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チートニートスペシャリスト・魔眼の勇者  作者: 鬼京雅
チートポイントランキング一位! 赤魔王ユリリ編
9/78

デスファイアーダンジョン

 んなわけで、俺とカオリはダンポコワールドのチートポイント最高保持者。この世界ナンバーワンの赤魔王が居る城が見えるワープポイントへと転移して到着した。炎で燃えてるような赤魔王の城は全方位を海に囲まれた天然の要塞で、周囲の海域は渦がゴウゴウとひしめくように存在していて容易に進入出来ない状況を作り出しているな……。だーが!


「海はデカイーぜ泳げない!」


 歌の通り俺は泳げない!

 水泳の授業でもビート板を使ってたゆたってバカにされてたからな。

 しかし! 今は泳げる。

 犬かきだけどな!

 チートニートスペシャリストでも、苦手な事はある。

 そんな矛盾が、俺様の魅力の一つさ。

 艶やかだろ?


「いや、絶景かな絶景かな……」


「どこを見てるのアデュー君?」


「パ……パンツ?」


「メッ!」


 コツンッ! と俺はデコピンされた衝撃で崖から落ちた。


「おい! 海に落ちてみて目が覚めたが、やっぱこの状況はキツいな」


「ですわね。この赤魔王城が攻め込まれ無い理由の一つとして海を渡り、あの断崖絶壁の岩肌を超えて赤魔王城の大地に到達しないといけないのです。ここはダンジョンの一つとしてワープポイントから来られる便利な場所。けども来られるのはこの崖まで。ここから先は自力で進まなくてはならないのです」


「そっか……。空を飛ぶ魔法とかは存在してねーからな。どーすっかな……」


 俺とカオリは考えた。この魔王城の見学に来る人間は多い。世界最高の魔王が居る城を見たいダンジョンシーカーもいるからな。けど、俺達は赤魔王を倒しに来た。城を見ただけで満足して帰るわけにはいかねーんだ!


「船があったとしても、あの渦に呑まれてアウト。途中で船を捨てて大ジャンプして渦に呑まれなくても、あの断崖絶壁の魔法結界に弾かれる……」


 断崖絶壁の赤魔王の城を見て思う。


「赤魔王の乳も断崖絶壁かな?」


「それはわからないわ。でも、そういう可能性もあるわね。魔王とは何らかのコンプレックスを拗らせた集大成。それは自身の力を高めるという事もあるから」


「だよな……って、想像してたら鼻血が……」


「アラアラ」


 噴出した鼻血を拭いてもらう。

 そして、頭の上に豆電球がきらめいた!


「そうか……断崖絶壁……まな板だ!」


「まな板?」


「木の板を使い、後ろに疾風魔法で一気に海面を突き抜け魔王城へ行く。今の俺なら出来るはずだ」


 その作戦で俺達は赤魔王城のある大地に立った。

 赤い城の周囲には篝火のように炎が灯っていて赤魔王の魔力の強さを感じさせる。

 悪魔のように見下ろす城を見上げ、俺達は城門に向かい歩き出す。





「とりあえず、戦う前に話をしてーんだが?」


 そびえ立つ赤魔王城の入り口前には多数の門番がいる。

 おそらく内部は更に敵が多いだろ。

 ズババババッ! と俺はモンスターの群れを倒す。


「無駄に戦っても魔王相手じゃなきゃしょーがねーし。ここで少し待つ。カオリ。ゆっくりしようぜ」


「でも三十位のマメ魔王いるよ。小さいけど動きが早い魔王だね」


「お? もう三十位といいてぇが、早く一位に当たりたいんだよ。マメは食べてこそマメだぜ」


 鼻に侵入してきたマメ魔王を途方も無い鼻息で海の彼方に吹き飛ばした!

 身体の内部から攻撃されたらたまんねーよ。


「それに、用があんのは赤魔王だ。お前達も無駄な戦いすんな。家族揃って死にてーのか?」


 城の門番達は動かない。

 ったく、こんな震えた奴等を倒しても気分悪いぜ。


「家族は大事にしろ。俺はもう会えねーからな」


 門番達はそこから何もしてこなくなった。

 俺はここの城下町に行く事にした。

 後ろをついてくるカオリは不安気な顔で言う。


「……ここにほぼ無理矢理連れて来た事、怒ってる?」


「いや、全く。俺は俺の意思でここに来た。チートニートスペシャリストって何でも屋を実世界で実現出来たんだ。後悔はねーさ」


 そして、俺達は一軒の定食屋に入った。

 勇者お断りの看板がありまくりでどこも入れなかったがこの定食屋には入れた。

 情報が流れるのが早いぜ。

 こんな状況を冷静にカオリは判断した。


「このデスファイアーダンジョンにも人が住んでるからね。魔王と共存してるから今の状況を壊されたくないんでしょう。こんな侵入方法をしてのも私達が初めてだろうし」


「そうだな……でもここはそれなりに歓迎してくれるかもな。色んな意味で」


 ここにも勇者が現れた事が知れ渡ってんな。

 店内の雰囲気が全く違うぜ……。

 その雰囲気を警戒するカオリは言う。


「……アデュー君、この定食屋大丈夫なの? 絶対変なモノ入れてくるよ? 出た方がいいんじゃない?」


「いいんだよ。店員さん、注文するぜ」


 そして俺は少し先のウェイトレスを呼んだ。

 カツ丼三つの注文を済ませると、すぐにメニューが出てきた。

 カオリはそれを怪しみ食べようとしない。


「俺がこれを全て食う」


「大丈夫なの?」


「あぁ、問題無い」


 そのままカオリの分までカツ丼を食べた。

 ツマ楊枝をくわえる俺は、


「あー、美味かった。ご馳走さん!」


 ウェイトレスにウインクしてやった。

 ダンジョンの女もカワイイもんだぜ。

 ……ん?

 腹が痛いかもしれん。

 食い過ぎか……?

 腹を抑える俺を見たウェイトレスは言う。


「お客様……」


「お手洗いはこちらーだろ?」


「!? 何故次の言葉を知ってるの!?」


 へへっ、ヒビってやがる。


「お前の言う事なんざお見通しだよ。おととい来やがれ豚足野郎!」


「くっ!」


「上手く化けてるな魔物さんよ。俺の魔眼は結構鋭いんだ。なめんなよ?」


「よくぞ魔物と見破った! 流石は勇者か。料理も普通に食べるとは凄まじい根性だわ。ここで殺すつもりだったけどもう勝てる気がしないわ。毒が通じないなんて思わなかった……」


「残念ながら毒じゃ腹が痛くなるぐらいで死なないんだよな。これがチートのパワーだぜ」


「嫌な力ね」


「んじゃ、お前マジで料理作ってくれよ。じゃねーと処女頂くぜ?」


「……いいわ。どうせ貴方は赤魔王様には勝てない。それに、ここでムダに暴れなかった貴方を評価してあげる」


 そして、俺達は定食屋にいた全員で飯を食った!

 やっぱ、賑やかなのはいーもんだ。

 そして魔物のウェイトレスは言う。


「勇者は、敵を仲間にする能力でもあるのですか……いや、これは彼本来の人としての思いやりの心……」


 んな事を言ってんのは俺には全く聞こえて無かった。

 さて、次は赤魔王を倒しに行くとするか!


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