現れる赤魔王
「あれ?ミーナ?」
あれ?何故かキャンディ王国を支配してたバナナ魔王ミーナが来たぞ?俺とカオリは顔を見合わせたまま少し時が止まる。
違う奴が釣れたな……。
「……おかしいな。釣れた魚が間違ってるぞ?」
「誰が魚よ!私はバナナよ!」
「いや、人間だろ?」
「そうね。まだバナナじゃないわ」
何かバナナ病になってるミーナは相変わらずツンツンしてやがる。んでもって、突如現れたバナナ魔王ミーナに俺は聞く。
「つーかミーナ。何で赤魔王ダンジョンへ来たんだ?」
「そ、それは単純にこの赤魔王ダンジョンでバナナを売りさばいてからジワジワとこのエリアの人間とかモンスターの心を支配しようと思ってたのよ……アンタを助ける為に来たわけじゃないわ」
何かバナナをメチャクチャ食べながらモジモジして言ってる。フフフ……とカオリが笑ってミーナは怒ってやがるがこの二人は気持ちが通い合ってるのか?女ってのはよくわからんぜ。とりあえず暴走しそうなミーナからバナナを一本もらい抑えた。
「わかってる、わかってる。まぁ俺の考えじゃそろそろ危険が迫ってるかも知れんからここから逃げた方がいいかもな。戦闘に巻き込まれるかも知れん」
「この川はいたって平穏じゃない。何が……!?」
凄まじい魔力を感じる……。
とうとう本物が出てきたな。
俺達はその凄まじい魔力を発する主に振り返る。
血の滴るような真っ赤な長い髪。
丈の短い赤いドレスのような服に、背中には黒いマント。
足元は幾人もの人間を殺したであろう鮮血を浴びたハイヒール。
そしてその両目は透き通る赤でルビーのようだぜ。
「お前が赤魔王……」
「赤魔王ユリリよ」
赤魔王の名前はユリリだったのか。
そして、マジシャンのユリリでもあった。
こうなりゃやるしかねぇ!
「赤い髪の魔王。まさかマジシャンのユリリだったとはな。勇者の仮住まいに潜入捜査って事か?」
「あんたが!すぐに攻めて来ないからこちらから出向いたのよ!スッゴイストレス溜まったわ……だからここで消えてもらう」
「そうか。そういうわけにもいかねーよ。俺はチートポイントを貯めて処女をいただく使命があるからな!」
「そんなくだらないものの為に最強の赤魔王を倒しに来るとはね。ならば邪魔な見物人は動かないでいてもらおうかしら」
『きゃああ!』
赤魔王ユリリが放つ無数の触手でカオリとミーナやられる。けど、身体を縛られてるだけだ。でも、服は破られて下着姿になってやがるな……興奮するぜ!
「少しそこで待ってろ二人共。逆にそこに触手に捕らわれていた方が安全かも知れん」
「仲間思いね勇者アデュー」
そして、俺は右手を真横に振り抜いた――。
「来い! チートソード!」
ズウウゥ……と魔力ゲートから赤いチートソードが出現した。そのまま赤魔王ユリリに斬りかかる。
「遅いわよ」
「なぬ?地面がマグマに!?」
踏み込む足元からマグマが吹き出し、俺は飛び下がる。そして、赤魔王ユリリは天に手を上げて叫ぶ。
「レッドメテオレイン!」
「うわぉ!今度は隕石かよ!」
ズバババッ!と降り注ぐ炎の隕石をチートソードで切り裂きつつ回避した。そして最期の隕石を全力で斬った。
「つぇぁ!……嫌な魔法使いやがるなユリリ。反撃はキチッとしたぜ」
「反撃……?」
ふと、自分の身体を見るユリリは黒いマントが切れているのに気付いた。
「マントが切られてるとはね。流石は勇者かしら」
「今の内にチートポイントよこしたら勘弁してやるぜ?どうするよ?」
「アハハハッ!私は最強の赤魔王なんだから負けるわけないじゃない!チートポイントは吸えるわよ? ほーれ」
と、ユリリは両手で乳をユッサユッサと重力を利用して挑発して来やがる。
「てか! そんな方法で吸えるのか! アホか!」
「?」
「いいか! そーゆー事はそんな簡単にする事じゃねーんだ! そりゃ、してほしーが、んな事は愛し合ってる男女がするもんなんだよ!」
「本当に本心かな? 勇者アデュー?」
俺の心を見透かすようにユリリは言葉攻めをして来やがる……野郎!そのユリリは頭上に凄まじい魔力を展開した。
「これで終わりだ勇者アデュー! ヘブンズヘル……メテオイフリート!」
「!?こりゃヤベー!この一帯が消え去るぞ!」
絶体絶命だ――。
けどよ!
「俺はチートだけじゃねぇ。ニートもあるんだよ!」
その瞬間、ここまで隠して来たニートソードを魔力ゲートから召喚した!ズバァーという黄色い光が輝き、赤魔王ユリリは斬り裂かれた。そして、その隙をつき一気に攻める――。
「行くぜ魔王。俺の十八連無双をくらいな!」
上下左右から目まぐるしい二刀流の乱舞が炸裂する――。
「ビックバン・ストリーム!」
スパアッ!という閃光と共に赤魔王ユリリは倒れた。
触手から解放されるカオリとミーナはやれやれといった顔で俺を見ていた。
「ま、勇者だから魔王を倒すぐらい余裕だぜ!」
『なら、もっと早く倒してよ!』
「まぁ、怒るなよ。触手にイタズラされるお前達も興奮する要素だったのさ」
『コラ!』
「逃げろー!ってなんだ!?」
すると、ズバアアアッ! という赤い魔力と共に赤魔王ユリリは復活した。
「……完全に倒したはずだが、瀕死から復活する魔法でもあんのか?」
「残念ながら私は二重人格なの。こっちの私を倒さないと終わらないユーリリン!」
「二重人格……だと?」
何とも面倒な魔王だぜ。
だが、この人格を倒せば終わり!
そして赤魔王ユリリは言う。
「お前のチートポイントがあればダンポコワールドは我のもの! チートポイントを奪いに来たつもりが、奪われてしまう事は想像して無かったか!? その想像力の無さがアデュー……お前の敗因だ!」
想像力の無さ……だと? 俺はエロスを想像したらどこまでパワーが上がるか、わかってないようだな。
「アデューーー君!」
「アデュー!」
下着でギリギリ裸にならない二人に感謝するぜ。俺の想像力が高まる!
「見るがいいさ!俺のイマジンを!」
俺の心の奥のエロスが弾ける――!
チートとニートは赤と黄色のパワー。
額に黄色の炎。赤い髪。
この黄色の炎はニートを現し、この赤い髪はチートを現す。
つまり、これこそがチートニートスペシャリストだ!
その姿になる俺に、赤魔王ユリリは焦る。
「まさか……ダンポコワールド初代勇者……伝説勇者チニスの力を持ってる者なのか?」
ダンポコワールド初代勇者は伝説勇者と呼ばれていて、名前はチニスらしい。
チートニートスペシャリストのCNSの頭文字を取るとチニスだな。
そうすると、初代勇者から受け継がれた力なのかも知れん。……けど、初代勇者も元ニートだったのか?よくわからないまま、赤魔王ユリリは消えて行く。
「今はさらばだ勇者アデュー。赤魔王城にて会おうぞ……ユーリリン!」
煙玉で、赤魔王ユリリは消えた。
煙玉とは原始的な消え方だぜ……。
「……今戦ったのは赤魔王ユリリの分身体か。次会う時は本体にお目にかかりてぇぜ」




