魔王神サターンとの最終決戦4
「でも、ユイはもう戦闘不可だ。お前もわかるだろサターン」
俺の言葉にサターンは、
「ぐっ……何だこの腹痛は?何か豚以外のものを大量に食べたのかユイは?ぐうっ!」
バナナを食った影響で倒れるユイサターン。
乗っ取りが上手くいかないようで、ユイの方は元の子豚に戻っちまったな。
そして子豚姿のユイは隅に向かって駆け出し、柱の裏でウンコをしてるようだ。子豚の姿でよかったな。
これでサターンは一人に逆戻りだぜ!
「サターン、そろそろショウダウンだ。エンディングに入ろうじゃねーか。もう俺も疲れたぜ」
「そうね……」
切り札のユイサターンを失い覇気の無くなったサターンは、暗い表情のまま答える。何やらぶつぶつと呟くサターンを、カオリは哀れむ瞳で見た。
その姿を見たゴッドは突如叫び声を上げ、
「おいアデュー!早くサターンを始末するのじゃっ! 傀儡カラクリと一体化するつもりぞぇ!」
「何っ!? くっ!」
俺は素早く火炎魔法を撃つが、床の隠し扉の中に逃げたサターンには当たらなかった。その光景を見たカオリは、
「傀儡カラクリの操作盤があるのは傀儡カラクリの真下よ。あそこを破壊できればいいけど、もうサターンに乗っ取られた傀儡カラクリ本体を壊さないとならないでしょうね。壊すわよアデュー君」
「そうだな。今、サターンが侵入した床の隠し扉から傀儡カラクリの心臓部にあたる場所へ行けならその場所には傀儡カラクリの核である豚の勾玉がある。それを使い、傀儡カラクリと一体化し、俺達……いや、あのサターンならこの街ごと始末するつもりかもな。どうせ世界を支配するつもりなら一つのワールドが消えても問題無いからな」
そう言う俺にゴッドは呟く。
「……やれやれ、外にはこのサターンタワーの色彩の変化を見守ってる連中もいるのに、あんな怪物みたいな兵器でドンパチされたら巻き添えで死者多数じゃ。これは早めに始末しないといかんのぅ。ワシも頑張るとするかの!」
言うなりゴッドは懐からナイフを出し、まだ起動していない傀儡カラクリに取り付いた。カオリもそれに続き、ナイフで傀儡カラクリの剥き出しになるケーブルを切断し始めた。
「俺もやるぜ!」
カオリ達の反対側に出た俺は、チートソードとニートソードで傀儡カラクリの内部を壊し出す。
「……」
すると、またドクン! ドクン! と傀儡カラクリの心臓が胎動する音が響きわたる。次第にその鼓動は更に加速していき、内部に居るサターン意思を取り込んだ傀儡カラクリはその姿を生物的な怪物へと変化を遂げた。
「……わぉ。これはカラクリ生物とでも言うべきだな。やれやれ、これは厄介だぞ」
「独り言を言ってる暇は無いよアデュー君」
そう言うカオリの声と共に傀儡カラクリの腕が俺を襲う。ズザザザ! と床のコンクリートを抉り、部屋全体を振動させた。そして傀儡カラクリとなるサターンは叫ぶ。
「アハハハッ! この傀儡カラクリに勝てる統べは無いわ。この街を消す前に貴方達三人を消してあげる」
「この街を消す? サターンは自身の破壊衝動に呑まれているな――くっ!」
更に繰り出される腕を俺達は回避する。すると、ゴッドがおもむろに近づいて来て、
「アデューよ。あの傀儡カラクリを止めるにはお前の持つ勇者パワーが必要じゃ。ワシとカオリでサターンを翻弄し、お主が傀儡カラクリを止める。どうじゃ?」
「そうだな。俺の最後のパワーを傀儡カラクリに注ぎ込んでサターンごと倒す。それが一番の解決作だな。たまにゃいい事を言うなゴッド」
「のほほ!ワシは常にいい事しか言わんのじゃ」
ゴッドの返事と共に、傀儡カラクリの両手が迫る。ギリギリで回避したが、その石の破片を身に浴びる俺は大声で、
「カオリ聞こえたか!? 今の作戦通り行く! 皆の力で勝つぞ!」
「聞こえたわ。――勝ちましょう!」
傀儡カラクリの動きを警戒しつつ、カオリもゴッドも傀儡カラクリを魔法攻撃しつつ走り、注意を自分達に引き付ける。それに傀儡カラクリになるサターンは、
「アハハハッ! そんな豆鉄砲じゃ、この傀儡カラクリに傷一つつきわしないわ! 何を企んでいるか知らないけど、無駄よ! 無駄、無駄! アハハハッ!」
狂気を帯びた声でサターンは俺達を殺そうと目まぐるしく両腕を繰り出す。左右にステップを切り、回避行動を続けるが、突如カオリの身体のバランスが崩れる。
「!? しまった! 抉りとられた床に――きゃああ!」
抉りとられた床に足をとられたカオリは、傀儡カラクリに身体を捕まれた。
「あああああっ!」
ミシミシッ! と全身の骨が悲鳴を上げ、充血する目を見開く。右手に掴むカオリを傀儡カラクリの顔とも言える場所まで近づけたサターンは、
「捕まえたわよ、カオリ。全てこれでおしまい。孤軍奮闘ご苦労様」
「それはどうかのぅ?灯台もと暗しっていうじゃろ?」
「何? ――ゴッド!?」
サターンの視線の先には、傀儡カラクリの動力部に入れる地下部屋の床扉に近づこうとするゴッドがいた。
だが、サターンは右手の力を強めつつ、落ち着いた声で言った。
「そんな事は知っていたわ。傀儡カラクリを止めるにはこの場所を狙う事などお見通しよ。ならば、アデューとカオリは私を引き付ける為の囮でしかないってね。バレバレの作戦ご苦労様。その床扉は開かないわよ神幼女ちゃん」
「――!? 中から鍵をしたか! サターンの奴――ぐほっぁ!」
床扉をこじ開けようとしていたゴッドは、傀儡カラクリの人差し指で弾かれ、壁に激突した。
「……神幼女ゴッド。哀れな女。その程度の痛みで死ぬんじゃないわよこれからが……」
「そうこれからが本番。いくぜ。この皆のエロスを集めたエロス玉……このエネルギーに消えちまいなサターン!」
「? エロス玉!?まさか人間のエロスを集めた玉なの?そんな大きなエロスをどこから……」
「このサターンシティー中からだよ!この街のエロスのエネルギーはお前がこれから体感する事となるぜーー!」
悪魔のように口元を歪めた俺を潰そうと人差し指で襲いかかって来る。
バシュ! と放たれたエロス玉から稲妻のような蒼白い閃光が無数に走り、その室内を昼間のように照らし出した。ズゴゴゴゴーー!と凄まじいパワーとパワーの衝突が繰り広げられ、俺と皆のエロス玉が傀儡カラクリを消滅させた。
スタッ! と床に降り立った俺は、全身の痛みに耐えつつフゥ……と溜息をついた。得意げな顔をする俺にゴッドは、
「のほほ!格好つけおって!ひ、ひた……舌が痛い。喋りたくない」
隠れてアイスを食べようとしてたゴッドは舌が切れて痛いゴッドは口を閉じる。それをカオリはヨシヨシと回復魔法をかけてやる。
「全くゴッドは戦闘中にアイスなんて食べちゃダメでしょ。こっちは何とかするから、最後のシメはヨロシクね!アデュー君!」
「任せとけ」
サアアアッ……と傀儡カラクリが消滅する時に生まれた煙が晴れる。
そして全てを失うサターンは満身創痍で姿を現した。
「もう全て後は無いぜ。決着だサターン!」




