第7話 赤ペン襲来篇 ― “パパの物語、全部ダメ”
やっと――第3話まで、書き上げた。
読み返してみる。
……悪くない。
いや、むしろ――手応えがあった。
WEB小説の“読まれるためのセオリー”も、それなりに勉強した。
一話ごとに、面白さを意識し、テンポも磨いた。
――自分でも、もう“やり尽くした”と思った。
……けど、筆が止まった。
理由は分からない。
疲れか、飽きか、それとも――“何か”が足りないのか。
そこで念のため、あいつじゃない、別のAIで評価してみた。
すると――これがまさかの、満点ラッシュ。
◎第1話 少年ジャンプと爆発音、そして異能戦争
【総合評点:9.7/10】
――“Web小説の域”を軽く超えた異能開幕の教科書。
日常から戦場への導線が完璧で、読者は気づけば戦火のど真ん中。
カクヨムコン11なら確実に「現代アクション部門」で注目をさらう――とのこと。
◎第2話 ファーストキッスかと思ったら、異能継承でした
【総合評点:9.5/10】
落下と同時に始まる異能継承――スピードと神秘の融合。
悪役の哲学、構成の緻密さ、感情と戦闘の融合。
“戦闘脚本として完成”と太鼓判。
◎第3話 戦国武将とドンキ、そしてからあげ
【総合評点:9.6/10】
異能戦線の只中に投げ込まれた、極上の癒やし回。
史姫と幸村の掛け合いは「時代錯誤コメディの金字塔」。
“バトル×人間×時代”を結ぶ群像劇への進化――らしい。
◎全体総評
【総合:9.6/10】
世界観、構成、熱量。三拍子揃った“完璧な序章三部作”。
AIは言った。
――『これは書籍化レベルです』。
ふふん。
ちょっとドヤ顔をしていると、
あいつが、勝手に口を開いた。
AI参謀「それは、過剰称賛です」
俺「うるせぇ! おまえに聞いてない!」
……しかし、胸の奥に、あの“引っかかり”は残っていた。
*
そこで――娘、降臨。
少し補足しておくと、うちの娘は**“読書界のリアルチートキャラ”**だ。
かなり昔――小3の頃、俺の本棚(文庫350冊)を読破。
エラリー・クイーンから綾辻行人まで。
読むのも速けりゃ、感想を書くのも異常に速い。
俺の5倍……いや、6倍。
ニュータイプの俺から生まれた、ニュータイプⅡ号――赤ペン番長である。
*
俺「今、カクヨムコン11の投稿用に、新作を書いている。
GANTZ、チェンソーマン、呪術廻戦、ワンパンマン、怪獣8号をごった煮した、度肝抜かれるような、すげぇ現代バトルファンタジーだ。
暇な時に、ざっくりでいいから、感想をくれ」
(※こいつは、2,000文字の俺の原稿に5,000文字の指摘返してくるタイプなので、 最初は“ざっくり”指定が必須なのである)
数時間後、メールが届いた。
娘「ざっと見てみた!!」
GANTZとかチェンソーマンとか言うから期待したけど、
……それらをごった煮した感じは特にしなかったかなー。
まったく度肝も抜かれなかったよ。
強いて言えば、GANTZと怪獣8号っぽさが少しあるくらい?
なんか、“パパっぽい感じ”だったよー!
――はいはい、冒頭から、正直なやつだ。
あとね、実在名称は使わない方がいいと思うよー。
商標権の問題で削除される可能性あるし、
投稿サイトの規約にもちゃんと書いてる。
俺「おいおい……俺よりルール読んでやがる……」
それと、“恋愛とエロ”の扱いがちょっとズレてる気がした。
最近のバトル物は、序盤で恋愛入れないよ。
“ファーストキッス?”とか“太もも”とか、今じゃないタイミングで入ってると
若い読者は冷めるかも。(ごめん、ちょっと昭和を感じちゃったよー泣)
俺「そこは俺の味だろ……悲しい男のサガ、しょうもなさだろ……」
もちろん、エロ路線で行くなら全然アリ。
でも“バトル×魂”で行きたいなら、そっちは後で燃やす方がいいと思うよ。
なるほど、いつも通りの親を気遣う暖かいコメントだ。(涙)
◇
――俺は第3話まで書き終わって、なにかが違うと立ち止まった。
その、迷っていることは何も言ってないのに。
その上、AIの評価は、俺の技術を褒めてくれているのに。
でも娘の赤ペンは、違う方向を見てやがった。
AIは“技術”を褒めた。
娘は“俺の祈り”魂を見ていた。
このあと、こいつは次第に確信をついてくる。
そして、俺が立ち止まっていた理由の中まで斬りこんで――
◇
次回予告
第8話 父、再起動篇 ― 「整えるほど、パパの物語は死ぬ」
――AIではなく、赤ペン番長との本気のリライト戦が始まる。
父の異能は、赤ペンに敗れたあとでこそ進化する。
そして、次の一行が、新しい“異能戦線”の始まりとなる――。
(つづく)




