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ナデサセテ・コントラクト  作者: なでり
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第二十三話 光に反射し鈍く光る、皆大好きなア・イ・ツ?




 大きな人型のゴーレムが倒れていく。

 物理は効きにくかったのでまたしてもMPを使う羽目になってしまった。それに耐久力も結構あり大変だった。


 ビッグゴーレムが斃れ、光の玉が水晶に入り粒子と消えて階段が出現。三回目になるともう慣れてしまった。


 土のダンジョンも面倒くさいと言えば面倒くさかったけれども、洞窟の中を歩きゴーレムを斃すだけだったのでそこまで大変では無かった。


 外に出るとサイガ達が丁度階段を上り切ったところが見えた。


「今度は一緒ね」


 タイミング的に丁度同時に討伐完了したようだ。

 サイガ達も何も被害が無く切り抜けられたらしい、いいことだよね。


 西に歩いて行くと、今迄には見たことが無い行列が……。

 どうやらこの人たち全員西のダンジョンに入るために並んでいるプレイヤーらしい。もしかして順番通りに来た私達が後続組に追い抜かれてしまったのだろうか。


「ん? あぁここは生産者とお金稼ぎをしたい人達が集まってるからずっとこんな賑わいらしいわよ」


 チラリとサイガを見ると、なんともないようにそう言った。


「お金稼ぎ?」

「そう、この金のダンジョンはその名の通り少量の金が出るの、それに金属系の生産素材が取れるから生産者やお金を稼ぎたい人が此処に並んでるのよ。なんでも入ったら一度しか出会えない敵がいるから、ボスを斃してもう一回並んで周回するしかないらしいのよ。後はボスのドロップ狙いの人もいるらしいわよ」

「ボスは何を落とすの?」

「玉鋼よ、此処で落ちるのは通常の敵から鉄と鋼鉄、そしてボスから玉鋼。運がいいと金が道中の敵からドロップするらしいわ」

「成る程、それでこの賑わいなんだ」

「結局待つことに変わりはないけど、追い付かれてるわけじゃないわよ」

「それならいいのだ、私はモフモフしてよ」


 ではレッツモフモフたーいむ。今度モフモフ用の櫛でいいのが有るか商業ギルドの人に聞いてみよ。レベルアップ毎にほんの少しずつ毛並みが良くなってるとはいえ、やっぱり努力は惜しんじゃいけないよね。さぁもふもふ、もっとモフモフになるのだ!


 堪能していたら順番が来たらしい。

 装備を確認していざ出陣。


 中は鉱山のような風景だった。岩肌がごつごつと突きだし、等間隔で明かりが灯されている。


「うーん、残念ながらこの壁は発掘ポイントじゃないね」


 へぇ、おーさんは【発掘】持ってるんだ。私も【採集】とか取った方がいいのかなと思いつつも、今のところそんなにモフモフ達に必要だと感じないから取ってないんだよね。まぁ今後モフモフ達かロリショタ達に必要になったら考えようかな。


「敵!」


 出てきたのは、土のダンジョンで出てきたゴーレムと似ているけれども、もっと固くてゴツゴツしているゴーレムだった。やはり物理は効きにくいようだけれども、以外と打撃が効いている。そう分かった瞬間ナードはめためたに殴り始め、他の子達も体当たりやら近くに落ちている石で殴ったりと散々やっていた。

 これぞ野生? なんか違う気もするけど可愛いからいいか。


 このダンジョンは幾重にも分岐している道を進む。たまに落盤して道が通れなくなるので、地図だけを頼りにしていると着かない。落盤すると、どこかの道が新たに開通している事もあるので、ちょっとした迷路だ。


 何を稼ぎたいかによって違うけれども、金を稼ぎたい人はしらみつぶしに金を落とすエネミーを探すらしい。確かにコイツがいたら目立つから見つけやすいだろう。


 ソイツが現れたのは、2層目に入って直ぐだった。光に鈍く体を反射させたソイツはよく目立つ。全身金ぴかは、良く目立つ。


「ラッキーね」


 サイガが嬉しそうに矢を放つ。コイツが確定で金を落とすエネミーだ。なんでも、出会ったらその者たちは一度出ないと出会えず、またいくら探しても出会えない事もあるエネミー、ちゃんとしたレア。


 ゴールドゴーレムは魔法に強く物理に弱かった。物理に弱いので、ゴーレムからしたら私達のチームとは相性最悪だ、ご愁傷様。


 アイテムボックスには鉄と鋼鉄そして金が仲間入りした。イベントが終わったら金だけ冒険者ギルドに預けに行こう。直ぐに売ってしまうのも勿体無いしね。


 その後は特に何事もなくボス部屋へ。ボスはビッグロックゴーレム、岩を体に付けたようなごっつい奴だった。MPを消費したけれども、特に苦戦することは無かった。

 ゴーレム系はスピードが遅いので的、一撃貰ったら危なかっただろうけど、当たるような子は居らず此方の一方的な戦いになった。土と金でちょっと不完全燃焼、仕方ないと言えば無いけどさ。


 出たのは私の方が早かった。ボスに入ったのが私の方が早かったので待たせる事も無い。そしてすぐにサイガ達がやって来て移動になった。此処は人が多いから。

 隣を出てきた人も直ぐにまた列に並ぶために小走りで走って行ったりと忙しないし。


 



 さてさてやってきました最後のダンジョン、水のダンジョン。此処をクリアすれば木火土金水と順にクリアしたことになる。


 水のダンジョンは人気が無いのか直ぐに入ることが出来た。そしてその理由も直ぐに分かった。


 第一層は湖の上にかけられている、低い木の橋を渡るステージ。

 私達に向けて魚がものすごい勢いでタックルしてくるし、水鉄砲を飛ばしてくるしで面倒臭いし地味に痛い。

 橋もそこまで広くないので、一列にならざるを得ず、隊列も横から飛んでくる攻撃に殆ど意味をなしていなかった。


 さっさと抜けようという総意で、小走りに1層を通過。2層に行く手前で少し休むことになった。


「ねぇ2層は何が来るの? 僕はもう魚は嫌だよ」

「2層は魚とカエルね」

「カエル?」

「2層は沼と水たまりのステージらしいわ、沼にはカエルが水たまりはたまに深い所があって、そこに魚がいるらしいわよ」


 なんだか行きたくないステージに聞こえる。


 実際2ステージ目も苦戦してしまった。今度は橋が無いので自力で沼を渡らないといけない。沼の泥に足を取られて縺れるし、モフモフ達はぐちょぐちょになってしまうし最悪。

 やって来るカエルは軽快に跳ねて舌を伸ばして攻撃してくる。物理が効くので舌を切り飛ばしたりと戦いやすいはやすいけど、いかんせんフィールドが相手に有利過ぎた。


 漸く2層を抜けた時にはヘロヘロだった。

 沼を抜けたら次は水たまりステージ。気にしないで歩ていくと深い落とし穴のような水たまりに捕まって魚の強襲を受ける羽目になる。良いことはこの水でさっきの泥を洗い流せたくらいだ。

 水たまりを全て警戒して進まないといけないのは結構疲れた。


「メール? ……どうやら、間違っていなかったようね」


 サイガの呟きに私もメールを開く。丁度3層の入り口で休憩していた時なのでタイミングがいい。

 内容としては、全てのボスが正規の順番で倒されたので、北東に新たなダンジョンが出現したことが書かれていた。北東、つまり鬼門だね。確かに推測はあっていたみたい。


「折角だし急ぎましょうか、2日でイベントをクリアしたら結構いいスコアになると思うわよ」


 という事で急いで3層へ、3層は水に潜らないといけない。出てくるのは水の中に魚、そしてカエル、沼地じゃないのに。最後に新しいモンスター半魚人のような奴だ。緑の鱗で二足歩行をした魚頭のこいつらは、槍を持って突撃してくる。でも前衛が上手くさばいてくれているので此処まで来ない。半魚人が槍を持って突撃してくる姿は結構シュールだなと思いながらサポートと魔法を使いつつ応戦していった。


 その後来た水中を潜り抜け。家の子達も一緒に潜って器用に水を通り抜けた。このなんとも不自然な大岩のせいで大変だ。潜り抜けた先は地底湖のような少し広いことろで、溜まっていたモンスターと連戦。小規模なモンスターハウスだ。


 そこを抜けて更に潜ってとモンスターハウスを2回繰り返した。


「これは……やっぱり運営からのメッセージかしら」


 サイガが嫌そうにつぶやくと、他の面々も頷く。私だけ分かっていないのだけど、それは経験の差だね。


「メッセージって?」

「今後こういうダンジョンやフィールドがあるって事ね、今回みたいに水を潜ったりするからその対策を取っておけというメッセージ。大きく取ると、プレイヤーが普通にプレイするのが難しい環境での戦闘への対策を取っておけという警告って事ね」

「なる程……」


 でも水中にモフモフはいないだろうから今度でいいや。


 そんな事を思いつつやってきたボスは……大きなカエルだった。ぎょろりと目が私を捉えたところで戦闘開始。御供は半魚人共だ。今回は私が半魚人共を斃して皆はカエルに集中してもらっている。というのも、半魚人はHPが少なそうだと先ほどの戦闘を見て思ったからだ。


 剣を抜いて走り抜けながら首を斬る。首が無理そうなら咽喉や心臓の辺り。走り抜けて振り返り生きている魚共を捌いて行く。倒し終えたらすぐさまカエルへ。ボスガエルは毒の液体を吐いてくるので要注意だ。しかもその毒が床から消えるまでに少しの間残るのでフィールドが狭くなる。本体に足を掛けようとしてもぬるぬるしていて足がかからないので、地道に削っていくことに。


 結果、サイガ達を少しだけ待たせてしまった。やっぱりモンスター用の武具をしっかりと見繕って行けというお告げなのかもしれない。


「このまま鬼門に行くでいいのよね? 一応二連戦で疲れたと思うけれども、休憩できると思うから」


 その言葉に少し疑問を感じながら鬼門へと行くと……金ダンジョンにも負けず劣らずの行列が。やっぱり新たに出てきたダンジョンには入りたい物なんだね。きっと他に並んでいた人たちが此処に集まってきてしまったのかな。確かにこれは並んでる間に休めそうだよ。


「私的には此処に何かしらのヒントがあると思うのよね」

「レイドの?」

「そう、此処でヒントや鍵、そして裏鬼門でレイドがまぁ王道というか流れてきな気がするわ、最初のフィールドイベントだし無理はしないはずね」

「もし終わっちゃったらダンジョンは消える?」

「どうかしら、消えないとは思うけれども、クリアした瞬間に別空間へ転移する可能性も十分に考えられるわ。だって脱出ゲームだから」


 そっか、それじゃあもし鬼門でモフモフを見つけたら早々にゲットしないといけないって事ね。

もし裏鬼門が出たら見に行くだけ行ってもいいかもね、貢献度的に。




誤字報告ありがとうございました、訂正いたしました。

第十三話から、酔って来た→寄って来た

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