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ナデサセテ・コントラクト  作者: なでり
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第十三話 太らせて見せよう! 餌付けは偉大なり!



 エヌアの街の北門から出ると、直ぐに森に突入した。

 やる事無かったら東門から鉱山にでも行ってみようかと思っていたけど、お肉があるなら話は別だ。


「よしみんな、頑張ってお肉採ったら出来るだけ頑張って料理して皆にごちそうするね!」

「わふっ」

「きゅっ」

「がぅ」


 アルフとナードは首を上下に、ミュンはぴょんぴょん飛び跳ねてやる気を示してくれた。運営からはコントラクトモンスターに食べさせたらいけないものはないって教えて貰ったし、沢山作らないとね。


「っと、そうだ新しい魔法取らないと」


 取ろうと決意してから全然取ってないからSPも余っているので4つ取れる。まぁ4つなら地水火風を取って……。

 終わっとる……。

 4つ取ったら全部の魔法取れるだけ取れたことになった。まぁ当初の目標の第一段階をクリアしたからいいか、どれもこれもいい感じに上げて行こう。あと弱点突いて行こう、こんだけ属性あるなら。


 スキルの配置を変えられるらしいので、綺麗に並べ替えて終了っと。地水火風の初期は全部バレット系だったので、特に他の魔法と変わっている感じではない。


 森は外縁よりも木々がうっそうとしているので、少し薄暗い。ゲーム内時間ではお昼過ぎなので明るい時間ではあるけど。でも夏とかに来たら丁度良さそう、涼みに来たい。


 歩いて行くと、茶色い肌をした豚に猪の牙を付けたような頭の、お腹でっぷりなモンスターが現れた。取り合えずレベル上げの為にコントラクトしてから色々と魔法を試し打ちする。

 出てきた数は4体、私に一体付けて後はミュンがかき乱してアルフが追撃、ナードが壁になって戦闘中だ。良い連携。

 【鑑定】してみるとオークだったので、こいつらが肉である。オークの身長は結構高い、2メートルくらいだろうか。その分歩みが少々遅い、力はあるみたいだけど。装備としては素手に腰みのである、女性的にはキモイという外見だと思うが、私は普通である。特に問題ない。


 歩みが遅い事をいいことに、離れて魔法を撃ってを繰り返していく。皆が3体仕留め終わったところで私も新調した剣で首を薙ぐ。


「あっ」


 どっちかというと叩き折るみたいな感じになっちゃった、最近道場の剣はサボリ気味だったからかなぁ、反省。

 だけどアイテムボックスには無事オークの肉という素材がドロップしていたのでよしとする。それじゃあどんどん狩ってこ~。


 オークと戦う事4連戦、今度は違う敵が出てきた。出てきたのは身長の小さな子鬼、緑の肌のゴブリンだ。序盤に定番のモンスターで、数は8体と多かったけれども問題なく斃せた。ただドロップが無かったのが残念だ。ゴブリンって何落とすんだろ。あの頭に生えている小さな角かな? それとも耳? 調合に使えたりとかするんだろうか? 今度掲示板で情報を漁ってみよう。


「そうだ……確かめてみないと」


 先ほどの戦闘でゴブリンにファイアバレットを撃ってみたけれども、もし落ち葉に当たったら引火するんだろうか? という疑問がふと頭をよぎったのだ。


「ファイアバレット」


 落ち葉に向って射出! 落ち葉は軽く燃えて灰になった。という事は燃えるので森が火事になるのかと思い何回か試してよく観察してみると、どうも一定区間内にしか燃え移らない様子。つまり大規模な火事にはならないけれども、近くの木が2本くらい燃えてしまう事もあるという事か、気を付けよう。


 その後も順調に来ていた……だがルンルン気分の狩りはそこまでだった。


「なっ!」


 私の目の前に現れたのは、ガリガリに痩せ細った犬が2足歩行をして、血走った眼で涎を垂らしながら此方に向ってくる姿だった。全体的に茶色い毛並みなので、犬っぽさが際立つ。


「もふもふー!」


 そう、モフモフだったのだ。確かにガリガリだけど、きっと進化すればもっとモフモフになるはず、なるはずなのだ! これはゲットするしかない、するしかないぞぉ。


「【契約】。シャドウバレット……ストーンバレット」


 出てきたのは3匹、結構弱かった。名前はコボルト、次の仲間だ、決定である。枠も一つ余っているのでコントラクト出来たら直ぐに呼び出す所存である。


「もふもふ~出ておいで~」


 呟きながら森を探索。中層を縦に進めばティーリの街に着くらしいけど、私はあっちへうろうろこっちへうろうろとコボルト探しである。


 そして漸くその時を迎えた。


「やった! 成功してる!」


 アイテム欄には『コボルトの契約石』の文字が! 早速その場でコントラクトとして召喚! 出てきたのは他のコボルトと同じく血走った眼をしていて涎を垂らしているけれどもモフモフ。なでなで。ただ他の3匹と違ってなんだかちょっと鬱陶しそう? なんでだろ、撫でられるのが嫌いなのかな。取り合えず撫でるのを止めて様子見かなぁ、嫌なな事はしない主義なので! 

 それにしてもなんというか毛並みが取っ散らかってるし綺麗にしてあげたいよね。先ずはガリガリ改善のお食事からかな! ならば、さっさと帰るべし!


 エヌアの街へ一直線。途中モンスターも出て来たけれども基本速攻体制で倒した。歩きながらコボルトのブレアのステータスを再確認。



名前:ブレア

種族:コボルト Lv1

基本値(BP:0):STR:5 VIT:4 INT:4 MDF:3 DEX:5 AGI:5 

スキル:【殴り】



 こんな感じで平均的だ。INTが4あるので将来魔法を使わせるのもいいかもしれない。でも帰りの戦闘を見てると皆と同じく突っ込んで行っているので前衛にしようか……悩む。


 悩んでいたら街に着いたので皆を泣く泣く帰還させる。


 寄り道をすることなく生産施設へ。今回も料理と一応錬金を選択して2時間ほど。


 そしてまな板の上に取り出したるはオーク肉! オーク肉は四角いブロック肉のような形で出てきた。これを好きに切ったりミンチにしたりしていいという事だろう。取り合えず切って焼いてみた。


 それでは頂きます。……成る程臭みが無くて豚ちゃんよりも味が濃ゆい。これは色々と使い道がありそうなお肉だ。取り合えずステーキと肉野菜炒めを作って食べてみる。塩は買ったけれども他の調味料は無いので、シンプルな仕上がりだ。お肉はそこそこあるので他にも煮たりしてみたがこれも美味しい、けどやっぱりたれが欲しい。


 そうこうしていると、どうやら【料理】のレベルが上がったようで、新たなレシピを覚えていた。オーク肉の肉野菜炒めとオーク肉のステーキだ。もしかしたら、レベルアップまでに作ってそこそこの出来栄えの物がレシピ化されるのだろうか? 煮つけは微妙だったのでレシピとして認定されなかったとか? うーん、まだ情報が少なすぎてなんとも言えない。取り合えず、作ってみるか。



名称:オーク肉の肉野菜炒め(MP)

☆:5 品質:C 

製作者:レオラ


名称:オーク肉のステーキ(MP)

☆:5 品質C

製作者:レオラ



 うん、美味しい。特にステーキは塩で肉の旨味が引き立つので美味しい。さっき食べたお肉よりもジューシーな気がするし。肉野菜炒めも美味しかったけれども、やっぱり何か合うソースが欲しい。塩だけでも美味しいけど、せめて胡椒が欲しくなってしまう。


 そんな事を思いながら今ある食材を全部料理に変えてから生産施設を後にする。

 今は北門に結構人がいるので、ファスタ側の出口から出て、少し人目に付かなそうな場所に移動。


 4匹は何故此処に来たのか分からず首を傾げているがキュートすぎてSSしてからわしゃわしゃした。相変わらずブレアはちょっと嫌そうなので直ぐに手を引っ込める。


「さ~て皆、ご飯ですよー」


 大皿の肉野菜炒めを出すと、4匹は先ず匂いを嗅いでいるようだ。一応安全だよという事を示すために、買ったフォークで見せつけながらモグモグ食べる。すると先ずはブレア以外の3匹が食べ始め……始めて一気にがっついた。それを見てブレアも素手で掴んで食べて……両手に持って口に放り込んでほっぺが膨らんでいた。


 あっという間になくなったので追加。結構狩ったけれどもこの分だと直ぐになくなりそうだ。


 ラストのお皿を半分まで食べたところでお腹いっぱいになったのか近くでごろんと横になる面々。しかしブレアだけは食べ続けている。

 結局ブレアが最後まで食べきったけれども、食べすぎてちょっと辛そうなので私に寄りかからせる。


「クゥ」


 ブレアは一瞬私を見て小さく鳴いた。感謝なのか謝罪なのか分からないけれども、軽く頭を撫でても嫌がられなかったのでそのままちょっと撫でる。勿論寄って来た3匹も撫でる。ツンデレ? それもまた可愛い~、もっとモフモフにしていっぱいなでなでしてあげるからね!

 

 まぁなんというか、餌付けしました! って感じだけど。まさかご飯を上げるだけで撫でさせてくれるとは、可愛い奴め。


 それにしても、このスピードだともっとオーク狩らないといけないなぁ、それにお野菜代もかかるし。今日はオークの肉のドロップ品を除くと、コボルトの骨って奴しかないから売れるか分からないし。でもティーリの街まで行けば熊皮鎧の需要も下がる可能性があるから、不良在庫抱えるのも嫌だしなぁ。


 ちょっとけんざんさんに相談してみよう。仲良くなれるチャンスでもあるし。折角普通に話せる人なんだから仲良くなりたいよね。


「おっ、メール早い」


 内容は、今コールしても大丈夫ですか? という事だったので、此方からコールさせて貰うことに。フレンドトークは他の人には聞こえないし、便利だ。


『いきなりすいません』

『いいのいいの! それでコボルトの骨だよね。骨も鍛冶に使えるから買い取れるけど、今のところそこまでたくさん使う必要も無いから、ギルドに納品した方がいいかもしれません! 後熊は第2陣を考えればまだ買い取ってくれるところは多いと思いますよ!』

『成る程、やっぱりお金稼ぎは熊なんですね』

『今のところはね! でもティーリの街に行くまでの次のボスが皮と少量の鋼鉄、それに肉も落とすからそこの方がいいかもしれませんよ!』

『えっ、何ですかその私にとって都合のいい敵は……』

『ボスのネタバレとか嫌いですか?』

『気にしないです』

『それなら、次のボスはオークコマンダーです! 取り巻きはオークウォーリアーとゴブリン! お肉はオークからドロップ、皮はコマンダーとウォーリアーが落とします。鋼鉄はコマンダーのレアドロップです、なんでもコマンダーの持っている剣が鋼鉄製らしく、ドロップは鋼鉄のインゴットらしいです。ウォーリアーは基本木のこん棒を振り回してくるそうなので、もしかしたら木のドロップもあるかもしれません! まだ情報が少なくてなんとも言えませんけど』

『成る程、分かりました、ありがとうございます! それから、簡易料理キットみたいなのを売っているところを知りませんか?』

『それなら生産ギルドに売ってますよ! もしオークの皮と鋼鉄が出たら私達に売ってください! お願いします!』

『はい、多分そうなります』

『やった! ズグルにも言っておきますね! 奮闘を祈ってます!』


 さて、それじゃあお金アンドお肉狩りに行きますか! もふもふのお腹の平穏の為に!






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