第三十三話 地下へ
よっしちょっと整理しようか。
目の前に見えるのは、王道なダンジョンと思しき場所。レンガ造りの、ある程度明るい煙の無い松明。この松明はもう見慣れた感じがするね。今のところ一本道にしか見えないけど、迷路になっているとか、謎解きがあるとか、そういう雰囲気のあるダンジョンだ。
次にさっきのアナウンス。
見返してみてもやっぱり上二つはワールドアナウンス。きっと匿名希望じゃなければそのまま名前が出てたんだよね、恐ろしいトラップ。
えっと、それで称号二つ貰ったけど、[探検家]はダンジョン内の攻撃系が微上昇で[探求者]はダンジョン内のレアドロップ率が微上昇ね。凄くいい奴! 両方火でもいいから上昇して欲しい物だよ! ラッキーではあるけど、ばれたら嫌だなぁ。
あとこの装備も、凄い動きやすいんだけど、なにそれ的な感じで言われたら面倒臭い。街に入る時は普通の装備に切り替えるかなぁ、仕方ない。一応【鑑定】はそこまで便利じゃなけど、【鑑定】特化の職業とか、PKとかには分かるかもしれないし、そのあたりは気を付けないといけないよね。
ん?
なんか聞こえる?
あっ、フレンドコール、誰からだろ。サイガ?
『もしもし』
『もしもし、急にごめん、今大丈夫?』
『大丈夫だよ』
見たところ此処はまだモンスターが出て来なさそうな場所だし。
『さっきのアナウンスってレオラでしょ? 人に見られてない? 大丈夫?』
『いやそうだけど、何でばれたの……』
『だって森の奥にいるって言ってたじゃない、今新しいダンジョン発見だなんて結びつかない方が変よ』
『まぁその、詳しくは言えないんだけど、森の奥には試練の場があってね、まぁそこから先は内緒って事で』
『試練?』
『魔法の物理バージョン? みたいな感じかな? アップグレードじゃなけど、今ってスキル【剣術】とかで剣は剣で統一されてるけど、試練を突破すると【片手剣】みたいに、ちゃんと分類されたスキルが貰えるんだよ』
『流石レオラ……えっ、あっうん大丈夫、あーそうね……ごめん途切れて、ほらイベントで一緒になったパーティーと今いるんだけど、新情報こっちで掲示板上げといた方がいいんじゃないって』
『あー掲示板、面倒だけどやっといた方がいいよね』
『まぁレオラはね』
書かなかったとかで絡まれるのは絶対に嫌だし、仕方ないよね。
『話すから、お願い出来る?』
『いいわよ、こっちとしても生で聞けるのは有難いし、今度知りたい情報があったら教えるわ』
『うん、お願い。えっと先ずは左の奥ファスタの森深層に入るんだけど、結構大変な敵が多かったの。でも何とか奥に行くと試練を受ける前のテストみたいな事でボスと戦うのね、それを突破すると試練に辿り着けるんだけど、そこで試練を受けて突破すると報酬、試練の場は色々な場所にあって、難易度が難しくなるごとに報酬も違うみたい』
『成る程……書き込んだわ! っと、凄い伸び。皆ダンジョンの事で掲示板に貼りついていたみたいね。そんな時のこっちの情報が出たらそりゃ阿鼻叫喚よ』
『ダンジョンは試練を突破しないと入れない場所にあるとだけ、多分これくらいなら言って良いと思うんだけど、基本秘密なの』
『色々あるみたいね、じゃあダンジョンもそれ関連らしいとだけ書き込んどくわ』
『うん、ありがとう』
『こちらこそありがとう……うわぁ、凄い早い。どうやって行ったかが分かったら他の質問が沢山来てるわね、一応ゲーム的に秘密らしい言うとどうなるか分からないから黙秘ってしとくわ』
『そうして、言えないように誓約とかしないといけないからさ』
『結構本格的ね。それでもやっぱり聞いてくるのはいるわね、答えないわよ。あー、でもこれは移動する人が多そうね、掲示板見た限りでも今ダンジョンの街に着いた人達は、さっそくそっちに行くらしいわよ』
『そっか、じゃあ早々にどっか行ってから、今来ましたってやった方が安心だね』
『安全ならそれがいいかもしれないわね』
『じゃあ今ダンジョンだから直ぐに回るね』
『ごめんね、ありがとう』
掲示板かぁ、頭からすっぽり抜けてたよ。
話ながら私もちらっと見たけど、見た事無いほどすぐに進んで行くから目が痛くなりそうで閉じちゃった。
さて、気を取り直して出発!
少し進むとやはり道が分かれていた。分岐は右前左の三方向。一応地図は自動マッピングなのでまっすぐ前に行くことにしよう。時間があれば全部埋めてから行きたかったけど、此処に人が押し寄せてくる可能性があるのなら、さっさと行ってしまうのがいいよね。
ある程度進んだら、もう一つのダンジョンに行って、ほとぼりが覚めたら私も戻って来る感じで。
聞いたことある音が前方から聞こえてきた。
音の正体はやっぱりスケルトン。でもイベントで見たよりも装備がしっかりとしているし、少し大きいような気もする。【鑑定】してみると、やっぱりスケルトンコマンダーで、普通のよりも結構強い奴だ。走って来てるからシュール。
でも私も新たな装備を手に入れて、魔法を撃つことが出来るようになったからね、スケルトンなんて目じゃないよ!
三匹のスケルトン撃破から、何回目の分岐を無視して真っ直ぐ進む。出てきたのは他にグールが出てきた。腐った見た目だけれども、匂いは抑えられているので見た目は気持ち悪いけどなんとか突破出来た。
ただ、通路がそこまで広くないので、うちのモフモフ達がちょっと詰まり気味。アルフは壁を蹴って相手の後ろに行くなど上手く攻撃しているけれども、ミュンちゃんがちょこちょこ出来るスペースが少なくてちょっと困っているみたいだ。
後はナードが大きいので、並んで攻撃出来ないのも地味に痛い。まさか此処に来て手持ちの少なさを感じるとは……でも私はモフモフとロリショタ以外コントラクトする気はないのです! ないのです! だから新たなモフモフよ、出てきてくれー。
そんな心の叫びと共に二階を発見。結局逸れずに真っ直ぐが正解という……。逸れてたらえーってなる造りだね、運営の罠だ。
二階層も真っ直ぐ行ってみたけど、今度は突き当りにぶつかったので左にそれながら前に進むことに。方位に関してはマップで見れるので結構楽だ。
二階層は出てくる敵も変わらないので、全然苦労することなく進むことが出来た。
ただ、階段が裏目裏目で結構な時間が掛かってしまったのでちょっぴり疲れてしまったくらいだ。
三階層目は新たな敵が出てきた。
青い色のジェル状のモンスターが上から降ってきた。私のじゃなくてナードの上に。ナードは気が付いていたのか自分に当たる寸での所で手で振り払って地面に叩き落とした。
名前はスライム。定番の敵だね! 目口などはなく、真ん中にコアが薄っすら見えるタイプ。これは色々なゲームと同じく物理に強く魔系に弱いので、フェリに斃してもらった。
四階層目はそこまで多くの分岐が無かったので直ぐに大きな部屋へとたどり着いた。今まで扉等無かったので、ボスかモンスターハウスかと思って警戒していたらセーフティーエリアだったという、安心だけど脱力しちゃう感じ。
そのままご飯休憩をしてから私はログアウト。
今日は結構ハードなプレイをしたので、そのまま色々して寝る事にした。
ログイン。
今日は昨日の続きから。
入る前に軽く掲示板を見たところ、ファスタ深層がにぎわっているらしいけど、そのぶん死に戻りも多く停滞気味になっているとの事。やっぱり最前線の攻略組はあと一歩でダンジョンに入れるところまで来ているので、こっちに来るつもりはないらしい。中途半端に投げるくらいなら最初から狙ってる方ってことだよね。
それに、多くの人がこっちに来るなら、逆に人が少なくなって狙い目だもん。
ただ、俺達攻略組を抜き去ったのは何処のどいつだ的な投稿も見たから、ちゃんとばれないようにしないとね!
さてさて皆さんおはようございます、それじゃあ五階行きますよ? っとその前にご飯ご飯。
五階は、イベントのダンジョンと同じく扉が階段を降りてすぐに設置されていた。
なので此処はボスだという意気込みで入る事に!
入ったら……正解はモンスターハウスでした。
沢山のスケルトンコマンダーとグールとスライム、そしてなんでいるんだゴブリンコマンダー。ただ部屋はある程度広めなので、皆は今までのうっ憤を晴らすように各々攻撃を仕掛けて行っている。
取り合えず私も参戦。ただフェリ一人残して置いて狙われるのは嫌なので、護衛をしながら私も魔法&魔術のレベリング。近づいて来たら斬り倒す。この程度の敵ならもう問題ない、オーガに比べれば全く問題ない。
数がいたぶん少しだけ時間が掛かってしまったけれども、それでも早めに処理できたと思う。
全部の敵を斃し終わったら、真ん中に宝箱がポンと現れる。
こういうところで罠に嵌まる可能性もあるので、開けるときは直ぐに避けられるようにしながら、そして出来れば手では無くて武器で開ける。
そんな警戒に反して罠は特になく、出てきたのはMPポーションが3つ。結構いいものだ!
アイテムを取ると宝箱が無くなり、奥の扉が開く。やっぱりここはボス的な位置づけの場所だったのかもしれない。
扉を潜ると直ぐに小さなセーフティーエリアに入った。だがそこには小さな神像が置かれており、カードに記録しますかとディスプレイが出てきた。
つまり、此処で記録しておくと次は此処から潜ることが出来るって事かな? それは有難い。
登録し終わると、転移するかどうかのディスプレイに切り替わったので、NOを選択。まだもう少し行ってみたいよね。




