二重人格 赤魔王の裏人格・裏ユリリ
『!?』
凄まじい魔力が赤魔王ユリリから湧き上がった!何て魔力だ……さっきまでの魔力とは殺気からして違う……。それにこの顔つきは……。
「魔力の紋様が顔に浮かび上がり、女豹のような殺気に満ちた顔つきになってるぜ……どうしちまったんだユリリの奴……」
すると凄まじい魔力によって起こる風で長い黒髪が乱れるカオリは、
「アデュー君!ユリリは人格が変わってるんじゃない?じゃないと説明がつかないよ?」
「確かにそうだな。カオリの言う通りだ……この豹変っぷりは普通じゃねーぜ」
ケケケ!と笑う豹変したユリリは顔の紋様を撫で、吹き出していた赤い魔力のオーラが安定したのか落ち着いてはいるが相変わらず不気味な笑みを浮かべていた。そして、俺達をねっとりと舐め回すように見つめると、話し出した。
「……アタイは赤魔王ユリリの裏の人格。強いて言うなら裏ユリリ。この状態になれば表のユリリのダメージも魔力も全ては回復するわ。だってアタイは無双するのが趣味だから!ヒャッハー!」
「人格が変わって体力と魔力までもが回復しただと!?」
残虐なユリリが目を覚ました。
コイツは明らかに肉弾戦タイプだ。
龍王の力は今はもう使えねーぞ……。
ヒャッハー!と裏ユリリはヨダレをたらしながら獲物を狩る女豹のように飛び上がった。
大魔堂を四方八方に動き回り、裏ユリリは魔法と体術のコンボで攻撃してくる。その両方は直線的に俺を狙うレーザーのような攻撃で対応はしやすくはあるが、一度でも反応が遅れれはダメージはデカイぜ。
(龍王のパワーを使った反動で身体痛いぜ。元々ニートな俺にはしんどい力だ……少し時間を稼ぐ必要がある……こうなりゃ……)
バッ!と赤い制服のジャケットで裏ユリリの顔を包み込み、少しの間を生み出す。
「ここはチートパワーで……」
「動きが遅いわぁ!」
「ぐっ!」
凄まじい速さの裏ユリリに吹き飛ばされた。
一瞬の間さえ与えてくれねーな……。
そして裏ユリリはその魔力の紋様が浮かぶ女豹のような顔をカオリとミーナに向けた。
「戦うわよミーナ。私達もアデュー君を援護するわよ」
「そうね……自分の身は自分で守らないとならないようじゃないの」
二人には戦わせられん……と立ち上がろうとしている俺の目に、二人を嘲笑う裏ユリリの背中から赤い触手のようなものが蠢いていたーー。
「ひしゃげて潰れろ!俗物ヒロイン共!」
『きゃあああっ!』
カオリとミーナはまたしても展開した触手に捕まった!裏ユリリから切り離された触手は自由自在に二人を束縛する。今回の触手はあのユリリそのものと直結してる触手らしく、パワーが段違いだぜ。
「カオリ!ミーナ!」
『アデュー……!?きゃあああ!』
凄いパワーの触手にカオリ達がやられる。
赤いチートパワーを全開にした俺は大魔堂に群がる裏ユリリの触手共を破壊していく。
「すぐに助ける!待ってろ二人共!」
「いくら触手を壊してもムダよ。この触手はアタイと直結してるからアタイを倒さないとこのクソヒロイン達は助けられないのぉ!」
すると、触手に全身を絡め取られアヘ顔になるバナナ魔王ミーナは言う。
「こっは任せなさいアデュー!このバナナ魔王ミーナ様がこんな触手ごときで……あんっ!って感じる……じゃなくてやられるわけないでしょ!」
「そうよアデュー君!ミーナはもうビショビショなの!大洪水よ!」
「何言ってんのカオリ!こんな人前で!」
「いや、汗でビショビショじゃない?」
「あぁ、汗?確かにそうだわね……汗でビショビショよ」
と、股をモジモジさせながら言った。
全く……こんな状況で笑わせてくれるヒロイン共だぜ。けど、元気出たわ。サンキュー!と叫びたいが、それは勝ってからにするぜ!
カオリとミーナは触手に操られつつも、何かをやろうとしてるからまずは目の前の敵に集中する事にした。
「おい裏ユリリ。俺のヒロイン達はお前の触手じゃまだまだ死ぬ事は無いぜ。こっちはこっちで楽しもうや」
「もう龍王の力も使えず、チートパワーもニートパワーももうすぐ底をつくわ。何故ならこの大魔堂は様々なエネルギーを吸収する闇の子宮でもあるから」
「どうりでな……ここに来た時感じた胎動はそういう事だったか。さっきはよくわかんなかったが、もうここまで他人のエネルギーを吸収してるなら魔眼を使えばすぐにわかる」
「その魔眼も使えなくしてあげる。魔を秘めた力の以上、魔王からすれば封印しやすい能力なのよ!」
「ぐおおっ!」
裏ユリリの猛攻はスゲーもんがある!
ズガガガッ!とフルパワーのはずの俺と互角以上に戦えるなんてありえねーぜ。
(それに魔王なのにマイナスのオーラよりもプラスのオーラが出てやがる。これは勇者のオーラだぞ?吸収したパワーとしか思えねー)
いくら何でも、回復してるとはいえ表のユリリとはここまで魔力量が違うはずが無い。
そう考えながら蹴りを繰り出すと、ユリリは腹部に受けるのを覚悟してカウンターを仕掛けてきた。
「ボムズフラッシュ!」
ズボボボボンッ!と連鎖爆弾のように魔力玉が爆発した。その攻撃を紙一重で回避する俺は、
「爆発はスゲーけど、直撃しなきゃ意味ねーし!」
「なら次は直撃させるわ」
また連鎖爆弾魔法・ボムズフラッシュを展開し出した。チッ!と舌打ちする俺は、
「またボムズフラッシュかーー芸の無い奴だ」
キラッ!と右目の横でVサインをして決めポーズのまま流星のように光るVサインを振り抜いた。
「ショットプラズマ!」
ショットガンのような光魔法でボムズフラッシュを生み出した瞬間に爆発させた。そしてその煙幕の中で数度激突し、俺達は煙幕が晴れた後の互いの姿を確認する。ダメージはほぼ互角か……けど、やっぱおかしーよな。
「お前の力は明らかに俺のパワーを使ってるフシがある。どうやって吸収しやがった?」
「チートとニートのパワーはプラスとマイナス。プラスだけのパワーじゃ全ては安定しないわ。そこにつけ込む隙がある!」
「俺の力はお前に吸い取られていたが、こっちにもパワーは送られてきてたんだよ……」
カオリとミーナの合体技・キャンディバナナの舞で俺は凄まじいパワーを得た!触手にやられつつも魔法舞を舞ってくれてて助かったぜ……こっからが本当のクライマックスだ!次元のゲートから赤いチートソードと黄色のニートソードを呼び出し、必殺の十字斬りをかます!
「チートニートスペシャル!」
カオリとミーナの合体技・キャンディバナナの舞のパワーで裏ユリリを倒した。そして、裏ユリリは断末魔を上げて消えて行き、裏ユリリから表のユリリに戻った。




