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チートニートスペシャリスト・魔眼の勇者  作者: 鬼京雅
アデューVRMMOから異世界へ行く編
1/78

チートニートスペシャリスト異世界へ行く!

艶色あでいろにアデュー!」


 今日も今日とてVRMMO〈チートニートオンライン〉で最強の職業・チートニートスペシャリストであるアデュー様は大活躍だぜ!

 艶やかな黒髪に、赤のブレザーに黒のズボン。そして龍が描かれたネクタイをした右目の魔眼がイカす、超イケメンボーイのアデュー様は群がる美少女モンスターを無双した。そして右手に巻かれる謎の包帯を結び直し言う。


「敵が美少女じゃモンスターといえども手加減しねーとな。ま、お前等には手加減しねーねど」


 俺は右目の魔眼を赤く輝かせ目の前に現れた三人の男に言う。

 そのアバターは勇者、魔術師、魔王のようだ。

 ちなみに俺は現実ではメガネをかけている。

 理由が聞きたいか?

 現実世界が嫌いだからだよ。

 それと、現実世界でもこのチートニートオンラインの魔眼があるからさ。

 そんなこんなで、目の前の三人組みは言う。


『久しぶりだなアデュー。今まで受けた我々の積年の恨み、晴らさせてもらうぞ』


「弱い奴が群れてシンクロしてんのか。一バカが三バカになっても同じだバカ」


『ぬぁにおぅ!』


 ズドン! と足を一歩踏み出し言ってる。

 コイツらは俺に負けまくってるランカー共だ。

 よく戦ってるが、特別な思い入れも無い。

 だって弱ぇしな。


「勇者、魔術師、魔王? 敵じゃねーな。俺はチートニートスペシャリストだからな! 来い! チートソソード! ニートソード!」


 シュパァ! と次元の狭間から赤い剣と黄色の剣が召喚された。

 その隙に三バカは同時業火魔法で俺に攻撃を仕掛けて来た。


『メギドブラスターノヴァ!』


 二本のソードを手にして、その一撃を空高くジャンプして回避する。

 ズワアアアアッ! と地面が黒く消失し、そのメギドブラスターノヴァの威力を知った。


「……中々の威力だが当たらなきゃ意味が無い。んで、ここで終わりだー―」


 ん!? 

 同時魔法を使った三バカがいねーぞ? 

 一体どこに――。

 地面に落下しつつ視線の先にいない三バカを探した。

 そして、地面に着地すると背後から叫び声が響く。


『反射魔法・リフレクターファントム!』


「――後ろだと? うおおおおおっ――」


 自分達の放ったメギドブラスターノヴァを反射魔法ではね返した三バカの業火に俺は呑まれた。

 大地から凄まじい火炎の柱が立ち、空の雲が黒く汚れる。

 作戦が成功し安堵する三バカは、メギドブラスターノヴァを切り裂いていた俺に気付かない。


「この二本の剣は無敵の剣。ゲームシステムを超える性能でも無い限りチートニートスペシャリストは最強だ!」


『チートニートスペシャリスト! 恐るべし!』


 赤のチートソードと黄色のニートソードの二刀流で勇者・魔術師・魔王アバターの三バカトリオを倒した。さて、そろそろログアウトするかな。ゲームでのチートと現実でのニートをこなしてこそチートニートスペシャリストなんだからな。メニュー画面を開き、ログアウトのボタンをタップしようとすると――。


「どもども! 中々やるねアデュー君」


「誰だ!?」


「私はカオリ。キャンディ王国の姫です。はい」


 突然、見知らぬ黒髪ロングの美少女が現れた。

 容姿は黒髪ロングの巨乳だ。

 流れる絹のような黒髪は艶やかで妖艶

 それに着てる服はセーラー服だ。

 何か戦うような格好じゃねーな。

 俺もだけど。

 しかし、コイツ……俺の背後に気配も無く現れやがった。

 それにキャンディ王国って何だ?

 このチートニートオンラインにはそんな名前の国はねーぞ?

 ま、それはいいとして、また告白かな?

 ま、俺は強すぎるからモテ過ぎて辛いぜ。


「告白なら受けられないぜ。俺は俺の最強を極める。だから今は女はいらないのさ」


 俺は遠くの空を見ながら、ちょい女の顔を伺いつつ言った。

 決まった……ガチで決まった。

 俺はこの方法で数々の女を虜にしてる。

 ま、所詮コイツもチョロインだろ。

 すると、トントンと肩を叩かれた。

 何だ?


「……?その指は何だ?」


 カオリは俺の肩を叩いてから振り向く俺の頬に指を突き出していて、頬がへこんだ。


「告白じゃなくて私の異世界ダンポコワールドに来てくれますか? 報酬は私の処女です」


「は?」


「そこならこの〈チートニートオンライン〉のパワーのままの貴方が存在しますよ。アバターじゃない、貴方がね」


「……ほえ?」


 コイツは中二病か?

 最近、ニャローとかいう小説サイトで異世界転生とか召喚が流行ってるってネットで見たからな。ネットゲームでも異世界系は人気だから、その流れって事か。つまり、これは……。


「美少女アバターを使った美人局つつもたせだな?」


「いえ、私の異世界を安定させる勇者の勧誘です。それに貴方は選ばれました。パチパチパチ」


 なんか一人で拍手してやがる……。

 処女にはスーパーミラクルサンダー興味があるが、あえて誘いに乗らない俺は言う。


「今時、処女をエサに釣ろうなんぞ浅はかだぜ……処女なんて飾りだよ。そう、飾り」


「でも貴方の心も身体も私の処女に興味有りまくりだね」


「うお! 股間がマリモッコリしてやがる!」


 くそっ! 無駄に再現力があるオンラインゲームだぜ……。

 確かに興味はあるさ、有りまくりさ!

 だって童貞だし!!!

 しかし!


「俺には魔眼がある。お前のくだらん冗談など魔眼にかかれば終わるぞ。処女かどうかもわかるんだからな? いいな!?」


「じゃあバナナあげる」


「ん? ただのアメだろ? どこがバナナなんだよ?」


「バナナのキャンディでした! 魔眼ってのも大したこと無いね!」


「くっ……この魔眼で本気になれば、お前の裸だって見れるんだからな! 覚悟しろ!」


「じゃあ見てもいいよ? 見れば異世界の人間だってわかるから」


「……」


 俺は右目の魔眼に力を集中させる。

 そのキャンディ王国のカオリがじっ……と俺を見つめる姿に動揺した。

 こいつは明らかにこのゲーム内部でのイレギュラーだ。

 俺と戦えるレベルだったなら、誰も知らないような存在なんて有り得ねーからな。

 コイツはマジで……。


「……見るのはやめた。お前が俺とまともに戦えるってのは明らかなイレギュラーな存在だからな。異世界から来たのは信じてやるよ。だがよ、そこに行くかは俺に勝ってからにしろ」


「なら話が早いわ」


 シュン! と二人は交差した。

 俺の右手の包帯が取れ、カオリは俺の手にあったバナナキャンディを取り戻す。


「私の勝ちかな?」


「カオリの懐からバナナをくすねてやったぜ。今度は本物のバナナだ」


「おやつのバナナが……あ! ブラジャーも取られた!」


「あれ? やっちまったぜ!」


 勢いが良すぎたか!

 美少女の白ブラジャーは凄まじい攻撃力を感じるぜ!


「悪い、悪い。とりあえず返す」


「どもども」


 ブラジャーのホックをしたようなので、俺は振り返る。

 ん? 何か奥の方の草むらがモゾモゾしてるな……。

 それより、まだ戦いはこれからだ。


「……どうやら俺のこの右手の包帯が取れた恐ろしさを知らんようだな。ククッ」


「右手の……力……」


「そうだ。この俺の右手には龍王の力が秘められている。お前のような中二病はここで死ぬのだ。これに耐えたら異世界に行ってやる。お前等のようなバカは消えろ」


「来なさいアデュー君!」


 どうやらこのカオリの覚悟は本物だな。

 なら俺も覚悟を決めよう……。

 右腕全体に龍の模様が浮かび上がり、あまりものパワーに俺自身も驚き興奮する。

 龍王の力……受けて見るがいい!


「逃げないとはいい覚悟だ! くらえ! ドラゴンアウトロー!!!」


 ズブアアアッ! と緑の龍王であるドラゴンアウトローを放った。

 凄まじい緑のオーラを目にしてもカオリは動じない。

 そしてそれは地面に直撃した――。


「……ふぅ。やっぱ龍王のパワーは凄まじいぜ。本来なら肉弾戦用の力だが、あえて遠距離で試してみたが効果はあったようだな」


 果てしなく一直線に抉られた地面を見て思った。

 そして、その抉られた地面の前に立つ女は俺を見て微笑んでいやがる。


「よく、動かなかったな。俺が外すと思ってたのか?」


「だって言ったじゃない。お前等って」


「背後にいた三バカに気付いていたか。戦闘中にそこまでの範囲を警戒できるのは凄いもんだ。ほめてやるぞ」


「じゃあ頭ナデナデして」


「あ……あぁ……」


 まさか生きていた三バカを倒す為に俺が技を外す事まで考えていたとは思いもよらなかったぜ。

 そして何で俺はカオリの頭を撫でてるんだ?

 でも何か気持ちいいからいいか……。

 って! 今はラブコメしてる場合じゃねぇ!

 けどラブコメもしてー!


「……で、異世界に行くにはどうするんだ? ワープとかするのか? それにチートニートオンラインのこの力が本当に使えるんだろうな?」


「私の心臓の力で、この世界の力を私の異世界でも使えるようにするのです。おりゃ!」


 ぬおっ!?

 オッパイに触れてしまった!

 艶色にアデュー!

 決して壊れぬプリンのような感触で昇天していた俺はカオリに魂を戻されてどうにか復活する。

 恐ろしい女だ……。


「最終確認ね。異世界〈ダンポコワールド〉に来てくれますか?」


「あぁ……行ってやるさ。行ってやるとも。いいとも!」


 学生服アバターの赤いジャケットの胸元をつかみ、俺は苦しげに言う。

 今更何でつまらない現実の学園生活が頭をよぎる?

 そうだ……俺がこの学生服アバターを選んだ理由は……。

 その事を思う俺にカオリは言った。


「まだ現実には未練があるわけじゃないでしょ? 現実ではどうにもならない自分を変えたいからその学生服アバターなのでしょう?」


「……よくそこまで俺を理解してるな。そうだ。その通りだ」


 ニッコリとするカオリは長く艶やかな黒髪を揺らし、俺に抱きついて来た。

 オッパイが密着してやがるぜ!


「ではアデュー。この現実世界にばいニャ! ですよ」


「ばいニャ! ってマジで!?」


「はいな! ではダンポコワールドへレッツゴー!」


「おー! うおおっっっっ!?」


 そして俺はキャンディ王国のカオリ姫と共に、ダンジョンがポコポコ湧き出すという異世界〈ダンポコワールド〉に旅立った。

 艶色にアデュー!

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