第47話 僕から目をそらさないで
「あれ? ししゃも。は?」
ゼロがきょろきょろと部屋を見回す。
「あぁ。一人になりたいって言って空き部屋に行ったんだ。俺、呼んでくるよ。」
そう言って、俺は部屋を出た。
……
空き部屋の前まで来て、ノックをする......が返事がない。
いないのか?
俺はドアを開ける。
開いていくドアの隙間から、すぐにししゃも。の後姿が見えてくる。
……なんだ普通にいるじゃねぇか。
俺はししゃも。に近づいていく。
「やっぱり……。」
小さな声が微かに耳に届く。
「なにがやっぱりなんだ?」
「ぎゃぁ!!!! 燈真きゅん!?」
スマホを持ったししゃも。が、飛び上がるみたいに振り向いた。
「何見てたんだ? メールか??」
つい画面の方に目がいく。
「てめぇノックもせずに勝手にはいってくんじゃねぇよ!!!!!!
しかも乙女のスマホの画面覗くとかサイッッッテーーーーー!!!!! 死ね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「なっなんだよ!! ノックしたのにお前が反応しねぇからだろう!!?」
「言い訳すんな!!!」
「ったく!! ...で、何見てたんだ?」
「へ?? ..べっ別になんだっていいでしょ!?ていうかここちょっと電波悪くなーい!?5G回線ヨワヨワなんだけどー!」
「お前のスマホまだ5G使ってんのか? 最近はほとんどXGだろ??」
「ししゃも。のスマホが悪いって言いたいの!?...ていうか要件はなに!?」
「あぁそうだった!……もうすぐ行くってよ。支度しろ!」
「なら早くそう言え!」
「ったくお前は相変わらず口が悪いなぁ!!」
俺たちはやいのやいの言い合いながらみんながいる部屋に向かっていく。
・・・あれ?もしかして俺、今うまいこと話題そらされたか?
俺がそんなことを考えていたとき――
「ブーブーブー!」
俺のポケットの中でスマホのバイブが響く。
なんだ??電話か??
スマホを確認すると、G・・・弟の颯真の同級生からの着信だ。
物静かでいつも何を考えているかわからない不思議ちゃん...俺から見た印象はそんな感じだ。
Gからの電話なんて珍しすぎる。というか初めてか...いやむしろ連絡先の交換してたか??
色んな疑問が脳内を駆け巡るが、『この世界がおかしい』ということを思い出した。
世界がおかしくなってから、Gとは一度も会っていないし話してもいない。一度状況を確認しておきたい。
「悪いししゃも。、俺ちょっと電話してるから先にみんなのところ行っててくれ」
俺はスマホを顔の横でひらひらさせて、電話が来ていることをアピールしながら伝える。
ししゃも。は「は~い」と気のない返事だけを残して、すたすたとみんなのいる部屋の方へ歩いていった。
俺はさっきの空き部屋に戻りながら電話に出る。
「もしもし?」
「...もしもし燈真先輩。Gです...」
か細い声が耳元でささやく。俺はスマホの音量を最大に上げながら話を続ける。
「急にどうしたんだ??ていうか元気か??」
「......元気です。でもそれどころじゃないです。」
「それどころじゃない??」
「......とりあえずビデオ通話にしてください。」
「お、おう...」
俺は言われるがままGとの通話をビデオ通話に切り替える。
「これで...いいのか?」
俺はスマホで自分の顔を映しながら確認する。カメラ越しにGと目が合う。
ビデオ通話に慣れていないからか、正直めちゃくちゃ恥ずかしい。
俺は堪えられなくなり、スマホに映るGから目線をそらす。
「...燈真先輩、僕から目をそらさないで。」
「ひゃっひゃいっ!!」
まさか目線を逸らしたことを指摘されると思わなくて、変な声が出た。
とりあえず言われた通りにスマホに映るGの目を見つめる。
ジーーーッと深く黒い瞳が黙って俺を見つめてくる。まるでブラックホール、吸い込まれそう......
ていうかなんだ!?これ今どんな状況!?なんの時間!?
誰かと目線を合わせ続ける気恥ずかしさからか、全身が熱くなってきた。特に顔周りが熱い。もしかして俺、今めちゃくちゃ顔赤いんじゃないか??
恥ずかしい!早く終わってほしい!!
「なぁ・・・Gさんや...これはいったい......」
「もう少しです。あともう少しだけ...あと3秒」
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