障害物リレーでの争い
まずは第一走者。
ゴッドとミーナだ。
神幼女とバナナ魔王という対照的な美少女の組み合わせに観客達も盛り上がってやがるぜ。そして、長い白髪をカオリに纏めてもらった神幼女ゴッドは隣を走る金髪ツインテールのミーナに言う。
「のほほ!お前などには負けぬぞバナナ魔王!」
「最高のデザートのバナナを舐めてると痛い目みるわよゴッド!」
「お主が舐めたいのはアデューじゃろう?」
「ゴ、ゴッドー!」
何か二人はもめてやがるな。
ゴッドの挑発でミーナのパワーが増してるぞ。大丈夫かゴッドの奴……。
「そんなに死にたいなら神であろうとも消すわよ!バナナボンバー!」
「のほほ!魔法を使うのもアリなのか?うひょー!」
ズドドドン!とゴッドの周囲にはバナナボンバーが炸裂し、地面に穴が空く。この運動会の魔法使用は自由だ。観客にケガ人が出ない程度ならな。だけどミーナの奴は結構本気かもしれん……やれやれだぜ。
「早く散りなさいゴッド!勝つのはこのバナナ魔王ミーナよ!」
「フン!このゴッドに勝てるのはいないのじゃ!のほほ!」
「このー!」
ズバババーン!とミーナのバナナボンバーが地面に炸裂し、ゴッドはその風圧を利用して次の走者のカオリの胸に飛び込んだ!何て奴だ……。
「後は頼んだぞカオリよ!勝ったらアイスを頼むぞぇ?」
「任せときなさいな!」
第二走者は俺の相棒カオリと赤魔王ユリリだ。先に駆け出すカオリはミーナとバトンタッチしたユリリとの差を広げようと必死に駆ける。だが、赤魔王ユリリは精神的に追い詰めてこの差を取り戻そうとしてるようだ。やはり狡猾だぜ赤魔王……。
「……調べた所、貴女は自分の処女をエサにあのアデューをこのダンポコワールドへ呼んだんでしょ?とんだビッチね」
「あの時はキャンディ王国のピンチだったし、私が勇者を選ぶ運命に選ばれた姫だったから手段を選んでられなかったのよ。けど、アデュー君が望むなら処女をあげるわ。あの約束はただの口約束じゃないし」
「じゃあ、あの男だけに全てを捧げてるのね?」
「当然でしょ。私が選んだ勇者なんだから。どう思おうとも貴女の自由よ」
「その確信に満ちた目……気に入らないわ。潰してあげる」
瞬間、ユリリは火炎魔法でカオリを攻撃した!観客達も直撃した魔法は初めてだったから驚いてやがる。まぁ、俺も多少は驚いてるがな。しかし、カオリは平然とユリリの先を走ってたぜ。流石はカオリだ。
カオリの背中には飴玉のシールドが展開してたぜ。
「こんな時の為のキャンディシールドよ。それじゃお先にー」
「けったいなシールドを!まだ行かせないわよーーきゃ!?飴が溶けて足に絡みついた!?」
キャンディシールドは炎で溶けて地面に残り、ユリリの足に引っかかったようだぜ。これはカオリの作戦勝ちだな。このままリードを広げて圧勝しちまうか!……ん?
「……あれ?ユリリの奴は何をしてるんだ?」
赤魔王ユリリは溶けた飴を再構築して俺の飴人形を作りやがった!ユリリはそれを投げた。カオリはそれをコースの目の前に落とされ、受け止めようとダイビングキャッチしてしまう。それは俺じゃねーが、本能的に反応しちまったようだな。溶けた飴に身動きを取れなくされるカオリは倒れながらもがく。
「う、動けない……」
「その飴アデューに抱かれてゆっくりしてなさい。勝つのは魔王チームよ」
飴まみれになるカオリをおいて、一気にユリリはアンカーのサターンに向けて駆ける。
「くそっ!カオリ!諦めるな!観客もお前を応援してるぞ!」
『カオリ!カオリ!カオリ!』
その観客の声にカオリは感激し、心の強さ取り戻した。
「アデュー君……そうね!」
何とか這い上がるカオリは駆け出した。
俺の前にやっと飴まみれのカオリはたどり着いた。やけにベットリしてるな……ユリリに飴を利用されるなんて屈辱だったろカオリ。
「ゴメン、ちょっとドジした。後は任せたわアデュー君!」
「おう、ちょっとピンチぐらいが丁度いいぜ!」
アンカーはこの俺アデュー!
先に走る魔王神サターンにまず追いつく!
「うおおおおおっ!」
俺は龍王の力を解放し、身体能力を上げて一気に駆ける。けど、何故か敵のアンカーのサターンに追いつけない。すると、サターンの額にバナナがあり、炎で燃えていた。それを見た俺はまさか……と思い言う。
「バナナと炎の力?バナナファイアー?まさかミーナとユリリ……二人の魔王のパワーを使ってるのか!」
「そうよ!この魔王神サターンは神の魔王なんだからね!」
「三人の魔王の力を合わせたのか!やってくれるぜ!」
この差を埋めるにはどうしたらいい?
必死にサターンの背中を追いかけながら俺は考えた。
(チートニートスペシャリストになる余裕は無い。それに、魔法を使わない相手にこれ以上のパワーアップはしたくねーな。せめて観客が納得する勝ち方をしないと、第二回大会なんて開けねーぞ)
この観客達も更に盛り上げるには……観客を盛り上げる?そうだ!観客だ!そして必死に応援してくれるチームメイトのカオリとゴッドの声が俺の全てを活性化させた。
(エロス玉の応用だ……観客とチームの力を俺のエネルギーとして使う!)
両手を広げ、俺はこの会場の俺を応援するエネルギーを吸収した。
シュパアァ!と新たなるパワーを得た俺はバナナファイアーの力を得る魔王神サターンとラスト百メートルのデッドヒートを繰り広げる!
「どうしたサターン!ご自慢の魔法は使わないのかよ!」
「そんなもの今のデッドヒートを見てる観客は望んでないでしょ?なら己の心と身体を弾丸にして駆けるだけよ!」
「よく言ったなサターン!こっからは互いの意地の勝負だ!仲間の力を得た俺は負けねー!」
「こっちも応援してくれる一部の観客と、魔王チームの為に負けられないのよ!」
全ての観客の声が止まるーー。
もう誰もが俺達のどっちかがゴールテープを切るまで声を出せない状態にある。
いい気分だ……この運動会が始まる前はもっと混乱するかな?と疑ってた部分もあるが、これならこのキャンディ王国にも定着しそうなイベントになるだろ。
そして、それには主催者でありこの世界の勇者の俺が勝つ事も必要だ!
『おおおおおおーーっ!』
俺とサターンの最後のスパートでゴールテープは切られ、止まってた観客の声が一気に爆発した。そして、競技トラック中央で審判をしてる少女は勝者を発表する。
「ーー勝者!勇者アデュー!」
と、国王ツバサが宣言してチームアデューが優勝した。最後までフェアな戦いをしてくれたサターンの手を取り、掲げた。
「この戦いに勝敗は無い。本当の勝者はあの観客達だからな。運動会を盛り上げてくれてありがとよサターン」
「……別にいいわよ。応援されるのも悪い気分じゃなかったからね。この世界にも豚の良さを広めてやるブヒ」
「おぅ、任せたぜ」
俺はチームメイト二人から抱きつかれ、メチャクチャにされた。
そして、運動会は盛況のまま終わり第二回の開催も観客から望まれながら次のステージのキャンディ王国祭りになった。




