グルメなバクロンとの戦い
「まずはコイツをくらえ!」
俺は無人になる近くの露店からホットドッグを奪い、それをウワサ奴隷達の口に突っ込んだ。マスタードとケチャップを大量に入れてやったから、これで一時的にでも動きは止まるはずだ。すると、一匹のアホ犬が言う。
「ワイにもくれ!ワンワン!」
「ん?……おらよ!」
何故かホットドッグを欲しがるバクロンにも食わせた。何か他のもんも入れてやりゃ良かったかもな……それより、もうたいらげやがった。早いな。
「食いしん坊だなバクロン!」
「そうさ、ワイはグルメなのだ。ちなみに好物はツナ缶だ!ワイに献上すればワイの作る新キャンディ王国のかつての勇者として歴史の教科書に一行だけ書き込んでおいてやる」
「お前の作る世界なんてねーよ犬コロが!」
そして一気に口の中に残りのホットドッグを詰め込んでいき、ウワサ奴隷達を一時的に行動不能にした。それについて口の周りのケチャップを舐めるバクロンは、
「おいアデュー。戦う気はあるのか?ワイに勝たないとこの国はワイの国になるのだぞ?まぁ、諦めたなら降伏するのだ」
「ここの住人相手にまともに戦ってられるかアホ。お前は後でたっぷりシバく!」
そこそこ暴れてから、俺はそこから姿をくらます。バクロンの叫びが耳に響いたが、とりあえず今はムシ。これ以上住人とは戦ってられねーからな。バクロンが一人の時にヤツを倒して、この事件は解決だぜ!
※
その夜ーー。
キャンディ王国城下町の屋根の上から俺はアイス屋ギルドの様子を伺っていた。
「……人はいなさそうだな。あの二人もそろそろ来るだろ」
よし、またアイス屋ギルドに戻って来たぜ。
バクロンなら神幼女ゴッドの事は知らないからな。まさか、もう一度ここに俺達が戻ってくるとは思うまい。アイス屋ギルドの前に降りた俺は店の影に隠れるように身を潜めた。
(……さーて、後は待ちだな。キャンディ王国はあまり夜に外出する奴は多くねーから人影があればおそらくそれがカオリかミーナのはずだ……)
バクロンのウワサ奴隷になる住人達はうまい事いない。やっぱり奴隷になっても日々の習慣からは抜け出せないんだろうな。バクロンの奴、ここまでは考えてなかっただろ。
(ゴミ箱が動いて来た!?まさかバクロンか!)
いきなりガタガタガタ!と道の隅に放置してある青いゴミ箱が歩いて来た!ヤベェと思いつつ俺は構えたーーが、
「ちょっと遅いわよアデュー。ここにゴミ入れられまくりで服がかなり汚れたわ。バクロンなんてオシッコをゴミ箱にかけてくるし最悪だったわよ!」
「ミ、ミーナ?」
ゴミ箱からミーナが現れた。
一体いつからそこに隠れてたんだ?
随分と面白い所に隠れたもんだぜ。
「よし、後はカオリか。一体どこにいるやら」
「確かにそうね。カオリは半日近くここにいたけど見かけてないわ。あの女の事だから捕まるって事は無いだろうけど……」
「そうだな。カオリは捕まらない。だから今は待つしか……?ミーナ俺の足に何かした?」
「は?してないわよ?オバケでもなきゃ目の前の私がアンタの足なんて触れないでしょ?」
「確かにそうだな……って俺の足やっぱりつかまれてる!?」
うぎゃー!と俺とミーナは口を抑えて驚く。
地中から手が伸びてやがるぞ……まさかバクロンのウワサ奴隷か?ゾンビみたいになるから土の中から出てきてもおかしくねー……。
「呼ばれて飛び出てキャンディキャンディ!キャンディ王国のスーパーヒロイン・カオリ姫の参上だよ!ぶい!」
『カオリ!』
突如、地面の土の中からカオリが現れた。
凄い場所に隠れてたな……。
土の中じゃぜってーわからんよ。
流石は俺の相棒だ。
と、これで二人共揃った。
「よし、二人共無事だな。これからバクロンの住処を探し出して急襲をかける。おそらくヤツは食いしん坊だからどこかの食べ物屋にいるはずだ。そこを叩く」
その言葉にカオリとミーナは、
「確かにバクロンは食べ物屋にいそうだね。なら早く行って倒してしまおうよ。またウワサ奴隷を使われたら嫌だし」
「そうね。あんな犬コロに逃げ隠れはしたくないもの。街の住人を奴隷にするなんてとんでもない犬コロだわ。許せない!」
『……』
と、俺とカオリは自分の過去を忘れたのか?とミーナを見つめた。すると、俺達の前に謎の人影ならぬ犬影が現れる。
「……待っていたぞ勇者アデューと仲間達。このバクロン様のウワサ奴隷を使えない時間に活動するとは策士だな」
「バクロン!?何故ここにいる!?」
「バカめ!キャンディ王国の住人を暴露させて神幼女ゴッドとやらの好きな場所を知っただけさ。街の住人から暴露させれば情報などは簡単に手に入る。そして、ここで勇者アデューは儚く散るのだ。このワイ、暴露モンスター・バクロン様によってな!」
瞬間、俺達の空間が真っ暗になった。
「何だ!?」
すると、どこからかバクロンの声がする。
「バカめ!お前達がチチクリ合ってる時にワイは夢空間にお前達を閉じ込めてやったのさ!これでお前達も自由では無いぞ。夢空間で悪夢を見て、涅槃へ堕ちるがいい……ワンワン!」
そして、俺達は様々なオモチャが星のように点在する宇宙空間のような場所にたどり着いた。




