第十四話 モフモフッ特殊進化だ! おーくもいるよ
私は今肉を焼いている。
周囲の視線はナードに遮って貰って、セーフティーエリアの端っこで簡易調理セットを使い料理中だ。
オークコマンダー、ウォーリアーに関してだけど、正直フォレストベアの方が厄介だった。
オークコマンダーは、オークを更に一回り大きくして武器を持たせているモンスターだった。動きはオークよりも早いけれども、それでも遅い部類だ。それに人型なので対処がしやすい。フォレストベアは四足と二足の切り替えが地味に面倒臭かったけれども、オークコマンダーは先に足を潰せば後は楽だ。オークコマンダーの外皮は硬いけれども、刺突剣が役に立つ。一点集中で狙えばいい。
でもモーションに慣れてしまえば足を潰すまでもない。攻撃力は確かに大きい。私なんて当たったら無事で済むか分からないほどだ。でもボスと言えどまだまだ序盤のボス、モーションがそこそこ分かりやすい。斬り下げ、斬り上げ、突き、この三種類の攻撃しかない。基本中段から上に振りかぶったら斬り下げ下は上げ、フェイクも入ることは無かったし分かりやすい。
突きに関しては不意に出てくる、予備動作も斬り上げと下げのモーション途中から不意になのでちょっとわかりにくいけれども、中段に構えているときに剣先が少しだけ上下に二度ぶれると突きが来るので、しっかり見ていれば全て躱せる。
此処に蹴りとか、剣を囮にした殴りが入って来ると対処も面倒なんだけど、剣一辺倒で正直弱いと思った。
なので、コマンダーは私が相手をして、ウォリアー3体とゴブリン4体は皆に任せてしまった。ウォーリアーの動きはオークよりもまし程度だ。棍棒を上から下に振り下ろすくらいしかしてこないので、ナードが直ぐに殲滅してくれる。殲滅するまではアルフがかく乱しつつ攻撃を与えているので、ナードとしてもやりやすそうだ。
ゴブリンの方はミュンの頭突きで散る事もあるし、ブレアが殴って倒す事もある。ゴブリンは正直なんでいるの? レベルなので2人が直ぐに終わらせる。
順序としては、ミュンとブレアがゴブリンを斃し、その後ウォーリアー戦に参戦。ウォーリアーが片付いたら皆でコマンダーをフルボッコ。戦力強化を加味しても強い敵じゃない。
3回狩ってご飯を作りを繰り返す。レベルも少しだけ上がった。流石に上がりづらくなってきたようだ。ただナードのレベルもかなり上がり難いようで、結構前にブレアに抜かされている。等のブレアは餌付けしまくってめっちゃ撫で繰り回させてもらった。それでも振り払うようなそぶりも、嫌そうな感じもなく、逆にちょっと体を預けてくれている感じがたまらん。その時は目を閉じているので本当に犬の様だ。勿論皆も撫でる、だってモフモフがそこに居るんだもの。
アルフはちょっと嫉妬しちゃう寂しがり屋なので目一杯撫でて可愛がるし、ミュンはしれっと隣に居て撫でるんでしょ? って感じに首を傾げてくれて超キュートだし、ナードは基本撫でられても悠々としてるけど、耳がちょこちょこ動いて嬉しそうで可愛いし、ブレアも撫でさせてくれるようになったけど、逆に変なところで遠慮することがあるから、そういう時は強制モフモフタイムに突入、そんなところもかわゆいのです。
美味しそうというか、いつも通りがっついている皆を見ていると、やっぱり周囲の目線がちょっと気になる。フォレストベアの時よりも人が多い。ダンジョン効果なのかな。
そのせいで私も注目を浴びている。多分理由は三つ。
一つはナード、言わずもがなレア種。
二つ目は料理、このゲームは別に料理を食べなくても支障が無いので、セーフティーエリアで食べている人を見たことが無いし、それはコントラクターモンスターも同じなので奇妙に見られているんだと思う。食べても基本街でなんとなく美味しそうだったからとか、太らないからとかいう理由でたまに食べるくらいと掲示板に載っていた。
三つめは私。なんでもナードの契約石を取るのに必死で、ぐるぐるしてる私の事が載っていたので、もしや今回も的な感じで見られている。
そんな注目を浴びている私はやっぱり人の視線が苦手なので、モフモフ達がご飯を食べ終わりしだい、逃げるようにボスフィールドへ。ボスフィールドに入ってほっとするって言うのも変な話なんだけどね。
「おっ、進化!」
何戦したか分からないけれども此処でブレアがレベルアップのランクアップ! セーフティーエリアだと注目されるので、ボスフィールドのまま終わらせてしまおう。
進化先は、コボルトウォーリアーとレッサーワーウルフ。ってあれ?
掲示板で見た時には、コボルトの進化先はコボルトウォーリアーしかなかったはずなんだけど? でもまぁ名前から察するに狼人間になる前段階みたいな感じだよね? 折角のレア進化だしそっちに決めよう。あと一応SSして沙織に見せてみよ。
名前:ブレア
種族(2):レッサーワーウルフ Lv1
基本値(BP:0):STR:10 VIT:7 INT:6 MDF:7 DEX:7 AGI:8
スキル:【殴り】【強襲】【身体強化】
平均的な数値で、STRがちょっと出てる感じだね。新しく来たスキルで気になるのがやっぱり【身体強化】かな。MPを使ってSTRとVITを少し上げる効果みたいだけど、これって平均的にMDFも上がってるブレアとしてはいいスキルなんじゃないかなと思う。
でもやっぱりうちのパーティーは前衛しかない。折角なので他の面々も私を含めて再確認しよう、いい機会だし……普段あんまり見ないし。
名前:レオラ
種族:人間(女)
職業(2):コントラクターLv10
基本値(BP:0):STR:12 VIT:11 INT:20 MDF:20 DEX:13 AGI:14
スキル(SP:5):【地魔法Lv3】【水魔法Lv2】【火魔法Lv2】【風魔法Lv3】
【光魔法Lv3】【闇魔術Lv6】【無魔法Lv7】【影魔術Lv5】【剣術Lv13】
【契約Lv6】【料理Lv4】【錬金術Lv4】【鑑定】
称号:[魔神ルドナリスの加護][魔神のお茶飲み友達]
私の場合は何かそんなに変わったことも無いかな。魔法は皆が参戦してきたときにちょいちょい使う魔法が少しだけ上がったのと、【契約】もレベル上げの為にかけているからそれで上がったくらいかな。
名前:アルフ
種族(2):ブラックウルフ Lv8
基本値(BP:0):STR:17 VIT:11 INT:3 MDF:4 DEX:5 AGI:16
スキル:【噛みつき】【引っ掻き】【強襲】【気配察知】
名前:ミュン
種族(2):ホーンラビット Lv6
基本値(BP:0):STR:12 VIT:12 INT:3 MDF:5 DEX:4 AGI:16
スキル:【頭突き】【ホーンアタック】【逃げ足】
名前:ナード
種族:ツキグマ(Ex) Lv2
基本値(BP:0):STR:16 VIT:14 INT:8 MDF:7 DEX:10 AGI:12
スキル:【爪斬】【月光】【殴り】
各々長所が伸びてる感じで良い。ただナードはこれだけやってもまだ2レベル。確かにステータス的には申し分ないんだけどさ……。でもやっぱりレベルが上がると嬉しいし、それにナードの進化先も割とワクワクしてるんだけどなぁ。
それじゃあボス周回再開しよう。
お肉を1ストック貯め込みました。
鋼鉄のインゴットは30個くらいしか出なかった。その代わりオークの皮は1ストック埋まる寸前までいった。
お肉が多めに溜まった理由としては、たまーにゴブリン枠がオークになっていたからだ。オークは基本肉しか落とさないので、肉が多めに溜まった。私としては嬉しい事だ。
一区切りついたのでけんざんさんに連絡を取ると直ぐにメールが返ってきた。この時間なら今から取引が出来るけどどうしますか? ということなので、此方も直ぐに伺うことに。
帰りにもお肉を調達。その時ふと生肉の方がいいのかなと皆に生肉を出してみるも、誰も食べなかったのでそのままアイテムボックスにそっと戻した。生肉は食べなくても私の料理をがっついてくれる皆が更に好きになった。
「此処ですー!」
「こんにちは、ですな」
けんざんさんとズグルさんを発見。例によって分かりやすく神殿の前集合だ。
「インゴット30! 凄いです! ありがとうございます!」
「皮も大変助かっておりますぞ、これだけ一度に納品していただける方は早々おりませんからな」
「いえいえこれからもお世話になります……それから、熊皮はどうですか? 売れてますか?」
「勿論爆売れですぞ、オークの皮はまだまだ出回らない代物ですからな、どうしますかな? 此方としてもまだ熊皮との対比も出せていない状況ですからな……。もし熊皮よりも全体的に高性能であればレオラ殿にご連絡を取って作成するか伺うとしますかな?」
「できればそれでお願いします」
「私は次また新しい素材が出てくるまで待っててください! じゃあお金払いますね!」
「また大金が……」
「んー、生産職だとこれくらいのお金は結構動きますから!」
「単位的に考えるよりも、しっかりと物価と照らし合わせることが大切ですな」
「そうですね、ありがとうございます」
お野菜くらいしか買ってないから分からなかったけれども、今度プレイヤーの露店もちゃんと見ないとね。掘り出し物もあるかもしれないし。
「それにしても……レオラさんまた掲示板で噂になってますよ!」
「熊連れた例の女性が、今度は豚狩りに精を出し始めたとかなんとか書かれておりましたな……」
「またまた狩る時間が短いとかも書かれてましたよ!」
「……いや、たぶんそれコントラクターの中ではって事ですよね。だってプレイヤーがフルパーティー6人で組んだら絶対にそっちの方が強いと思います」
「一概にそうとも言えませんな。パーティーの人数やレベルによって出てくるモンスターの数が上下するようですからな」
「あー、確かに雑魚がいっぱいいても鬱陶しいですよね。私はコマンダーの時間稼ぎをしながら足を潰したり目を潰したり、隙があったら手を潰したりしてるだけですから。コマンダー以外は皆に任せているんです」
「……十分凄いと思いますけど! だって突き怖くないんですか! 掲示板ではコマンダーの突きは予備動作無いから前衛は結構きついって」
「え? ありますよ予備動作」
という事で予備動作を説明。
「あの、良ければ掲示板に書いてもいいですか?」
「いいですけど」
そんなに重要な事だったかな?
「それにしてもよく気が付いたものですな」
「んーこれくらいならゲームで慣れましたから」
「道場ですかな?」
「そうです、似たようなのもありますし。本当に予備動作無しも体験しましたから、やっぱり動作があるとテンポがずれていると言いますか。今回も突きが来るまでのズレがあったので、足なのか手なのか目線なのか筋肉なのか剣なのか、色々観察してオークコマンダーの場合は剣が正解でしたね」
「これでVRMMOが初めてというのですから、恐ろしいですな……」
「VRゲームはしたことありますから!」
「書き込みました! 掲示板の住人さん達がレオラさんに感謝してましたよ! 勿論匿名にしてありますけどね!」
「私掲示板苦手なので、書いていただいてありがとうございます……そうだ、折角なのでちょっと相談いいですか?」
私がそう言うと、二人は一瞬互いの顔を見てから此方に向き直り、一つ首を縦に振った。




