンだったりの侍たちが城に集まってくる。小百合とケロ太はまだ場内にいたが、ブザーの声を聴いて慌てて外に出た。
佳もしょうがなく屋根を飛んだり伝ったりして降りて小百合たちに合流した。騒ぎの中でソラは堀を潜水して移動し、小百合たちの後ろに回った。無音で城の上空に降りてきた「かわずおとし」がサーチライトを照らし、ハッチからレイヤー姫がメガホンで叫ぶ!
「助さん、角さん、や~っておしまいなさい!!」
~つづく~
……ついにケロ太がしゃべったあぁぁぁぁぁ。
ええと、主役のふたりは1話のとおり助川小百合と角田佳といいます。
なので助さん格さんとかではありません。
刀をもちそうなのも角さんだし。




